今回は前回習った「比較」の応用編です。
原級・比較級・最上級を用いたさまざまな表現や、慣用表現を見ていきます。
原級を用いた表現
まずは原級を用いたさまざまな表現です。
ここでは「not so much A as B」「as…as ever/as…as any」「as many/ as much+数詞」の3つの表現方法を覚えましょう。
- ①The drama was not so much a tragedy as a comedy.
(そのドラマは悲劇というよりむしろ喜劇でした) - ②She looks as cheerful as ever.
(彼女は相変わらず元気そうだ) - ③He is as honest as any man I know.
(彼はきわめて正直な男だ) - ④As many as fifty thousand birds spend the winter here.
(5万羽もの鳥がここで冬を越す)
上記の①の例文では「not so much A as B」という表現で、「AというよりはむしろB」という意味になります。これは「B rather than A」「more B than A」という比較級を用いた表現でも書き換えが可能です。
次に②の例文では、「as…as ever」で「相変わらず…」という意味になります。
③の例文のように「as … as any+単数形の名詞」という形は、「きわめて…」という意味を表します。
最後に④の例文で用いられている「as many +数詞」は数や量がかなり多いことを表すときに用います。
比較級を用いた表現
続いて比較級を用いたさまざまな表現を見ていきましょう。
- ①We chose the smaller of the two puppies.
(私たちは2匹の子犬のうち、小さい方を選んだ) - ②The tree is growing taller and taller.
(その気はますます高く伸びている) - ③It’s becoming more and more important to understand English.
(英語がわかるということがますます重要になってくる) - ④The more I study, the more I know.
(学べば学ぶほど、それだけ知識が増える) - ⑤We respect him all the more for his honesty.
(彼は正直なので、私たちはよりいっそう彼のことを尊敬している)
まず例文①では「the+比較級+of the two〜」という形を使い、「2つのうちでより…」という意味を表しています。
この場合は2匹の子犬を比べているので「of the two〜」になるが、3つ以上のものを比べる場合は「最上級+of the three〜」のように最上級の表現を用います。
②の例文では「ますます高く」というように、木がしだいに伸びていくことを表現したいので「比較級and比較級」を用います。
②では「tall(高い)」を比較級にしていますが、more型の場合は③のように「more and more+原級」という形になります。
次に④の例文を見てみましょう。「the+比較級+SV…, the +比較級+SV〜」で「…すればするほど、ますます〜」という意味になります。学ぶにつれて知識が増えるというように、「学ぶこと」と「知識量」の比例の関係を表しています。
比較級のところは、もちろんmore以外も当てはまります。
例えば、「私の犬は年をとればとるほど、ますます太っていく」というように「年をとること」と「太ること」の比例関係を表したいときは、「The older my dog gets, the fatter he gets.」というように「older」「fatter」を用います。
最後に「all the +比較級」の表現をみてみましょう。
⑤では「彼が正直である」という理由によって、私たちが抱いている「彼に対する敬意」がよりいっそう増していることを表しています。その場合は「all the +比較級」で「それだけ…、ますます…」という意味の文を作ることができます。
⑤の場合は「for +名詞句」になっていますが、becauseを使いたい場合は後ろに節を置きます。
- ①His behavior was more foolish than rude.
(彼の行為は無礼というよりむしろ愚かだった) - ②He can’t write a simple report, much less a novel.
(彼は簡単な報告書も書けないのだから、ましてや小説などとうてい書けるはずもない) - ③Humans are superior to gorillas in intelligence.
(人間は知能の点でゴリラよりも優れている) - ④I prefer playing sports to watching them.
(私はスポーツをするより見るほうが好きだ) - ⑤The younger generation is not afraid of computers.
(若い世代の人たちはコンピューターを嫌がらない) - ⑥Our guess was more or less correct.
(私たちの推測は多かれすくなかれ正しかった) - ⑦Sooner or later you will find a good solution.
(遅かれ早かれ、よい解決策が見つかるよ) - ⑧I know better than go to sailing without a life jacket.
(私は救命胴衣も着けずにヨットに乗るような愚か者ではないよ)
引き続き比較級を用いた表現を見ていきましょう。
①の例文では「AというよりはむしろB」という意味の「more B than A」が使われています。AとBに形容詞が入る場合でも「-er」をつけるのではなく、この場合は「原級」を用いることがルールです。
②では「なおさら…でない、まして…でない」という意味の「much less」が使われています。
③と④の例文は、thanではなくtoを使う表現です。
下記の表にtoを用いる表現方法を記したので覚えておきましょう。
Superior to |
〜より優れた |
Inferior to |
〜より劣った |
Senior to |
〜より年上の |
Junior to |
〜より年下の |
続いての⑤の例文は「具体的な比較対象を持たない比較級(絶対比較級)」です。
他にも「the upper class(上流階級)」「higher education(高等教育)」「the lower animals(下等動物)」などがあります。
次にnoを使った比較表現を見ていきましょう。
- ①The video camera is no bigger than my hand.
(そのビデオカメラは私の手と同じくらいの大きさしかない) - ②Sleeping is too much is no more healthy than eating too much.
(寝過ぎは食べ過ぎと同じように健康によくない)
「同じ程度にしか…でない」というように比べている性質にあまり差がない場合は「no+比較級+than」を用います。①では「ビデオカメラ」と「手」の「大きさ」を比べているので「bigger」という比較級が入ります。
②では「寝過ぎ」も「食べ過ぎ」も両方とも良くないという、ともに否定をしています。
一方で、両方を肯定したい場合は「no less…than〜」を用います。
- ③He paid me no more than 3,000 yen for the work.
(彼はその仕事に対して、私に3000円しか払ってくれなかった) - ④There were not more than twenty people in the theater.
(その劇場にはせいぜい20人しか人がいなかった)
続いては「no more than」と「not more than」と似ている表現を取り扱います。多くの人が混同してしまうのですが、「no more than」は「〜だけ、〜しか」というように数量が少ないことを表しています。
一方で「not more than」は「〜よりも多くない、せいぜい〜」といように数量の上限を表します。
- She paid no less than 30,000 yen for the work.
(彼女はその仕事に対して、私に30000円も払ってくれた) - The cost will be not less than 20,000 yen.
(その費用は、少なくとも20000円になるでしょう)
「no less than」と「not less than」も間違いやすいので注意してください。
「no less than」は「〜ほども多く」という意味で数量が多いことを表します。一方で「not less than」は「少なくとも〜」という意味で、数量の下限を表します。
最上級を用いた表現
最後に最上級を用いたさまざま表現を見ていきましょう。
- ①I feel happiest when I’m with my friends.
- ②The bravest people sometimes feel afraid.
(どんな勇気の人でも、時には恐れを感じる) - ③It will take at most ten minutes to get there.
(そこに着くまでせいぜい10分しかかからないだろう) - ④It will take at least three hours to get there.
(そこに着くまで少なくとも3時間はかかるだろう) - ⑤People are at their best when they are under pressure.
(人々はプレッシャーの下にあるとき、もっとも力を発揮する)
最上級の際は「the+最上級」という形がルールでしたが、比較対象がほかの人や物ではない場合は「the」をつけることはありません。
例えば①では自分自身の中での比較なので「the」をつけません。
②では主語に形容詞の最上級がついています。この場合は「もっとも…な〜でさえ、どんなに…な〜でさえ」という意味になります。
③で用いられている「at most」は「最大でも〜」という意味で、④で用いられている「at least」は「最小でも〜」という意味になります。
⑤は「at one’s best」という表現で何かが最高の状態にあることを表しています。「at best」は少し否定的な意味合いを含み「最高の状態でも、せいぜい〜な程度」という意味になります。
一方で「at worst」は「いくら悪くても」という意味です。
最後に
いかがでしたか?今回は比較の応用編として、さまざまな表現を見てきました。
似ている表現もあり混乱しやすい単元でもあります。しっかりここで覚えてから、次へ進むようにしましょう。
【参考文献】
石黒昭博, 2016, 「総合英語Forest」桐原書店
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参考
上智大学総合人間科学部社会学科の片倉優花です。
私は中高をドイツで過ごし、高校はインターナショナルスクールに通っていました。ドイツ語も英語も身につけないといけなくて語学習得に苦労したのですが、その経験を生かして、主に「英語」をみなさんに楽しく分かりやすく習得してもらえるような記事を書いていきます。現在は弓道サークルに所属していて、中高はバスケ部でした。他にも水泳やクラシックバレエなども過去に習っていて、体を動かすことが好きです。趣味は、読書、旅行、写真撮ること、食べることです。ドイツに住んでいた時に、ヨーロッパ中を旅行しました。お気に入りの場所は、イタリアのベネチア、フランスのモンサンミッシェル、トルコのイスタンブール、ドバイです。60ヶ国制覇を目指しています!英語だけでなく、モチベーションや勉強法なども書いていけたらなと思っています。
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