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平行線と角
対頂角
2直線が交わってできた角について考えよう。2直線が交わるとき、その交点の周りに4つの角ができる。このうち、となりあっていない2つの角を対頂角という。
例えば、下図のように、\(\angle A\)と\(\angle C\)は対頂角であり、\(\angle B\)と\(\angle D\)は対頂角である。
この図の中では、
\(\angle A=180^\circ – \angle B, \angle C=180^\circ – \angle B\)
であるから、次のことが成り立つ。
\(\angle A=\angle C\)
同じようにして、\(\angle B=\angle C\)が成り立つとわかる。
これらのことは、2直線がどのように交わっていても成り立つから、対頂角について、次のことがいえる。
対頂角は等しい。
参考までに、図のなかにあった\(\angle A\)と\(\angle B\)のように足して\(180^\circ\)になるような角度を、\(\angle A\)と\(\angle B\)は互いに補角であるという。
同位角と錯角
下図のように、2直線\(l, m\)に直線\(n\)が交わるとき、\(\angle A\)と\(\angle E\)、\(\angle B\)と\(\angle F\)、\(\angle C\)と\(\angle G\)、\(\angle D\)と\(\angle H\)のような位置関係にある角を、それぞれ同位角という。
また、\(\angle B\)と\(\angle H\)、\(\angle C\)と\(\angle E\)のような位置関係にある角を、それぞれ錯角という。
平行線と同位角・錯角
1組の三角定規を用いると、平行線を引くことができる。
このようにして平行線が引けることは、下図の\(\angle A\)と\(\angle B\)が等しい時、2直線\(l, m\)が平行になることを意味している。
さらに、2直線に他の直線が交わるとき、錯角が等しいならば対頂角である同位角も等しいため、同位角と錯角には次のようなことがいえる。
平行であるための条件
2直線\(l, m\)に他の直線が交わるとき、次のことが成り立つ。
1.同位角が等しいならば、\(l, m\)は平行である。
2.錯角が等しいならば、\(l, m\)は平行である。
平行な2直線に交わるときは、次のことがいえる。
平行線の性質
平行な2直線が他の直線と交わるとき、次のことが成り立つ。
1.同位角は等しい。
2.錯角は等しい。
多角形の内角と外角
三角形の内角と外角
\(\triangle{ABC}\)において、\(\angle A, \angle B, \angle C\)を\(\triangle{ABC}\)の内角という。また、下図の\(\angle ACD\)や\(\angle BCE\)のように、1つの辺とその隣の辺の延長がつくる角を、外角という。例えば、下図の\(\angle ACD\)と\(\angle BCE\)は、ともに頂点\(C\)の外角である。小学生のときは、いくつかの三角形を調べて、角の大きさの和が\(180^\circ\)になることを知った。ここでは、どんな三角形についても内角の和が\(180^\circ\)になることを平行線と角の性質を利用して証明していく。
\(\triangle{ABC}\)において、下図のように辺\(BC\)の延長線上に点\(D\)を取り、点\(C\)を通り辺\(AB\)に平行な直線を引く。その直線を\(CE\)とする。平行線の錯角は等しいため、
\(\angle A=\angle ACE\)
平行線の同位角は等しいため、
\(\angle B=\angle ECD\)
よって、\(\triangle{ABC}\)において
\(\angle A+\angle B+\angle C=\angle ACE+\angle ECD+\angle ACB\) \(=\angle BCD=180^\circ\)
また、このとき次のことが成り立つ。
\(\angle A+\angle B=\angle ACD\)
これらから、三角形の内角と外角に対して、次のことが言える。
三角形の内角と外角の性質
1.三角形の3つの内角の和は\(180^\circ\)である。
2.三角形の外角は、それと隣り合わない2つの内角の和に等しい。
三角形の1つの内角の大きさは\(180^\circ\)よりも小さいため、鋭角、直角、鈍角のいずれかである。
よって、三角形は、内角の大きさによって3つに分けることができる。
- 鋭角三角形・・・3つの内角の全てが鋭角である三角形。
- 直角三角形・・・1つの内角が直角である三角形。
- 鈍角三角形・・・1つの内角が鈍角である三角形。
多角形の内角と外角
多角形の内角も外角も、三角形の場合と同じように定める。例えば、下図の五角形において、\(\angle A, \angle B, \angle C, \angle D, \angle AED\)は、この五角形の内角であり、\(\angle AEF, \angle DEG\)は、ともに頂点\(E\)における外角である。
四角形、五角形、六角形は、1つの頂点を共有する対角線で、それぞれ2個、3個、4個の三角形に分けることができる。
一般に、\(n\)角形は、1つの頂点から\((n-3)\)本の対角線がひけるから、\((n-2)\)個の三角形に分けることができる。
\(n\)角形を\((n-2)\)個の三角形に分けた時、すべての三角形の内角の和は、もとの\(n\)角形の内角の和に等しいから、次のことが言える。多角形の内角の和
\(n\)角形の内角の和は、\(180^\circ\times (n-2)\)である。
多角形において、角頂点における外角を1つずつとったものの和を、その多角形の外角の和という。
多角形の外角の和について考えてみよう。
多角形の和は\(180^\circ\)であるから、\(n\)角形の内角の和と外角の和の合計は\(180^\circ\times n\) \(n\)角形の外角の和は、これから内角の和をひいたものであるから、
\(180^\circ\times n-180^\circ\times(n-2)=180^\circ\times 2=360^\circ\)
したがって、\(n\)角形の外角の和は一定で、次のことが言える。
多角形の外角の和
多角形の外角の和は、\(360^\circ\)である。
また、正\(n\)角形の1つの外角は\(\dfrac{360^{\circ}}{n}\)となる。
三角形の合同条件
合同な図形
2つの合同な図形は、その一方を移動して、他方にぴったりと重ねることができる。このとき、重なりあう頂点、辺、角を、それぞれ対応する頂点、対応する辺、対応する角という。
合同な図形について、次のことが成り立つ。
合同な図形の性質
合同な図形では対応する辺の長さは等しく、対応する角の大きさは等しい。
2つの図形が合同であることを記号\(\equiv\)を使って表す。
例えば、下図のように、\(\triangle{ABC}\)を平行移動して\(\triangle{DEF}\)とかちっと重ねることができるとき、この2つの三角形は合同であり、
\(\triangle{ABC}\equiv\triangle{DEF}\)
と表すことができる。
これは、「三角形ABC 合同 三角形DEF」と読む。このように、記号を用いるときは。対応する頂点を周りにそって順に並べていく。
三角形の合同条件
2つの三角形が合同になるためには、辺や角についてどんな条件が必要になるだろうか?必要な条件を、等しい辺に注目して考えてみよう。
- 3組の辺がそれぞれ等しい場合/三辺相等
3組の長さが与えられた三角形は、下図のようにただ1通りに作図することができる。このことは、3組の辺がそれぞれ等しい2つの三角形は、合同であることを意味している。
- 2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい場合/二辺夾角相等
\(\triangle{ABC}\)と\(\triangle{DEF}\)において、\(AB=DE, AC=DF, \angle A=\angle D\)とする。このとき、\(\angle A\)が\(\angle D\)に重なるように\(\triangle{ABC}\)を移動して、辺\(AB\)は辺\(DE\)に、辺\(AC\)は辺\(DF\)に、それぞれ重ねることができるから、\(\triangle{ABC}\)は\(\triangle{DEF}\)に重なる。このことは、2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい2つの三角形は、合同であることを意味している。
- 1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい場合/一辺両端角相等
\(\triangle{ABC}\)と\(\triangle{DEF}\)において、\(BC=EF, \angle B=\angle E, \angle C=\angle F\)とする。このとき、辺\(BC\)が辺\(EF\)に重ねるように\(\triangle{ABC}\)を移動して、\(\angle B\)は\(\angle E\)に、\(\angle C\)は\(\angle F\)に、それぞれ重ねることができるから、\(\triangle{ABC}\)は\(\triangle{DEF}\)に重なる。このことは、1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい2つの三角形は、合同であることを意味している。
これまで見てきたことから、三角形の合同条件は、次のようにまとめられる。
三角形の合同条件
2つの三角形は、次のどれかが成り立つとき合同である。
1.3組の辺がそれぞれ等しい。(三辺相等)
2.2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい。(二辺夾角相等)
3.1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい。(一辺両端角相等)
証明のすすめ方
仮定と結論
下図のように、2直線\(l, m\)に直線[/latex]n[/latex]が交わるとしたら
\(\angle a=\angle c\Rightarrow\angle b=\angle c\)
であることを証明した。
また、先に挙げた平行線の性質から、
\(l\parallel m\Rightarrow\angle a= \angle c\)
が成り立つことである。
このように数学という学問では、
“〇〇 ならば □□”
の形で述べられるものが少なくない。
このとき、”〇〇”にあたる部分を仮定といい、”□□”にあたる部分を結論という。たとえば、上記でつかわれた平行線の性質は
仮定は\(l\parallel m\) 結論は\(\angle a= \angle c\)
である。
一般に、ある事柄を証明するためには、仮定から出発して、すでに正しいことが明らかにされた事柄を根拠に、結論を導けばいい。もっと簡単にいうならば、仮定を言い換えて、言い換えて、言い換えて、あ、いつの間にか結論の形になってたわでいいのです。この言い換えの部分が長かったり、言い換えずらかったりすると、難問と言われるわけです。
証明のすすめ方
作図の分野で行なった角の二等分線のことを覚えているか?角の二等分線は以下のことを根拠にしている。
四角形\(OPRQ\)において
\(OP=OQ, PR=QR\Rightarrow\angle POR=\angle QOR\)
である。
三角形の合同条件を用いて、このことを確かめる。
そのためには、以下の仮定から結論を導けばいい。
仮定; \(OP=OQ, PR=QR\) 結論; \(\angle POR=\angle QOR\)
証明の手順は以下のようになる。
仮定; \(OP=OQ, PR=QR\)
↓
\(OR=OR\)(共通)
↓
\(\triangle{OPR}\equiv\triangle{OQR}\)(三角形の合同条件)
↓
合同な図形の性質
↓
結論; \(\angle POR=\angle QOR\)
このような証明の手順のもとに、証明の書き方を考える。
\(\triangle{OPR}\)と\(\triangle{OQR}\)において仮定から
\(OP=OQ\)・・・①
\(PR=QR\)・・・②共通な辺であるため
\(OR=OR\)・・・③
①〜③より、3組の辺がそれぞれ等しいため
\(\triangle{POR}\equiv\triangle{OQR}\)
合同な図形では対応する角の大きさは等しいため
\(\angle POR=\angle{QOR}\)
定義・定理
小学校では、二等辺三角形とは、以下のようなものであると学んだはずだ。
「2辺が等しい三角形を二等辺三角形という」
このように、ことばの意味をはっきり述べたものを、そのことばを定義という。
先では、「三角形の3つの内角の和は\(180^\circ\)である」ことを証明した。この性質は、図形の性質を証明するときの根拠としてよく用いられる。このような、証明された事柄のうち、重要なものを定理という。定理をもとに導かれるものも定理という。
対頂角の性質や多角形の内角と外角の性質などは全て定理である。
言葉を簡単にすると、「こういうことにしましょ♪」というものは定義、「証明できるよね?」というものは定理と呼ぶのだ。
参考程度に、公理という言葉がある。
直線の持つ性質として、
「2点の通る直線は1本だけ引ける。」
このことが成り立つことは説明することはできない。しかし、このことは、いつでも成り立つと仮定することができる。このように、説明することはできないが、色々な議論の出発点となるような事柄を公理と呼ぶ。
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