小論文を自分で書いてみたとしても、どのように正解かを確認すれば良いのか戸惑う人は多いでしょう。
どのように小論文の良し悪しが決められるのかを把握し、それに沿って自分の小論文をチェックする必要があります。
今回は、自己採点の際にも必ず確認してほしい大切なポイントをご紹介します。
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小論文における「不正解」とは
赤本などを使って小論文を解いた際、模範解答を確認すると思います。
しかし、その“模範解答“も唯一無二の正解ではないということを意識してください。100人いれば100通りの小論文が存在するので、全く同じである必要は当然ありません。
とはいえ、絶対的に不正解な小論文は存在します。それは題意を満たしていないものです。
出題者が求めていることと異なることを書いているのであれば、どれだけ素晴らしい文章でどれだけ面白い内容であっても0点になってしまいます。
小論文は自分の書きたいことを書くものではありません。問われていることに対して論理的な答えを書かなくてはいけません。
例えば、こんな問題があったとしましょう。
「文章中の筆者の意見を参考に、あなたが考えるこれからの日本社会における大学のあり方について、1000文字以内で具体的に論じなさい。」
ここでは複数の条件が課されています。
- 文章中の筆者の意見を参考にすること
- あなたが考える、これからの日本社会における大学のあり方について書くこと
- 1000字以内で論じること
- ②部分を具体的に書くこと
これら4点のすべてを満たさなくては、この問題に正解することはできません。
それぞれの条件について具体的に見ていきましょう。
課題文をどのように活かすか
大抵の小論文の設問に「筆者の意見を参考に」「課題文を参考に」といったような文言が入っています。こう書いてある場合、あなたの意見も課題文を踏まえたものでなくてはいけません。
では、どうすればこの条件を満たすことができるでしょうか。
簡単な方法は、最初の段落で筆者の意見/課題文を要約するものです。
例のような問題であれば、「これからの日本社会における大学のあり方」について書かれている内容をまとめます。そのまとめに対して次の段落以降で「この意見に対して私は〜」など、自分の論を展開する形です。
注意しなくてはいけないのは、あくまでも「参考に」するべき部分のみを抽出して書けば良いということです。現代文で問われるような課題文全体の要約とは違うことを意識してください。
まとめの際に誤読していては自分の意見もおかしくなってしまうことにも、注意が必要です。参考にするからには課題文を正しく理解していなくてはいけません。小論文を得意にする上で読解力を高めなくてはいけない理由は、ここにあります。
引用するという手段も有効です。課題文と全く同じ文言を「」でくくって書けば、明らかに参考にしたことが伝わります。
この際課題文と違う表現を使ってしまうと引用にはならないので気を付けましょう。
あなたの意見を書く時の注意事項
課題文を参考にしつつあなたの意見を書かなくてはいけない場合、どこからどこまでが課題文中にあることで、どこからがあなた独自の意見なのかを明確に分けなくてはいけません。
そのためにも、引用するのであれば「筆者が言うように」「課題文中にあるように」などと出所をはっきり書きましょう。
やりがちなのは「〜ではないだろうか」「〜かもしれない」といったような曖昧な語尾を使うことです。
「あなたの考える」ことを聞かれているのですから、曖昧な意見で終わらせるのではなく、きちんと「〜だ」「〜である」と言い切りましょう。
8割は書く
1000字以内とあった場合は8割の800字までは書きましょう。模試などでは分量が8割以下の場合は問答無用で最低評価をつけることもあります。
人数が多く受ける大学でも、字数が満たない人のものは採点対象外にしている可能性は大いにあります。
制限字数より多く書いてもいけません。1文字でも超えていると、0点になってしまいます。
「具体的に」とはどういうことか
これもまたよくある設問ですが、「具体的に」書くことを求めれた場合どうすれば良いでしょうか。
例えば、
「これからの日本社会において、大学は日本社会をより良くするための機関として存在する必要がある。」
と書いたとします。何を言っているか分かりますか?
「日本社会をより良くする」とはどういうことなのか、想像できるでしょうか。なんとなくそれらしいことを言っているような気はしますが、結局のところどういうことなのかは曖昧です。
「具体的に」書くためには、曖昧な言葉を曖昧なまま放置しないことが重要です。
特に、「幸せ」のような人によって捉え方が異なるものや、「大きい」「小さい」などの比較対象が無ければ程度が分からない相対的な言葉には注意しましょう。今回の場合は「より良くする」という、相対的かつ主観的な表現になっています。
日本社会のこの部分をこうするための機関、とまで書かなくては「具体的」とは言えません。
「平和」と聞いて思い浮かべることが違っている状態で「世界を平和にするためには」を議論したら、話はいつまでも噛み合わないでしょう。その状態では、どれだけ熱く思いを語っても相手に自分の意図は伝わりません。
小論文でも同じです。読み手との間で言葉の意味の擦り合わせをしておかなければ、あなたの意図は伝わりません。
言葉の定義をきちんとすることは、あなたの考えを正しく読み手に伝えるために必要なことです。
「日本社会」という大きい言葉を自分なりに定義し、何をもって「良く」なったと言うのかをはっきりさせてはじめて、あなたの考えが読み手に伝わるのです。
まとめ
自己採点を行う際には、題意を満たせているのかをまずはじめに確認しましょう。
題意と言っても複数満たさなくてはならない条件があることが大半なので、いくつの条件が課せられているのかを確認した上で、書く癖をつけることが大切です。
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参考
1995年生まれ。東京都出身。
中高一貫の女子校出身で、高校時代は部活動で部長を務める他、学外で学生団体を立ち上げるなど活動。活動歴を活かせるかもしれないと、高校2年生からAO入試を視野に入れる。同時に、一般入試では早稲田大学を目指して勉学に励む。受験期の国語の偏差値は70以上で、センター模試では現代文・古文は常に満点。AO入試で慶應義塾大学総合政策学部に入学後は、研究会活動のほか、大学受験予備校や書店でのアルバイトに励む。専門分野はジェンダー学、倫理学(主にケアの倫理)、労働法。大学卒業後はコンサルティングファームなどを経て独立し、現在は予備校講師やライター、個人コンサルタントとして活動中。書店と映画館と美術館と歌舞伎座をこよなく愛し、芸術文化全般に関心を持っている。