これで解決!海城中学校国語の特徴と対策法を徹底検証!

本日解説するのは、「海城中学校」さんの国語の入試問題です。

「新しい人間力」育成を掲げ、ドラマエデュケーションなど個性的なカリキュラムを組み、東京大学合格者も多数輩出している、海城中学校。

そんな海城中学校の国語の入試問題は、どのようなもので、どんな対策をしていけば良いのでしょうか。

学校情報や入試の基本データをまとめた上で、海城中学校さんの入試問題を分析し、問題を解くにはどういった対策が必要なのかを解説します。

【学校情報】

[応募状況]

◎2020年度:募集人員 合計290名

第1回

第2回

募集人員

145名

145名

応募者数

539人

1276人

受験者数

472人

921人

合格者数

167人

290人

[倍率]

◎2020年度:第1回2.8倍  第2回3.2倍

[進路実績] 

◎2020年度:大学合格者数 

国公立大学

私立大学

東京大学

59名(38名)

早稲田大学

146名(97名)

京都大学

9名(5名)

慶応義塾大学

118名(69名)

一橋大学

7名(6名)

上智大学

24名(15名)

東京工業大学

13名(9名)

東京理科大学

112名(76名)

大阪大学

3名(3名)

明治大学

87名(51名)

横浜国立大学

9名(5名)

青山学院大学

14名(11名)

筑波大学

8名(6名)

立教大学

16名(10名)

北海道大学

12名(8名)

中央大学

47名(25名)

東北大学

4名(3名)

法政大学

24名(16名)

※他大学多数大学、海外大学(ハーバード大学)合格
※表の( )内は、新卒者合格人数。順不同

<学校公式HP「『海城中学高等学校』進学状況 2020(令和2)年度 大学入試結果」より抜粋>

[学校説明会日程]

★2020年説明会

開催中止】 ※コロナウイルスの影響による

  • 2020年7月19日(日)  帰国生対象学校説明会
  • 2020年8月22日(土)・23日(日)  夏の学校説明会

開催未定】 ※コロナウイルスの影響による

  • 2020年10月20日(火) 帰国生対象学校説明会
  • 2020年11月1日(日)  秋の学校説明会

※中止になった説明会の代替として、「学校説明動画①~⑩」を随時配信。
※学校生活や入試などについてのご質問は入試広報室で随時受け付け。

<学校公式HP「『海城中学高等学校』学校説明会 2020年度学校説明会について」より抜粋>

[入試情報・日程・科目数]

★2021年度入試

第1回入試

日程

2020年2月1日(月)

試験内容

学力検査 [ 国語・算数・理科・社会 ]   ※成績表も合否判定に加味。

募集人員

145名

出願期間

2021年1月10日(日)  0:00  ~  2021年1月25日(月)  24:00

合格発表

2021年2月2日(火)  9:00  ~

手続期限

2021年2月2日(月)  9:00  ~  14:00

入学関係書類の交付

2021年2月2日(月)  9:00  ~  14:00

2021年2月4日(木)  9:00  ~  14:00

第2回入試

日程

2020年2月3日(水)

試験内容

学力検査 [ 国語・算数・理科・社会 ]   ※成績表も合否判定に加味。

募集人員

145名

出願期間

2021年1月10日(日)  0:00  ~  2021年1月25日(月)  24:00

合格発表

2021年2月4日(木)  9:00  ~

手続期限

2021年2月4日(木)  9:00  ~  14:00

入学関係書類の交付

2021年2月4日(木)  9:00  ~  14:00

2021年2月5日(金)  9:00  ~  14:00

※正式な「募集要項」は11月上旬学校ホームページに掲載予定。

<学校公式HP「『海城中学高等学校』一般入試 入試要項 / 入試Q&A」 より抜粋>

【基本データ】

[試験時間・満点]

★2021年度入試 

国語

算数

理科

社会

試験時間

50分

50分

45分

45分

満点

120点

120点

80点

80点

※成績表も合否判定の参考に。

※総合点が合格点に達していても、ある科目が極端に低い場合には不合格になる場合も有り。

<学校公式HP「『海城中学高等学校』一般入試 入試要項 / 入試Q&A」 より抜粋>

[問題構成・解答形式]

海城中学校の国語は、試験時間50分120点満点の入試です。

問題の構成は、大問1が小説、大問2が論説であることが多く、2020年度入試も同じ形式でした。

出題形式は選択問題が中心で、記述式の問題は80字程度のものが2題程度課されることが多いようです。小説と論説それぞれで記述式の問題が出題される場合と、小説のみで出題される場合があり、どの大問で記述式の問題が出題されるかは年度によってばらつきがあります。

ただ、小説では毎回と言っていいほど記述式の問題が出題されているので、小説では記述式の問題が課されるものだと思っていてもよいかもしれません。また、大問1の小説の問題の方が、問題の本文が長く、問題数も多いため、小説の方に比重が置かれていると言っても良いでしょう。

語句系統は漢字の書き取りが毎年5問程度出題される程度です。

[合格最低点・平均点]

  • 2020年度 第1回
  • 配点:国120点 算120点 理80点 社80点 (400点満点)

合格者

国語

算数

理科

社会

全教科

最高点

109

120

67

73

331

最低点

247

平均点

76.5

88.5

52.4

51.7

269.0

受験者

国語

算数

理科

社会

全教科

平均点

67.6

73.4

46.8

44.9

232.7

  • 2020年度 第2回
  • 配点:国120点 算120点 理80点 社80点 (400点満点)

合格者

国語

算数

理科

社会

全教科

最高点

111

114

74

67

324

最低点

234

平均点

85.6

78.8

48.8

44.5

347.4

受験者

国語

算数

理科

社会

全教科

平均点

75.4

62.0

39.5

37.2

214.0

※過去5年間 第1回・第2回合格者最低点/最高点(全教科)

≪2020年度≫

  • 第1回:最高点331点 / 最低点247点
  • 第2回:最高点324点 / 最低点234点

≪2019年度≫

  • 第1回:最高点316点 / 最低点253点
  • 第2回:最高点334点 / 最低点249点

≪2018年度≫

  • 第1回:最高点312点 / 最低点235点
  • 第2回:最高点343点 / 最低点234点

≪2017年度≫

  • 第1回:最高点351点 / 最低点232点
  • 第2回:最高点325点 / 最低点231点

≪2016年度≫

  • 第1回:最高点287点 / 最低点235点
  • 第2回:最高点315点 / 最低点237点

<学校公式HP「『海城中学高等学校』受験生の方へ 2020年度入試結果 2019年度入試結果 2018年度入試結果 2017年度入試結果 2016年度入試結果」 より抜粋>

【近年の出題内容】

◎2020年度

  • 第1回

大問1

小説

選択式11問

理由・心情・内容説明

記述式1問

記述(理由説明)[60~80字以内]   1問

大問2

論説

選択式8問

内容説明・理由

記述式6問

語句(漢字の書き取り)       5問

記述(理由説明)[70~80字以内]    1問

  • 第2回

大問1

小説

選択式13問

理由・心情・内容説明

記述式2問

記述(内容説明)[60~80字以内]   1問

記述(心情説明)[80~100字以内]   1問

大問2

論説

選択式6問

内容説明・理由

記述式6問

語句(漢字の書き取り)       5問

書き抜き(内容説明)[一文文頭5字] 1問

◎2019年度

・第1回

大問1

小説

選択式10問

理由・心情・内容説明

記述式3問

記述(内容説明)[60~80字以内]   1問

記述(理由説明)[60~80字以内]   1問

記述(内容説明)[25字以内]     1問

大問2

論説

選択式8問

内容説明・理由・筆者の主張

記述式5問

語句(漢字の書き取り)       5問

・第2回

大問1

小説

選択式10問

理由・心情・内容説明・人物像

記述式2問

記述(理由説明)[100~120字以内]  1問

記述(理由説明)[80~100字以内]   1問

大問2

論説

選択式7問

語句(ことばの意味)・内容説明・理由

記述式5問

語句(漢字の書き取り)       5問

◎2018年度

  • 第1回

大問1

小説

選択式11問

心情・理由・内容説明

記述式1問

記述(心情説明)[80~1000字以内]  1問

大問2

論説

選択式5問

内容説明・理由

記述式6問

語句(漢字の書き取り)       5問

記述(理由説明)[60~80字以内]    1問

  • 第2回

大問1

小説

選択式11問

理由・人物関係・心情・内容説明

記述式1問

記述(理由説明)[70~90字以内]   1問

大問2

論説

選択式7問

具体例・内容説明

記述式6問

語句(漢字の書き取り)       5問

記述(筆者の考え)[70~90字以内]   1問

※大問1出典:宮下奈都「まだまだ、」 麻布中学校2020年度入試でも同題材にて出題。

【出題傾向】

[出題のポイント]

  1. 「小説」「論説」は毎年1題ずつ出題!
    「小説」に重点が置かれている傾向あり。

    海城中学校の入試問題では、「小説」と「論説」が毎年1題ずつ問題として出題されています。ただ、どちらも同じような本文量、問題数や種類かというとそういうわけではなく、小説の方に比重が置かれているように見受けられます。

    それは、小説の問題の方が問題本文の長さもあり、設問においても80字程度の記述式の問題が1~2題課されることもあるためです。

    「小説」「論説」ともにバランスよく対策を行うことは必要ですが、「小説」で確実に点数が見込めるように練習を行うと効率が良く対策できる可能性があります。

  2. 「選択式」の問題では紛らわしい選択肢も!
    丁寧に消去法を行いましょう。

    海城中学校の問題は、小説でも論説でも、設問のほとんどが本文内容に関する「選択式」の問題で構成されています。その選択肢の中には、正解の選択肢なのか、それとも不適当な選択肢なのか、一読しただけでは判別しにくいものが並んでいることがあります。

    合っているように見えても、選択肢の一部が本文の内容と反しており、不適当な選択肢となっていることも多いので、本文と選択肢を読み込み、丁寧な消去法を行うことが重要でしょう。

    また、本文の文脈から登場人物の心情や筆者の考えを類推し、適当な選択肢を選ぶ必要があるため、選択式の問題とはいえ侮れないのが実情です。

    本文のテーマや人物の心情の流れや筆者の主張の方向性を大きく掴んでおくことも、そういった問題を解くヒントになるので、しっかりと本文を理解する読解力をつけて臨みましょう。

  3. 語句の問題は「漢字の書き取り」が5問程度出題!
    確実な得点源にしましょう。
    語句の問題では、「漢字の書き取り」が毎年5問程度出題されています。ほとんどが4~6年生で習う漢字からの出題であり、基本的な問題といえるでしょう。問題数は少ないとはいえ、確実に点が取れるようにしておきたいところです。

[問題の分析と対策]

海城中学校の国語の問題は、先述した通り、小説・論説が1題ずつ、選択式の問題を中心に、2題ほど80字程度の記述式の問題も出題される形です。選択式の問題では、本文の文脈から、筆者の主張や登場人物の心情を類推しなければならず、また、一読しただけでは正答かどうか紛らわしい選択肢も並びます。

そういった問題を解いていくためには、第一に、本文を「一本の線」として理解するこが重要です。

小説においては、登場人物のどんな心情が描かれており、何が物語のテーマとされているのか。論説においては、筆者が主張していることはどんな内容で、何が本文のテーマとなっているのか。

入試の問題における文章では、そういったことが必ず首尾一貫として描かれているはずです。

その一本の線をしっかり辿るように読んでいくことで、「その一本の線から大きく外れたものは答えにならないのではないか?」と、問題を解く際に選択肢を削るヒントにすることができます。本文内容は「一本の線」であるということを念頭に入れて、要旨や論の方向性を掴んでいきましょう。

ちなみに、本文内容の論の方向性や要旨を掴むには、登場人物の心情の変化・本文の構成・段落ごとの要旨を掴む練習をすることや、普段から様々なジャンルの書籍に触れておくことが重要です。

似たようなジャンルの話を読んだことがあると、論の方向性や要旨が一気に掴みやすくなります。過去に出題された筆者の小説やジュニア新書などの論説・説明文的な文章をたくさん読んでおくことも、読解問題練習をするのと同じくらい重視しても良いかもしれません。

そして、海城中学校の問題を解くのに第二に必要なのは、「消去法を行い、丁寧に選択肢を削ること」です。

海城中学校の選択式の問題は、ラスト2つの選択肢までは比較的たやすく絞れるけれども、ラスト2つの選択肢の削りを丁寧にやらないと間違えてしまうような問題です。このように紛らわしい選択肢が並ぶときには、消去法を行い、一つ一つの選択肢に文章内容と反している点がないかを見つけていく作業が必要となります。

選択肢でまとめられている出来事や内容に本文と反する内容が無いか必ず確認し、その時点で削れる選択肢を削る。そして、後は本文の要旨と矛盾しないかを確認しながら答えていく解き方がおすすめです。

全体的に合っていそうでも、本文と異なる内容が書かれている選択肢は誤答となるため、さらっと一読してなんとなく選ぶというやり方が一番適していないと思われます。必ずどこが根拠になって削れるのか、確認をしながら解き進めていきましょう。

[おすすめの問題集]

◎中学受験新演習 国語 小5~6(上・下)

ジャンル・出題形式問わず読解問題をバランスよく演習することができます。問題量も多く、語句知識の問題も配置されているので、総合的な国語力を上げていくためにおすすめの問題集です。

◎中学入試 最高水準問題集 国語

難関校の入試問題の中から良問を厳選して集めた問題集です。難関中学校の問題を幅広く集めているため、様々な入試問題に対応できる力が養えます。

基本的な対策をし終わり、他の学校の問題も解いて、様々な問題への対応力を身につけたい場合におすすめです。

[総括]

今回は、「新しい人間力」と「新しい学力」の養成を掲げる海城中学校の問題を解説しました。

選択式の問題を中心としたベーシックな問題構成で、精確に速く消去法を行っていくことが肝要な問題でした。消去法をするためには、精緻に問題を捉える力を養うことにも繋がるので、ぜひ練習を重ねてみてください。

【参考】

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ABOUTこの記事をかいた人

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明治大学文学部卒。 明光義塾、トライグループと渡り歩いた豊富な指導経験を活かし、初学者の躓く勘所を抑えた記事を多数執筆。 大学での選考は日本近代文学で、芥川龍之介や梶井基次郎など大正時代の文学論にも造詣が深い。