中学受験・社会 偏差値45以下の方にオススメの基礎力底上げ問題集

近年の中学受験では、毎年のように新しい科目や形式の入試が取り入れられています。しかし、やはり基本は国語、算数、理科、社会の4教科受験です。とくに上位校、難関校と言われる学校ではその形式を崩すということは今のところ発表されていません。

中学受験ではまず算数、次に国語(配点が高いわりに正しい読み方を教わらずに点数がとれないケースも多いのですが)でしっかり点数をとり、理科、社会で点数を積み上げていくという戦略が王道と言えます。それは、4教科バランスよく得点していくことを中学側が求めているからです。学校によっては、1科目でも点数があまりに低いといわゆる足きり、つまりほかの科目がどんなに良くてもある特定の科目の点数が非常に低いと合格させないところも実はあります。ですから、4教科バランスよく学習を進め、それぞれの科目で合格者平均点、少なくとも受験者平均点をとっていくという戦略を立てて学習していく必要があります。

4科目の中で一番おろそかに、あるいは後回しにされてしまうのが「社会」ではないでしょうか。好きなお子さんは苦も無く学習し、点数をとることができますが、イメージとして「社会は暗記科目だから、もっと先に集中的にやれば間に合うでしょう」と考えていらっしゃる親御さんも多いと思います。塾でも、算国に力を入れ、社会は自分で覚えるように、という指示をするところが多いのが現状です。

ですが、入試は4教科勝負です。いくら暗記科目で最後に詰め込めばいいと思っていても、時事問題などもありますから、そう簡単に思い通りに詰め込むことは意外に難しいという怖さがある科目、それが社会です。

模試や塾内テストで社会の点数がとれない、そのような悩みを抱えていませんか?あるいは、社会という科目に興味が持てず、後手に回ってしまい、テスト前に詰め込んだけれど点数がとれなかった、そのような経験をしていませんか?

今回は、社会でなかなか成績が取れない、偏差値45の壁を破れないで苦手意識を持っている方向けに、おすすめの基礎力底上げのオススメ問題集をご紹介していきます。夏期講習のテキストで「知っていることを前提に」学習し、理解が深まらずに結果が出せていない方は、ぜひ参考にしていただきたいと思います。

社会の偏差値がいつも低い受験生の特徴

社会の偏差値がいつも低い、ほかの科目の足を引っ張っている受験生は、なかなか偏差値45の壁を越えられないでいることが多いです。その原因としては、そもそも「社会に苦手意識がある」「暗記が嫌い」「後回しにしてきた」などが多いでしょう。具体的に見ていきましょう。

覚えることが嫌い

社会は基本的に暗記することが多い科目です。もちろん、知識と知識のつながりを理解したり、用語の意味を深く理解することも必要ですが、そのためには基本的な知識を覚えていることが前提となります。基本的な知識が身についていなければ、正答率の高い知識問題を正解することは難しいですし、ましてや深い理解が求められている問題には歯が立たないでしょう。

「社会が苦手」という受験生のほとんどはこのような基本的な知識を覚えることが「苦手」です。そして、毎日コツコツ覚えていくという習慣が身についていないことが多い可能性が非常に高いです。いくら社会が暗記科目であったとしても、覚えることが嫌い、覚える気がなければ点数を上げることはそう簡単にできるものではありません。

特定の分野で好き嫌いがある

社会で点数がとれない受験生の中に多いのが、たとえば「歴史は好きだけど地理は苦手だから勉強したくない」「公民はわけが分からないから覚えられないし、興味もない」というような、分野ごとの好き嫌いがあることを言ってはばからないケースです。

中学受験の社会では、学校によりますが、地理:歴史:公民が4:4:2で出題されることが多いです(成蹊中学校などは、公民の割合がかなり高いなど、学校ごとに特徴はありますが)。そういう出題傾向がわかっており、学校ごとにどのような問題が出題されるかも過去問を見ればある程度わかるのですが、好き嫌いによって対策が立てられていない受験生は非常に多いのです。

特に男子によくみられる傾向ですが、「歴史は楽しいけれど地理は地名や地図記号を覚えたり、覚えるだけだから嫌い」というケースが少なくありません。ですが、地理を出題しない中学校はまずありません。そのような言い訳をして、好きな歴史だけ勉強していても、出題割合の高い地理を勉強しなければ、模試やテストではもちろん、入試で足きりに合う可能性を否定できません。ですから、すべての分野の基本的知識をまんべんなく覚える、理解することは避けて通れないのです。

勉強の仕方に問題がある

ある程度社会の勉強に時間をかけ、しっかりと覚えようとしているのに点数がとれないという悩みを抱えている受験生の方もよく見られます。時間をかけ、覚えようという意識もあるのになぜ点数に結びつかないのでしょう?その原因は、一言でいうと「勉強の仕方に問題がある」ということにあります。

このような受験生は、社会の勉強に対する姿勢に問題があるわけではありません。問題は「勉強の仕方が正しくない」ということです。よく見られる例としては、塾のテキストや問題集で間違ったところを解答を見て赤で直して終わっており、「なぜ間違えたのか」という意識を持たずに、間違った知識を正しい知識として理解することなく、〇つけして満足してしまうため、次に同じような問題が出題された時に、一度やったはずななのにまた間違えてしまう、ということが挙げられます。

塾のテキストや問題集はただこなせばいいというものではありません。このタイプの受験生の場合、学習が「作業」になってしまっており、一度解いたこと、〇つけをしたことで満足してしまい、実はしっかり理解して知識を定着することができていないのです。

社会の偏差値が45をなかなか超えられない受験生にオススメの問題集

なかなか社会で点数がとれない、偏差値が上がらない、そんな受験生の特徴を挙げてきましたが、それをふまえてこれから成績を上げていくためにオススメの問題集をご紹介します。

中学入試まんが攻略BON!シリーズ

受験勉強の進度に合わせ、また、受験学年の夏期講習中や受験勉強の追い込み時期に、社会が苦手になりつつある、または既に苦手意識を持ってしまい成績が上がらないという方にオススメの問題集です。覚えることが多く、なかなか中学受験の社会の勉強がはかどらない、覚えようとしても覚えられないという方にぜひ使ってみていただきたいと思います。

題名通り、まんがでわかりやすく解説されているので、勉強を始める方にとっては抵抗なく学習できますし、苦手意識があり、知識があやふやになってしまって点数がとれない方にとっても、興味を持って学習を進められるというメリットがあります。まんがの中や欄外に重要用語の解説や豆知識が書かれているので、活用すると知らず知らずのうちに知識量も増え、正確にイメージをつかんで覚えることができる構成になっています。

入試によく出る重要ポイントには、「重要マーク」や「入試に出るマーク」がついているので、苦手部分を集中的に学習するという使い方もできます。章末には一問一答で知識を確認できるようになっており、さらに巻末には入試問題も収録されているので、正確に覚えられたかどうかの確認や、社会の入試問題がどういうものなのかをイメージできるようになっています。

 

 

 

まずは、入試での出題割合が高い地理、歴史から押さえておくことをおすすめします。まんがでの解説ということで、「これで成績が上がるの?」と思われるかもしれませんが、大切な部分がしっかり押さえられているので、塾のテキストなどでは理解がなかなかできない部分についてもしっかり定着させることができます。

さらに、歴史に関しては、人物の名前などは比較的覚えられるけれど年代暗記が苦手、という受験生が多いと思います。このシリーズの年代暗記版がこの問題集です。中々覚えにくい歴史の年代についても、まんがでその時代の内容の理解を深め、語呂合わせなどの工夫が凝らされた年代早覚えで暗記する手助けになる1冊です。本来、歴史の年代は、出来事の因果関係をしっかり理解していれば細かすぎるものまで覚えなくても入試に対応できますが、中には必ず覚えておかなければならないもの、年号そのものがよく出題されるものもあります。そういった大切な歴史の年代を覚えるときに、かたわらに置いて学習すると効果がアップします。

 

同シリーズの政治・国際問題版です。受験生はすでに学習を一通り終えているでしょうが、政治・国際問題は、時事問題も多く出題されることもあり、用語そのものが難しく、また、概念を理解するという意味で地理・歴史とは異なる難しさがあります。学習する時期も遅いので、理解しきれないまま過去問を解き、点数がとれない、そのまま入試に突入ということも少なくありません。

話題のニュースなど(現在まさに内閣改造が行われていますね)について親御さんが解説してあげ、理解を深めることが非常に有効な分野ですが、自学自習する際には、この問題集がオススメです。歴史まんがは様々な出版社から出されていますが、入試を意識した政治・国際関係のまんがを使った問題集はなかなか見当たりません。基本的な知識を短期間で学習するのに役に立ちます

まだ政治・国際関係を学習していない学年のお子さんであれば、早めにこの本を一巡して、完全に理解できないまでも用語や問題となっていることがらを「知っておく」ことによって、本格的に学習を始める時期にそれほど抵抗なく取り組むことができると思います。この1冊を題材にして、親子で話し合ってみることによってより理解が深まるのでオススメです。

歴史人物できごと新辞典

 

歴史に登場する基本的な人物や、現代の著名人物をとりあげ、その人物に関連する歴史上の重要なできごとを解説した、歴史人物・できごとについての辞典です。それぞれの人物がなしとげた偉業やそれにまつわるエピソードなどについて、4コマまんがやイラスト、年表などを使ってわかりやすく紹介されています。歴史上の人物たちがどのような関係にあったかという相関図が載っていたり、本文の下にクイズを入れるなどの工夫がされており、知っておくと「歴史って面白い」という意識を持つきっかけになると思います。

細かい人物についてというよりは、歴史上本当に重要な、基本的な人物について集めていますので、歴史の人物や出来事がなかなか覚えられない、苦手という受験生が基礎知識を押さえるのに向いています。歴史に興味がないお子さんが増えていますが、そういったお子さんにも歴史への興味、関心を引くような内容になっていますので、歴史の学習の第一歩となる1冊といえるでしょう。中学受験対策の問題や、日本と世界の出来事をまとめた年表も収録されているので、知識の整理にもオススメです。

中学入試社会のつまずきを基礎からしっかり

 

中学受験に必要な社会の基礎学力を身につけることができるように、つまずきやすいポイントが収録されています。社会のどの部分が理解できていないのか、どのような問題が苦手なのかをチェックし、克服するのに使いやすい問題集です。ポイントの解説や例題によって、解き方のコツやつまずきのポイントが確認できるようになっており、さらにマスター問題で解き方を理解できたかどうかを確かめることができるようになっています。

社会の基礎学力をつけることができるように工夫されていますので、日々のテストや模試の前に見返して自分の苦手なところをチェックし、確認するという使い方もできます。ただし、あくまで目標は中学入試ですから、まずはできないところを少しでも減らしていくという意識をもって学習していくことをオススメします。ある程度身についたと思ったら、テストや模試の前に見返すという使い方が良いでしょう。ですが、直前に見るだけでは大切な基礎知識は定着しません。その点は気をつけて活用するようにしましょう。

?に答える!小学社会

 

近年の中学入試の社会では、学校の教科書にしっかり載っている内容を使って出題される傾向が強くなっています。もちろん教科書の内容をそのまま問うようなものではなく、見た目は難しく感じるものが多いですが、受験勉強をしているとどうしても塾のテキスト、指導内容に頼りっぱなしになってしまうことがあります。ですから、塾のテキストでの勉強だけでなく、学校の教科書の学習もおろそかにすることはできません

この本は、教科書や塾のテキスト、また、日々のニュースでも「?」と思ったことをすぐに調べることができるようになっています。写真や地図、中にはパノラマ絵など、ビジュアルで理解しやすいように工夫されていますので、社会に苦手意識がある方が学習するときに常に参照すると、理解が深まります。ビジュアルが多く使われていることによって、自分で調べる面倒くささが解消され、進んで調べることができる習慣を身につけるには最適です。「自分で調べる」ことは、特に社会ではとても大切なことです。自分で調べるからこそ理解が深まり、知識が定着するからです。「?」と思ったらすぐに調べ、「!」(問題解決!)という経験を積んでいくと、苦手意識が減ってきます。一つ調べることによって、関連することも調べる、そのような学習習慣をつけ、基礎知識を定着させるのにオススメです。

中学入試くらべてわかるできるこ図鑑社会(中学入試できる子)

 

中学入試で必要とされている能力、それはさまざまな知識を比較する、ということです。1つ1つの知識を断片的に覚えていてもそれだけ答えればよい、という問題は減ってきており、共通、あるいは対立するテーマについて知識を総動員して答えさせるような問題が増えています。

この参考書は、社会の学習で最も必要なこと、つまり自分の持っている知識を使ってさまざまな角度から物事を考えるという習慣を身につけるのにオススメです。学習をしている中で出てくる用語、人物、できごとを比べることによって、正確な知識を身につけることができ、「考える力」が養えるのです。イラストや図がたくさん載っているので、社会に苦手意識がある受験生も抵抗なく使えますし、受験学年でなくてもこの参考書を使って「比べてみる」ことによって考える力を養うことができ、先々の学習にも役立ちます。中学受験で押さえておくべき「違い」を理解すると、ただ覚えるだけで退屈、という社会へのイメージが変わっていきます

まとめ~問題集の使い方

今回は、社会の点数がなかなか伸びない、知識が覚えられない、というような、苦手意識を持っている可能性のある受験生(受験生予備軍)の方向けに、基本的な知識を興味を持って身につけることのできる問題集や参考書をご紹介しました。

中学受験の社会は難化傾向にあります。しかし、問われている知識は決して細かい難しいものではありません。見た目が難しく感じるように、差をつけられるような問題が出題されるようになってきているということです。志望校対策を行うまでに、まず苦手意識を減らし、基本的な知識を正確に身につけることが大切です。

今回ご紹介した問題集や参考書に載っている問題についても、ただ解いて〇をつけ、間違えたところは解答を写して終わりにしてしまっては、せっかく使った学習時間が無駄なものとなってしまいます。わからないことがあったらすぐに調べる、間違えたものについては徹底的に考え方を確認する、そのような学習を進めていけば、社会は短期間でも成績を上げることができる科目です。ぜひ、問題集や参考書の「使い方」についても注意して、学習を進めてください。そのためには、ぜひ親御さんにも、お子さんがどのように問題集や参考書を使っているかチェックしていただきたいと思います。ぜひ、皆が正解してくる問題をおとさないようにするために、基本的な知識をおろそかにしないようにしていっていただきたいと思います。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。