【グローバル化・理系志向で人気再燃】青山学院中等部の入試の国語の特徴を徹底解説!詩の出題も特徴的!その2・攻略法編

前回の記事では、青山学院中等部の入試の国語について、出題の特徴や近年の傾向をご紹介しました。

青山学院中等部の入試の国語は、制限時間50分であることからすると、大問の多さと出題される文種のバリエーションの幅広さ、そして設問数の多さという点から、難易度が高い入試であると言えます。

文章一つひとつはそれほど難易度が高いわけではありませんが、正確に、また速く読み進み、設問そのものも読み間違えずに、頭を切り替えながら解き進んでいかなければいけません。

では、そのような入試問題を攻略し、合格点をとるためにはどのような対策をしたらよいのでしょうか。今回は、青山学院中等部の国語分析その2として、入試対策を文種ごとに解説します。ぜひ参考にしてください。

青山学院中等部の国語入試対策

このような出題が見られる青山学院中等部の国語で解き負けないためには、どのような対策をすればよいのでしょうか。今回は、文種別の特徴と合わせて、攻略法を見ていきましょう。

文章読解の攻略法

2021年度も、詩1題、論説文2題、物語文1題という出題で、文章読解が出題の中心となっています。青山学院中等部の偏差値の高さからすると、出題される文章そのものや、設問一つひとつの難易度はそれほど高くはありません。

そのような特徴から、青山学院中等部が受験生に求めているのは、難解で膨大な量の文章を機械的に処理していく力というよりも、受験勉強を含めた小学校の6年間で培ってきた基礎的な国語力だと考えられます。

文章の長さも、物語文は多少長いですが、それでも他校と比べると短い文章となっています。比較的長い物語文も、文章自体は平易なものが選ばれており、2021年度のように主人公が大人である文章であっても、内容的には受験生からしても理解しやすい、読みやすい設定やストーリー展開が特徴となっています。

記号選択肢問題は多少選択肢に紛らわしいものが入っている場合もあるものの、落ち着いて取り組むことができれば、正解するのはそれほど難しくないと言えるでしょう。

ただし、制限時間内に解かなければいけない問題数からすると、1題ずつ時間をかけてじっくり読んで答えるという時間はありません。簡単すぎず、難しすぎず、非常に良く練られた設問が並んでいますが、50分で4つの文章を読み、39問の小問に答えていくことを考えると、どうしても本文の読みが雑になってしまう可能性があるので、その点には注意が必要です。

そこで必要になるのが「スピードと正確さ」です。長文読解を行う際には文種ごとの読解のセオリーがあります。それに忠実に解き進んでいくことが大切だと言えるでしょう。段落や要旨・要約、場面や情景、登場人物の心情やその変化、主題など、論説文でも物語文でも狙われやすい中心となるテーマを確実に答えられるように訓練することが重要です。

記号選択肢問題・書き抜き問題が中心だが、問われる内容が多岐にわたる

一つひとつの設問は、記号選択肢問題や書き抜き問題で3分の2近くを占めています。選択肢問題や書き抜き問題中心と言うと、難易度が低いと考える方もいらっしゃいますが、青山学院中等部の国語はそう甘くはありません。

出題形式が単純なものだとしても、各設問の内容は、たとえば文脈理解や、文章の内容・要点の読み取り、登場人物の心情の読み取りにはじまり、本質的な「読み」の力が問われるようになっています。「要旨」「主題」の読み取りや、指示語、文の整序、漢字やことばの知識も多く出題されるなど、設問を読んで即座に答えられるような出題ではありません。

求められるのは「本質的な読解」

こうした出題の幅の広さ、本質的な読解が求められるという点で、青山学院中等部の国語は難易度が低いとは言えません。平均的レベルというのが正しいでしょう。50分で39問という設問数からしても、1問あたりにかけられる時間は短いので、そうした意味でも高得点を狙うのはなかなか難しいと言えるでしょう。

ただし、問われている内容は決して奇をてらったものではありません。長文読解を行う際に必ず必要な「文脈にそった」「客観的な」読解というものがしっかりできているか、その基礎基本を問う良問が揃っています。要は設問の「見え方」が特徴的なだけで、以下に速く正確に文章の内容をつかむことができるか、という力が問われていると言えるでしょう。

短時間に多くの設問に答えなければいけないと思うと焦ってしまいがちですが、設問に引きずられるというよりも、本質的な読解力を、さまざまな文種を出題することによって問うているのです。

記述問題は少ないが確実に得点を

記述問題は例年物語文で1問と出題は少ないです。青山学院中等部の国語の記述問題は、おおむね30字~50字程度のものが出題されることが多いですが、基本的には文章全体の要約をさせるような記述や、受験生の年齢では理解が難しい心情を説明するようないわゆる「重たい」記述問題が出題されることはまずありません。

どちらかというと文中に出てくるキーワードを説明させるといった短めの記述が主流ですので、普段の学習では「このことばはどういう意味で使っているんだろう」と意識しながら読み、自分で簡潔にまとめてみるといった学習が対策として有効です。

このような記述問題の少なさや出題傾向からしても、記号選択肢問題や書き抜き問題での正答率を上げていくことが何よりも重要な長文読解問題対策になると言えるでしょう。

詩(韻文)の攻略が合否を分ける

2021年度も詩が出題されていますが、ここ数年の傾向として、青山学院中等部では詩などの韻文が必ず出題されているのが非常に特徴的です。中学入試で詩を出題する学校は決して多くありません。青山学院中等部で出題される詩も、決して読みにくいものではなく、また文章量もそれほどではありませんが、短いからこそ一つひとつの「ことばの意味」への深い理解が求められます。

詩で求められるのはあくまで「読解」

詩は短いですが、求められているのは論説文や物語文と同じ「読解」です。独特の読み方が必要にはなりますが、あくまで客観的に読めるように訓練することが重要です。読解問題4題のうち1題を詩が占めるということは、配点も2割程度は配分されていると考えられます。そのため、詩で大崩れしてしまうと、差がついてしまい、挽回が難しくなってしまうので注意が必要です。

特に難解な詩が出題されるといったことはなく、あくまでも中学受験生の平均レベルの詩が出題されます。ただし、詩は表現技法がほかの文種と比べて特徴的ですから、それに対する十分な対策は必要です。表現技法の名前、あることばが何を具体的に表現しているのか、作者は何を伝えたくてその詩を書いたのか、そうした基本的なことをしっかり押さえるように心がけて、できるだけ多くの詩に触れておくことが対策になります。

詩ならではの読解力が必要

また、詩の読解には、ほかの文種と異なり一種の「想像力」が求められますあることばが何を指しているのか、作者が何を伝えたいのかという詩の読解においては、短い文章を自分なりに補いながら読んでいかないと設問を解くことはできません。

このように自分で意味を補いながら客観的に読む練習は、ほかの文種の長文読解にも役に立つのでぜひやってみてください。

他校の詩の問題で対策を

中学入試で詩を出題する中学校が少ないことから、入試レベルの詩の読解練習のためには、他校の過去問も積極的に活用しましょう。青山学院中等部の詩の問題では、単に意味・内容を把握するだけでなく、詩全体が何を伝えたいのか、全体を把握する力が求められます。

通常の塾のテキストの演習量ではそこまでの詩の読解は難しいので、同じタイプの詩を出題する雙葉中学校や筑波大附属駒場中学校などの詩の問題を題材にすることをおすすめします。

これらの学校の詩の問題に共通するのは、詩の表現にこめられた作者の真意を問うという点です。ただし、難度が高い、読みにくい詩が出題されることも多いので、西武学園文理学園中学校の詩の過去問も取り入れると様々な詩に触れることができるのでおすすめです。

こうした過去問を解く際には、単に解答の〇×だけを確認しても意味はありません。あくまで読解力が試されているのですから、設問と詩を突き合わせてみて、作者がなぜその詩を作ったのか、その心情を考えてみるひと手間をかけることが詩を攻略するコツです。

漢字やことばの知識も重視される

2021年度も漢字の書き取り問題が6問出題されました。例年、5~6問漢字の書き取りが出題されています。決して難しい漢字が出題されるわけではありませんので、お通いの塾の漢字のテキストをコツコツ仕上げていくのが一番の近道です。

ただし、難しくはないといっても、同音異義語や同訓異字など、迷いやすい漢字が狙って出題されるので、四谷大塚の「四科のまとめ」などを使って、「ことばの練習」という意識で漢字の学習をすすめることをおすすめします。

また、長文読解の設問の中には、ことばに関するものが1題あたり2~3問程度出題されています。同じ意味のことばや外来語、ことわざや慣用句、接続詞など、ことばを自由自在に操ることができるように意識して訓練することが大切です。

まとめ~高得点をとるカギ

今回は、青山学院中等部の国語で合格点をとるために、過去の出題傾向から特徴と対策のポイントを解説しました。青山学院中等部の国語で高得点を取るカギは以下の4つです。

  • 要点を読み取るためのスピードと正確さ
  • 記号選択肢問題や書き抜き問題は文章中の根拠をもとに対策
  • 記述問題は必要なことを簡潔にまとめる
  • 漢字やことばの高度な運用能力

青山学院中等部の国語は、制限時間が50分なのに対して大問が4~5題、設問が40問近くある、非常に「忙しい」のが特徴です。ですから、文章を読んだら止まることなくスピーディーに設問を解き進めていくことが必須になります。漢字以外は読解問題ですから、文章中から要旨・要点を素早く把握する力を身につけておくことが非常に重要です。

また、記号選択肢問題や書き抜き問題が多く出題されますが、ここで意識しなければいけないのは、「文章中の根拠を示せるか」どうかです。文章と離れた内容の選択肢を選んだ瞬間、ほかの受験生に大きく差を付けられてしまうでしょう。

そのためには、消去法よりも、一つひとつの選択肢をしっかり吟味し、客観的な読み、根拠との突き合わせを徹底していくことが大切です。正解だと思う選択肢の根拠がきちんと本文中に書かれているかを確認しながら解き進む訓練が重要です。

記述問題は2021年度も1問だけでしたが、30~50字程度の短い記述問題は例年出題されています。ある程度長い記述問題であれば、少し「書き過ぎ」ても大きく外すことはないでしょう。しかし、短い記述問題であればあるほど、必要なことだけを簡潔にまとめることができなければ点数がもらえません設問をしっかり読み、「何を答えればいいのか」ワンクッション置いてから、解答に入れるべき部分を見極め、字数内に収まるように表現を工夫することが求められます。

これは訓練なしにはできません。設定されている字数には、その文字数で十分説明できる、という中学校側の意図が込められています。簡潔にまとめるためには、一文も漏らさず正確に本文を読み進めることが何よりも重要になります。

多くを占める記号選択肢問題や書き抜き問題で高得点がとれるかどうかが青山学院中等部の国語で高得点をとる大きなカギです。スピードと正確さを常に意識しながら、通常授業で扱う問題、過去問すべてにおいて素早く内容を把握する訓練を積んでいきましょう。

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参考

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。