【中学受験】今だからできる!社会勉強法・克服法 公民編

前回まで、「今だからできる!社会勉強法・克服法」として地理、歴史分野についてご紹介してきました。今回は、今まさに皆さんが学習しているか、学習を終えたばかりの「公民」分野について勉強法・克服法についてご紹介していきます。

皆さんは、「公民」と言われてどんなことを頭に思い浮かべるでしょうか。「何を勉強しているのかわからない」「ことばの意味が難しい」「憲法って言われても説明できない」などなど、受験生に聞いてみると、社会の中で最もわかりにくい、覚えられない、という印象を持っている方が多いのです。

公民というと、憲法や立法・行政・司法といった三権分立にはじまり、社会保障や国際関係まで非常に内容は多岐にわたります。ですが、中学受験のカリキュラムでは一番最後に学習するため、歴史のカリキュラムが遅れがちだと公民は駆け足になってしまったり、場合によっては一部を端折ってしまうことも散見されます。ですが、中学入試では地理や歴史に比べて配点は低いことが多いものの、公民の全範囲を学習していなければ知識があやふやになったり、正しい答えを選ぶのに非常に迷ってしまい、記述問題が出されたときには理解が不十分なため的外れなことを書いてしまったりしてしまう、それが公民分野の怖さでもあります。

今回は、中学受験の社会の中で一番学習時間が少ないのに漠然として理解しにくい「公民」について、今だからこそできる勉強法、克服法についてご紹介していきます。抽象的な内容が多く理解しにくいと思われるかもしれませんが、一番日常生活に密接に関連する分野でもあります。少し意識を変えるだけで、理解がぐんと進みますよ。ぜひ参考にしてください。

社会は単なる暗記科目ではない

受験生の皆さん、また保護者の方も、社会は暗記科目だからあとからやれば間に合う、と思うケースが非常に多いです。ほかの教科の勉強がたくさんあるからまずそちらをやらないと、今は社会まできちんと勉強する時間がとれない、などと理由をつけて後回しにしがちです。どうしてそうなるかというと、やはり「暗記科目」という意識が抜けないからです。

ですが、今学習してもなかなか覚えられないものを、いざ直前期にまとめて覚えようとして覚えきれるでしょうか?中学受験で必要となる社会の知識量は付け焼刃で対処できるほど少なくありませんし、近年の入試問題の傾向では単に知識だけを問う問題は少数派で、幅広い知識を関連付けて正確に理解できているかどうかをあの手この手で聞いてくる問題がほとんどです。

もちろん前提になるのは基礎知識です。基礎知識がないのに違う聞かれ方をしても答えられるわけはありませんし、ましてや記述問題となると何を書いてよいのかわからないということにもなりかねません。公民分野は学習する時間が短いだけに、基礎知識の徹底が非常に重要な分野なのです。

総復習できる時間はなかなかとれない

塾の夏期講習の申し込みが始まる時期ですが、塾からは夏期講習で全範囲を総復習するからぜひ受けてください、今できていなくてももう一度やるから大丈夫、という説明を受けることがほとんどです。ですが、夏期講習で言われる「総復習」を安易に信じるべきではありません。なぜなら、夏期講習の授業は基本的に問題演習中心だからです。

たしかに全分野にわたる問題演習をするという点では「総復習」ですが、苦手意識がある場合は「総復習」に「もう一度解説してほしい」という期待を持ちますよね。ですが、夏期講習では知識をもう一度体系的に整理して解説してくれるわけではありません。問題をひたすら解き、その問題の解説をする、その繰り返しです。それでは、解いて見せてもらっているだけで、自分の中で正確な知識を理解し、定着させるということはまずできません。また、問題に出てきた部分だけを解説されるので、基礎知識がきちんと入っていない場合は、それこそ知識がバラバラになってしまい、問題はたくさん解いたけれど帰ってきたら何を学習したのか忘れてしまっているという受験生が非常に多いのです。

つまり、今現在公民分野を学習しているのなら1回1回のカリキュラムを着実にその週のうちに理解する必要がありますし、もしすでに公民分野の学習を終えている場合は、夏休みに入る前に基礎知識を確実なものにしていかなければ夏期講習を有効活用することができないことになってしまいます。

また、秋以降は志望校対策でも、通常授業でも、過去問を使うなどさらに難度の上がった問題演習が学習の中心となります。その段階になると、もう一度知識を何とかしなければ、と思っても膨大な問題量に追われてしまい、知識を理解し、定着させる時間を摂るのは非常に難しくなってしまいます。

知らなければ解けないのが社会の難しさ

直前期になれば時間的余裕もないので、塾に言われるがままに過去問などの問題演習中心の学習をしようと思っても、社会は受験生や保護者の方の多くが思っていらっしゃる通り、知識がモノを言う教科です。つまり、設問の内容に対応した解答をしない限り正解することはまず不可能です。「知らなければ解けない」教科であることが社会の難しさと言えるでしょう。

そのため、基礎知識を体系的に、きちんと整理して、かつ正確に理解できていないと、いくら問題演習に入りたくても問題が解けないという状態に陥ってしまいます。そうすると、知っていればとけるはずの問題が軒並み不正解、あるいは白紙答案となってしまい、自信をなくしてしまいます。暗記科目だからと油断していた社会に足を引っ張られ、受験に対するモチベーションが下がってしまうことも考えられます。

今こそ着実に理解すべきなのが公民分野

多くの受験生の皆さんは、現在塾のオンライン授業などで社会は公民分野を学習しているのではないでしょか。お通いの塾によっては5年生の間にすでに公民の学習を終えているという方もいらっしゃるかもしれません。いずれにしても社会の中で一番最後に学習するのが公民です。では、先週学習した公民の内容について、問題を出されたら即答えることはできるでしょうか。基礎知識はしっかり覚えていると自信をもって言えますか?

社会に限らず、中学受験に必要な知識は、繰り返して学習していないとすぐに忘れてしまうものです。もし知識自体は覚えていたとしても、使い方をマスターしていなければ、必要なときに正しい知識を取り出して使いこなすことができません。いくら「それ知っている」といっても、実際の問題に対応できなければ不正解だということに気づかない受験生は非常に多いので注意が必要です。

「社会は暗記だから何とかなる」という気持ちでおろそかにしていると、いくらほかの教科を頑張って学習して成績が上がったとしても、「簡単だ」と一段下に見ていた社会の知識問題に足をすくわれ、4教科総合ではなかなか良い成績がとれないということになりがちです。それが続くと、入試本番でも総合点で足りずに不合格ということになってしまいます。それではあまりに残念ですよね。

現在公民のカリキュラムの最中の方、あるいはつい最近まで公民を学習していた方も、まだ記憶が新しいはずなので、今のうちに公民の知識をしっかり身につけることが大切ですし、一番効率的です。ただし、公民の場合、いわゆる「知識のまる覚え」は通用しません。「三権分立」といっても目に見えるものではありませんよね。地理や歴史に比べて非常に抽象度が高く、小学生にはなかなか理解しにくい分野、それが公民なのです。

では、どのようにすれば公民の知識を正確に理解することができるのでしょうか。

勉強したばかりなのになかなか理解できない公民の知識

公民は、本来私たちの日常生活に密接にかかわっている分野です。ですから、日常生活に置き換えてみればなるほど、と思うような内容を学習します。

ただし、公民の分野で使われていることばはどちらかというと抽象的で、目に見えないものをことばで表しているというケースが非常に多いです。目に見えないものを理解するのは大人でも難しいですよね。そこが公民分野の難しさで、学習したばかりなのに理解できていない状態を作り出す原因でもあるのです。

公民は社会の中でも特に「抽象的」だから覚えられない

たとえば、「天皇は日本の象徴だ」と言いますよね。天皇はかつては神とされていましたが、第二次世界大戦を境に人間宣言が行われ、その後憲法でも象徴天皇制が明記されています。ですが、その「象徴」とはどんなものでしょう?象徴ということば自体は辞書で調べればわかりますが、天皇が象徴であるということを理解するのは小学生にとっては少々骨が折れるのです。

つまり、公民の知識を身につけるためには、出てきたことばや仕組みを「具体的に」理解することが不可欠なのです。ワンクッションが必要になるイメージだと思ってください。

ですが、塾の公民の授業はどうですか?時間内にカリキュラムを終えるため、一つひとつの用語についての十分な説明はされないことがほとんどですし、まる覚えするしかない、と言われたというご相談を受けることもあるくらいです。抽象的な用語をただまる覚えしなさい、というのは、地理や歴史の固有名詞を覚えるのとは全く違う難しさがあるのです。

そういう授業が繰り返されるため、一度学習した「はず」のの状態が続いてしまい、結局理解できないまま積み残しが残るだけ、ということになってしまっている受験生の方は非常に多いです。ですが、普段はなかなか振り返るチャンスが無かったかもしれませんが、小学校が休校中で自宅学習の時間がしっかりとれる今だからこそ、これまで学習した公民分野をしっかり理解するための学習ができます。

今だからこそ学習した範囲を振り返ろう

一度学習したことをしっかり深め、正しく理解し、定着させるためには振り返ることがとても重要です。ですが、現在、多くの塾がオンライン授業を行っていることもあり、授業は一方通行で、さらにその復習は「残りは自分でテキストを読んでおいて」「今回のテキストの問題を解いておいて」ということになっています。ただでさえ抽象的でひとりで理解するには骨が折れる公民分野を、すべて説明せずに自分で読んで理解しろというのはどだい無理な話なのです。

それほど間が空いていないのに覚えられていないのは、公民で学習する内容が目に見えないものだからです。そのため、テキストでは図が書かれていてできるだけ抽象的なものを具体的に見られるように工夫がされています。ですが、「テキストを読んでおいて」と言われると、たいていのお子さんは文章だけを読み、図や表を飛ばしてしまうのです。これが、公民分野が覚えられない大きな要因となっているのです。

公民で重要なのは抽象的なことを具体的に説明してくれる図表

抽象的な公民分野をしっかり理解するためには、具体的に説明している図や表をしっかり頭に入れることが地理や歴史以上に非常に重要です。テキストの文章をいくらながめていても、知識は頭に入ってきません。たとえば、「三権分立」を解説している回には、必ず三角形の図が書かれているはずです。立法、行政、司法がそれぞれの頂点にあり、その間には両方向に矢印が書かれていて、それぞれの関係性について説明しています。

いくらことばで「三権分立」と唱えても、その中身は頭に入ってきません。大切なのは、その図を理解して説明できるようにまでなることです。そこまでできれば理解できたと言えるでしょう。図を覚え際にただながめて頭に焼き付けようとする受験生の方は多いのですが、それでは頭に入ってきません。大切なのは「手を動かすこと」です。三権分立なら、その三角形の図を何も見なくても書けるようになるまで何度も手を動かして、ポイントを指さしながら覚えていくのです。視覚と共に手を動かすことが、公民分野を克服するポイントです。

図を何回も書き、頭に入れるにはそれなりに時間がかかります。小学校が休校中の今の時期なら、いままで「なんとなく見てきた」公民の内容を体系立てて再度学習することが可能です。「学んだはずの知識」を「使える知識」に変えるのです。少し前に学習したところですから、すべて忘れてしまったということはあまりないはずです。ただ、その内容が不正確だったりあやふやだったりするだけです。今のうちに正確に理解し、定着させるようにすることがとても大切なのです。

保護者の方の協力は強い味方!

公民は小学生がひとりですべて理解できるほどやさしい内容ではありません。ですから、自宅学習をする際にはぜひ保護者の方も力を貸してあげてください。クイズ形式で用語の内容が理解できているか確認したり、わからない抽象的な内容を、世の中の動きに寄せて説明してあげるのもいいですね。可能であれば毎日のニュースを一緒に見て、首相がなにを言ったのか、裁判所は何をしたのか、国会はどういう状態になっているのか、などについて一緒に話をするのがおすすめです。このようなやり取りは、時事問題対策にもなるので、一緒にいられる時間が長い今だからこそ親子で公民対策をすることをオススメします。

知識は単体で覚えようとしない

公民は、地理や歴史と少し毛色が違うと思われがちですが、そんなことはありません。地理→歴史→公民という順に社会のカリキュラムが進むのは、公民を理解するうえで必要な分野を先に学習しておく必要がありからです。歴史を学習するためには、地理の知識が必須となります。また、公民を学習するためには地理、歴史双方の知識が必要です。

入試問題では、歴史の問題の中で公民の知識を聞いてきたり、公民の問題の中で歴史や地理の知識を聞いてくるなど、分野横断的な問題が最近のトレンドです。ですから、一つの知識を学習する際には、どこまで知識をつなげていけRか確認しながら覚えることが大切です。その方が、知識単体で覚えるより効率がいいですし、印象に残ります。

特に近代史と公民は密接にかかわっている

公民では必ず憲法を学習します。今の憲法は「日本国憲法」で、改正問題などが毎日のようにニュースで報道されますね。ですが、今の日本国憲法は、第二次世界大戦後につくられた新しい憲法であり、それまでは「大日本帝国憲法」が存在したということは、歴史を学習したら覚えていることでしょう。

第二次世界大戦によって日本はアメリカに占領されました。その際に、これまでの大日本帝国憲法をアメリカ主導で新しくしたのが日本国憲法なのです。たとえば、「宗教の自由」などは、他の国の憲法にはあまり見られない権利です。それはなぜかというと、第二次世界大戦では、天皇が神であり、神道の考え方の元、お国のためにと言って特攻隊などで命を落とした若者がたくさんいたことによる反省のため、わざわざ憲法で制定されているのです。

これひとつをとってもわかるように、公民分野の知識は、特に歴史、なかでも近代史と非常に密接な関係があります。今の日本の憲法や国会、政治、司法などの制度は近代史とは切っても切れない関係です。ですから、公民を学習する際には近代史をはじめとした歴史の関連事項と一緒に整理するのが理にかなっていますし、深い理解につながります。

目まぐるしく状況が変化し、日本国内だけでなく他国との関係性も意識しなければならない近代史自体も知識量は膨大です。歴史上のできごとは、その時代だけでなく、その後の流れにも影響してくるだけでなく、公民の理解のためにも必須の知識です。知識があやふやなポイントが出てきたらその場で解決して、早めに定着させるようにしておくことをオススメします。

1問1答形式のテキストは使い方に注意

社会の学習をする際には、重要な知識を簡潔にまとめたサブテキストを利用しているという受験生の方も多いでしょう、予習シリーズでいうとサブノート、サピックスならコアプラスなどです。ただし、これらの教材は特に公民の場合は使い方に注意が必要です。それらの副教材は知識を凝縮しているものなので、スペースの関係上、1問1答形式になっていることがほとんどです。そうすると、単体の知識を意識しがちになるので、知識と知識を関連付けて学習するという姿勢が失われてしまう可能性があるので気をつけましょう

コアプラスやサブノートは、知らない知識をあぶりだすのにとても役立ちます、ですが、知らない知識を抽出して終わっては意味がありません。それを実際に理解し、頭に入れることが目的なので、その目的を忘れないようにしてください。たとえば、ひとつの知識を学習したら、関連する知識を調べて肉付けしていくようにして学習していくと、関連知識も一度に確認できるので効率が良くなります。知識どうしの関係をしっかり理解して整理すると、多くの知識がいもづる式に出てくるようになるので、今後始まる総合問題演習の際にも慌てずに済みます。

学校の教科書をおろそかにしないことが重要

公民の学習を進める際には、ただ文章だけを目で追うのではなく、抽象的なことを具体的に説明してくれている図表を頭に入れ、自分で何も見なくても書けるようにすることが重要だということをご紹介しました。ただし、塾のテキストでは白黒の図が多いですから、視覚的になかなか覚えにくいという現状もあります。そこで活用したいのが「学校の教科書」です。学校の教科書には表やグラフはもちろん、カラー写真を用いた資料が大変充実しています。

塾のテキストのような文字だけの知識ではなかなかイメージしきれない公民の分野では特に覚えにくいところをわかりやすく説明してくれている学校の教科書は参考書として威力を発揮します。受験生なら必ず押さえておきたい基礎知識に関わる図表がコンパクトにまとめられているので、学校の教科書はぜひ徹底的に利用したいところです。

中学校の入試問題では、公民の問題の出題割合は地理や歴史に比べて低いことは確かです。ですがそれだけ、中学校によるカラーが出る分野でもあります。たとえば成蹊中学校では、大問は公民関係の記事等を題材に、地理や歴史の総合的な知識を問う問題が出題されることが多いです。その場合であっても、教科書に載っていないような細かい知識を聞かれることはありません。むしろ、学校で習う内容をどこまで深く理解しているか、他の分野の知識と関連付けて総合的に考えられるかという点を見たい、それが中学入試問題には表れています。

小学校が休校中の今の時期だからこそ、公民分野について教科書の内容をしっかり理解する時間をとることを意識しましょう。教科書の内容は、中学入試の際に求められる最低限の知識ですし、中学校側もそれを前提に入試問題を作ります。教科書の図表の説明についての知識を問う問題が出題されることも少なくありません。教科書は塾のテキストと比べて知識量、と侮らないようにしてください。抽象的な公民の内容を具体的に理解するために教科書は絶好の教材です。中学受験における基礎が詰まっているので、学習する際にぜひ活用してください。

公民分野は頭の切り替えが求められる

中学入試の公民分野の問題は、それほど細かい知識は問われません。ですが、設問一つひとつが広い範囲から作られているため、頭の切り替えが非常に重要になってきます。女子最難関中学の桜蔭中学校の公民の問題は、一つひとつの設問は短めですが、広い範囲から出題されており、1問解いたら次の問題を解く際に頭を切り替え、それを繰り返して解き進まなければならなくなっています。

ただでさえ抽象的な公民分野で頭を切り替えながら問題に答えていくためには、やはり正確な知識を、どのような聞き方で聞かれてもこたえられるように理解しておくことが必要です。今後、総合問題演習が始まった時にもその傾向は顕著なので、基礎知識の習得を徹底して、知識どうしの関連性を意識しながら学習するようにしてください。

習ったのに忘れていた内容を早めに克服

社会の知識は、カリキュラムが進むごとに前までの回をしっかり理解し、定着させるのが理想的です。しかし、現実的にはそれは難しいです。現在はオンライン授業でなかなか単元ごとの小テストを緊張感をもって受けることができない状況かもしれませんが、自分で解いたとしても毎回満点ということはどんなお子さんでもまずありません。それどころか、単元によっては全く覚えられていないということもありえます。その原因はやはり「勉強時間をとっていない」ことにあります。

社会は後回しにされやすい教科であることはご説明しましたが、せっかく授業を受け、テキストを読んでいるのに頭の中に入っている知識があまりにも少ないと、あとからまとめて覚えようとしても一からやり直さなければならないことになりかねません。そもそもどこから手をつけたらよいのかわからないので最初に戻って・・・ということを繰り返していては、時間ばかりかかってなかなか知識を正確に覚えることができません。また、覚えたとしてもその知識は断片的なものになってしまいます。

弱点ノートを作っておこう

これまでに間違えた問題をピックアップすると、自分がなぜその問題を間違えたのかということが良くわかります。知識不足で間違えた、苦手な単元だった、出題の意味が分からなかった、など間違えた理由はさまざまです。いずれにしても、一度間違えたものはそれを克服する必要があります。そこでオススメしたいのが「弱点ノート」を作っておくことです。間違えた問題をコピーやプリントアウトするなどして、ノートの見開きの左ページに貼って作りましょう。

そして、空いているノートの右側に、その問題をもう一度解いてみましょう。そこで解ければ〇にしてOKです。ただし、一度間違えたものですからもう一度解いてすぐに正解するということは実際にはあまりありません。でも、今のうちはそれで構いません。弱点を集めて何度も短いスパンで繰り返すためにつくるのが弱点ノートなので、何度間違えてもその都度見直して理解し直せばよいのです。

再度間違えた問題があったらカラーペンで×を付けておき、いつでも間違えた問題を確認できるようにしておきましょう。再度間違えた問題については、なぜ間違えたのかというポイントや、問われていた知識を簡単にノートの右側にまとめましょう。このワンクッションが、知識と知識のつながりを意識するきっかけになり、自分が理解しなければならないことが一目でわかるのでぜひやっておきましょう。

弱点ノートを作っておくと、今後の模試などの際に、そのノートを見直せば自分の弱点が一目でわかるので解けるように繰り返すクセがつきます。そうすると、同じ問題でまた間違えるということが激減します。もしまた間違えたらさらに違う色で×をつけておいて、克服すべき課題として意識することができます。最初にノートに問題を張る作業は少々時間がかかるので、保護者の方が手伝ってあげると、お子さんの弱点も一目でわかります。ぜひ協力してあげてください。

まとめ

これから重要なのは、「自分のための勉強」をしていくことです。受験生は一人ひとり、苦手分野や弱点が違います。教科だけでなく単元ごとに弱点となっているところは異なるので、今自分が何を克服すべきなのかを自覚することが一番重要です。毎週のカリキュラム学習をこなす中ではなかなかできない「自分のための勉強」ですが、小学校が休校中の今こそ、自宅学習の時間を豊富に取ることができます。その時間を大切に使って、他人と比べることなく今の自分の苦手分野や弱点を洗い出し、一つひとつ克服していくこと何よりも大切です。

塾での集団授業ではどうしてもカリキュラムを時間内にこなすことが優先されるので、生徒一人ひとりの状態に気を配る時間はありません。特にオンラインの集団授業では。一方通行の授業が展開されます。それでは、わからないことがあってもそのまま放置して次に行く、ということになりかねません。もし「今回の単元ではこれをマスターする」という意識なしにただこなしているだけの学習を続けていると、結局は理解が進まず、宿題として出された演習問題を解こうとしても再度一からテキストを読み返さないと全く解けないということになりかねません。

特に社会では、塾の授業は算数や国語に比べて短いことが多いです。その短い時間の中で、ひたすら新しい知識を詰め込む授業が行われます。そして、問題演習は「宿題」という名のもとに受験生にゆだねられます。再度同じ内容を解説してもらえることはまずありえません、短い授業時間の中では問題演習までおこなうことはたしかに難しいので、宿題という形で生徒の自主的な復習を促すことはやむを得ない点もありますが、そこでやっつけ勉強をしてしまうと、単なる時間の無駄になりかねません。自宅でいかに復習し、理解を深めて定着させられるかが結果的に周囲と差のつくポイントになるのです。

小学校が休校中の今だからこそ、これまで学習した内容を振り返り、弱点をあぶりだしましょう。受験学年の場合、この先、知識問題だけに時間を割く余裕はなかなかありません。今の時期にこそ、これまで学習してきたことを定着させるために「自分のための学習」を進めましょう。

社会の場合は、前提となる基礎知識があいまいではいくら問題を解こうとしても時間ばかりかかってしまいます。知識があやふやなら正解することはまずありません。社会は単なる暗記科目、と思われがちですが、裏を返せば正確な知識の理解が無ければ絶対に問題は解けないのです。そのことを意識せずに勉強してきた受験生が多いので、差をつけるならその点を意識して学習することをオススメします。

今の時期だからこそ、一度立ち止まって基礎知識に戻り、目と手をしっかり使って学習を進めましょう。そこでやるべきことは自分自身の現状に向き合った「自分のための学習」です。その意識をもって基礎固めをしておくと、今後の総合問題演習や模試、過去問演習の際に非常に楽になります。

「こんなにできていない」と焦る必要はありません。「これを理解すれば成績が上がるんだ」とポジティブにとらえて自分のための学習を進めていくと、自信にもつながりますし、何よりも重要な受験へのモチベーションが上がります。ぜひ、「自分のための学習」をすることを意識して、苦手意識のある分野や弱点を見極め、着実にひとつずつ克服していき、基礎を固めていきましょう。保護者の方も、「こんなにできないことがあるのか」と考えるより、その弱点を潰していくことに協力するという意識転換をすると、弱点は宝物に見えてきますよ。最後は弱点との戦いです。今のうちから意識して学習を進めてください。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。