中学受験の社会の中でも重点的に学習しなければいけない歴史。歴史については、好き嫌いが非常に分かれやすい単元です。「今さら昔のことを知って何か役に立つの?」「そもそも興味が持てない」というお子さんに始まり、「人間がたどってきた道に興味がある」というお子さんもいらっしゃいます。
最近では、社会の入試問題は、時事問題に地理、歴史、公民などを関連づけて出題する傾向が強くなっています。それはやはり、これまでの時代背景、変化について機敏であってほしいという中学側の意図があるからでしょう。
今回は、なぜ歴史を学ぶのか、どうやって学ぶのか、ということについて書いていきたいと思います。
なぜ歴史を学ぶのか
歴史は、中学生以降になると、日本史と世界史に大別されますが、中学受験では日本史分野が9割を占め、圧倒的に日本史、つまり人を中心軸としてみた歴史の割合が高いです。
よく、生徒さんから「どうして歴史なんか勉強しなきゃいけないの?」という質問を受けます。もちろん、志望校に合格するために必要だからというのは当然なのですが、この手の質問をする生徒さんは、「どうして入試で歴史の問題が出るのか?という根源的な問いをしている場合も多いのです。そこには、暗記が多いこと、現代の実生活とのかい離が大きいという背景もあると思います・
では、なぜ歴史を学ぶのでしょうか?最近、「グローバル化」という言葉を様々なメディアで見聞きしませんか?日本では、バブル崩壊後の1990年代半ばから後半にかけて,ITの発展とともに「国際社会に生きる、あるいは生きていく日本人」のスローガンとして「グローバル化」が多用されてきました。「国際社会」や「国際化」といったキーワードは、そのまま受け取ると「外の世界=日本以外の歴史や文化を学ぶこと」ととらえることが出来ますが、実際には、それを学ぶ前には準備が必要です。
グローバル社会において歴史を学ぶ意味
察しのよい方ならお分かりですね。それは当然、「自国の歴史や文化を学ぶこと」です。我々が、アメリカやイギリス、フランスなど海外に行けば、当然現地の人々から日本について質問されます。特に欧米では「Edo」はローマ字表記でも通用するくらいです。そんなときに、日本史の知識がないと、説明もできない・・・どうなるかは明白ですよね。
このように、グローバル化が進むほど、自国の歴史や文化への理解や考察が重要になり、その力がやがて外の世界への理解へとつながるのです・
では、歴史はどうやって学ぶのか
歴史の勉強は、「過去の史料(資料と間違えてはいけません)をもとに、時間の流れに沿って出来事を整理していく作業」、と言い換えることが出来ます。この「史料」の扱いが難しいのが、歴史を学ぶ上で難しくもあり面白いところでもあるのです。歴史の勉強は決して、結果(年号や氏名など)だけを覚えるのではなく、「特定の時代の状況下で、だれが、どんな情報をもとに行動し、何を考えて、どんな結果を求めたのか?」という大きな流れを理解するようにしましょう。
まとめ
歴史とは、しばしば「勝者の訓話」と評されることがあります。何か大きな出来事があり、政権や指導者が変われば、当然、新政権は前政権を非難するような解釈を採用します。それらは、一面から見れば正しいものですが、歴史を学ぶ際には必ずしも正しいということはできません(聖徳太子創造説など、話題になったものもありますね)。
先ほども書いた通り、「歴史の大きな流れ」を意識しながら、「なぜ〇〇をしたのか?」と疑問を持ち、その答えを想像・推理できるようになれば、歴史が暗記だけの世界から、一気に謎解きミステリーに変わります。興味を持って勉強できる、面白いものに変わりますよ。ぜひ、意識してみてください。
一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。