突然ですが、次の問題を見てください。
「A君はある仕事を終わらせるのに30日かかります。同じ仕事をB君とC君が協力してやると15日かかり、A君とC君が協力してやると20日かかります。B君は1人で仕事を終わらせるのに何日かかるでしょう。」
さて、みなさんはこの問題を解けますか? 一見複雑な形をしているので、問題を見ただけで逃げ出しそうになった人もいるかもしれませんね。
しかしこれは、「仕事算」の典型的な問題です。おそらく仕事算の解き方が曖昧な人は、3人以上の人が出てきた時点で「もう無理!」と感じてしまうのではないでしょうか。
今回の記事はそんな人のために、仕事算を超基礎から理解し、そこから発展した問題を考える足掛かりを作ることが目標です。どんな勉強でも、難しい問題に挑む前に、前提となる基礎を理解し、使えるようになっているかを確認しましょう。
仕事算とは?
仕事算とは、文字通り仕事に関する計算です。一人当たりができる仕事量が決まっている状態で、仕事をどれくらいの時間で終わらせられることができるのか、あるいはある人の1日当たりの仕事量はどれくらいなのかといったことが問われます。
世の中にはたくさんの仕事が存在しますが、同じように仕事算にも様々なバリエーションがあります。例えば、水槽に水を入れる仕事、牧場の草むしりをする仕事、コンサートのチケットをさばく仕事などです。それに加えて、仕事量が途中で変化したり、仕事をする人数が減ってしまったりすることもあります。
もうお分かりかもしれませんが、これらの無数のパターンを組み合わせることにより、仕事算は応用の幅が非常に広い分野となっています。
このような応用問題を全て解けるようになるまではかなりの練習が必要ですが、言うまでもなく、簡単なバージョンの仕事算が解けなければ、応用問題に挑戦することすらできません。では、これから具体的な仕事算の問題を解いて理解を深めていきましょう!
仕事算の超基礎 仕事をする人が1人の場合
まずは次のような問題を考えます。
「A君はある仕事を終わらせるのに20日かかります。A君がこの仕事をすると何日かかるでしょう。」
この問題の答えは、当然20日ですよね。問題文にそう書いてあります。しかしここで終わらずに、今後の仕事算の理解のために、少し違ったやり方でこの問題を解いてみましょう。
まず重要なこととして、問題文では「ある仕事」の量が与えられていませんよね。これから仕事に関する問題を解いていきたいのに、仕事の量が分からなければ不便です。そこで、ある仕事の量を1とおきましょう。
(全体の仕事量)=1
次に重要なこととして、A君は1日あたりに同じ仕事をするということに注目しましょう。問題では仕事が終わるまでの日数が問われているので、A君の1日当たりの仕事量が分かれば、問題を解くのに使えそうです。
今、「ある仕事」の量を1とおいていて、A君は5日でその仕事を終わらせることができるので、A君が1日当たりにする仕事量は
(A君がする1日当たりの仕事量)=1÷20=1/20
となります。最後に、A君が仕事を終わらせるまでにかかる日数を考えましょう。これは、全体の仕事量をA君がする1日当たりの仕事量で割ることで求めることができます。
(A君が仕事を終わらせる日数)=(全体の仕事量)÷(A君がする1日当たりの仕事量)=1÷1/20=20(日)
これで答えを求めることができました。答えを求める過程で、
- 全体の仕事量を1とおく
- 1日当たりの仕事量を求める
という2つのプロセスを踏んでいましたね。このことを頭に入れながら、次の問題を解いてみましょう。
仕事算の基礎① 仕事をする人が2人の場合
続いての問題です。少しずつ難しくしていきますよ。
「A君はある仕事を終わらせるのに20日かかります。B君は同じ仕事を終わらせるのに30日かかります。この仕事を2人が協力して行うと、仕事を終わらせるのに何日かかるでしょう。」
先程の問題から助っ人のB君が追加されました。仕事算を知らない人は、この問題を見ても「まず何をすればいいのだろう」と悩んでしまうかもしれません。ここで、先程のA君だけの場合に何をしたか考えてみると、
- 全体の仕事量を1とおく
- 1日当たりの仕事量を求める
の2つのことをしましたね。今回の問題にもこの方法を当てはめてみましょう。まず、全体の仕事量を1とおきます。
(全体の仕事量)=1
次に、1日当たりの仕事量を求めてみましょう。A君の場合とB君の場合をそれぞれ求めれば、先程の問題と同じようにして求めることができます。
(A君がする1日当たりの仕事量)=1÷20=1/20
(B君がする1日当たりの仕事量)=1÷30=1/30
今回の問題では、2人が協力して仕事をするため、2人がする1日当たりの仕事量を求めることが必要です。単純にA君とB君の1日当たりの仕事量を足せば求めることができます。
(2人がする1日当たりの仕事量)=1/20+1/30=1/12
最後に、2人が仕事を終わらせるまでにかかる日数を求めましょう。全体の仕事量を、2人がする1日当たりの仕事量で割ることで求めることができます。
(2人が仕事を終わらせる日数)=(全体の仕事量)÷(2人がする1日当たりの仕事量)=1÷1/12=12(日)
よって答えを求めることができました。人数が2人に増えてもやることは同じです。
- 全体の仕事量を1とおく
- 1日当たりの仕事量を求める
この2つのステップをしっかりと踏みましょう。
仕事算の基礎② 仕事をする人が3人の場合
「A君はある仕事を終わらせるのに30日かかります。同じ仕事をB君とC君が協力してやると15日かかり、A君とC君が協力してやると20日かかります。B君は1人で仕事を終わらせるのに何日かかるでしょう。」
これはこの記事の冒頭で紹介した問題ですね。ようやくここまで来ました。ここでも、仕事算を解くための2つのステップを用いることができます。まず、全体の仕事量を1とおきましょう。
(全体の仕事量)=1
次に、1日当たりの仕事量を求めます。問題では、2人が協力しているときの日数が示されているので、直接B君の1日当たりの仕事量を求めることはできませんが、他の値から順番に解いてみましょう。まず、A君が1日当たりにする仕事量は
(A君がする1日当たりの仕事量)=1÷30=1/30
となります。次に、A君とC君の2人が協力した場合の仕事量を求めます。すると
(A君とC君がする1日当たりの仕事量)=1÷20=1/20
となります。ここから、C君が1人でする仕事量を求めることができます。先ほどの問題で、2人が協力してする1日当たりにする仕事量は、2人の仕事量の和で求められました。
したがって、C君が1人でする仕事量は、2人が協力してする1日当たりの仕事量から、A君がする1日当たりの仕事量を引き算すれば良いので、
(C君がする1日当たりの仕事量)=1/20−1/30=1/60
となります。同じようにして、B君とC君の2人が協力した場合の仕事量は、問題文から
(B君とC君がする1日当たりの仕事量)=1÷15=1/15
であり、B君が1人でする仕事量は、B君とC君が協力してする1日当たりの仕事量から、C君がする1日当たりの仕事量を引き算すれば良いので、
(B君がする1日当たりの仕事量)=1/15−1/60=1/20
となります。したがって、B君が仕事を終わらせる日数は
(2人が仕事を終わらせる日数)=(全体の仕事量)÷(B君がする1日当たりの仕事量)=1÷1/12=12(日)
と求めることができます! これで最初にお見せした問題もクリアーですね!
まとめ
いかがだったでしょうか。仕事をする人数が増えても
- 全体の仕事量を1とおく
- 1日当たりの仕事量を求める
という2つのステップを踏めば、答えにたどり着くことができると分かっていただけたと思います。
今回紹介した仕事算の問題は、全体のうちのほんの一部ですが、基礎をしっかり理解することで、応用問題にも挑戦しやすくなります。
特殊算は、仕事算に限らず、何となく問題を解いてみても全く歯が立ちません。基本となる解法を頭に浮かべながら、勉強に励んでください!
<関連記事>