中学受験で算数が得意な子は有利だと言われることが多いと思います。
その理由のひとつは、学校によって傾斜配点により算数が他教科より4教科の合計における割合が大きいことがあるためです。また、1問1問の配点を見ても他教科より配点が大きいので、1問の重みが大きいことも理由として挙げられます。
4教科の受験であれば4教科の合計得点での勝負になるので、算数だけが得意でも他の教科で得点ができなければ合格とはならないのですが、算数で点数が稼げるに越したことはないと考える方も多いようです。
どうすれば算数が得意な子に育ちやすいのか、環境、声掛けの仕方などまとめました。
幼少期の育て方
読み聞かせや会話を多く
算数の学習は小学校高学年になると計算だけでなく文章題も多くなっていきます。計算だけ得意でも文章を読み取る力がなければ、高学年になってから算数で得点することができなくなってしまいます。
論理的な思考力をつけるには、文章を読む力が必要です。子どもの頃から読み聞かせをしていると、助詞(「てにをは」など)の使い方が正しく身についていきます。自分で文章が読めるようになったら音読をさせていくことも大事です。
読み聞かせだけでなく、普段の会話も多く行っていると言語能力が鍛えられます。また、周りの大人がきちんとした文章で話しかけていけば、自然と文章で会話することを覚えていきます。逆に、普段の会話が単語のみで済ませられてしまうと、子どもの言語能力は鍛えられません。
手を動かすおもちゃで遊ばせる
算数や数学が得意な人は、パズル系のゲームが得意な人が多いと思います。三つ子の魂百までとはよく言ったものですが、確かに幼少期からパズルで遊ばせていた子は大人になっても理数系に育つことが多いようです。
ジグソーパズルや積み木、レゴブロックなど、実際に自分で組み立てて遊ぶものは、空間把握能力や創造力を鍛えられるので図形の感覚が強くなります。また、将棋やオセロなどの対戦型ゲームでは相手の出方の可能性も考えて先を読んでいくという思考力が鍛えられます。
トランプ、UNOなどの数字が書いたカードゲームも、数字に対する抵抗をなくし、数の感覚を鍛えるのに一役買います。おもちゃのお金などを使ってお店やさんごっこをするというのも、数の感覚を育てるのによいですね。
何事も自分で実践させてみる
算数のできる子は、何か行動をするときに「自分から動いてやる」というタイプが多いです。そしてその中で「試行錯誤する」というタイプは算数が得意な子に多い傾向です。
子どもの頃からすべてを周りの大人がやってくれていると、受け身の姿勢が身についてしまって自分から行動を起こさないタイプになりやすいので、自分で出来るようになったことはなるべく本人に任せてみましょう。着替えや明日の持ち物を用意するということも、最初のうちは大人が手伝ってあげると思いますが、少しずつ「自分でやってごらん」という投げかけをしてあげることが必要です。
同じように、もし算数の問題でわからなくなったとき、最初はヒントを与えたり解き方を教えるなどをしても構いませんが、そのあともう一度自力で解いてできるかどうかというところまで確認させるようにしてください。このとき、気をつけてあげて欲しいのが、自分でやるようになったからといって突然全てを任せっきりにしない、ということです。
できたか確認したうえで褒める
自分でやれるようになったことやできたことに対して、「自分でできたね!すごいね!」と褒めてあげることで子どもはそのことに対して自信をつけ、次からも自分でやっていこうという意欲を持ちます。
そのためにも、自分で行ったことに関しては周りの大人が結果を確認してあげるということが必要です。さらに、「これができるようになったんだったら、これもできるんじゃない?」というように、できそうなことをどんどん増やしていってあげましょう。
もしうまくできていなかったとしても、出来なかったことを叱るのではなく、「じゃあもう一回やってみようか」というようにチャンスを与えていきましょう。一人でできないのだとすれば、どこかにつまづいている箇所があるはずです。その部分に対し、一緒に考えたりお手本を見せてあげるなど、協力をする姿勢があれば、失敗してもまたチャレンジすればいいのだと考えられるようになります。もしそこで、できなかったことに対して頭ごなしに叱られてしまった場合には、「失敗したら叱られる」という恐怖心から、「やりたくない」という苦手意識に繋がりかねないので気をつけてほしいですね。
時には周りが馬鹿のふりをする
教えられる側より、教える側に立つようになると、その内容に対して「どうすればうまくできるのか」を深く考えようとするので、さらに上達していきます。時には「すごいね!どうやって解いたのか教えて?」と、聞いてあげましょう。説明をちゃんとできた場合には感心してあげればよいですし、そうでない場合には「それじゃあわかんないから、どうやって解いたのかもう一度考えてから教えてね」と促してあげましょう。
算数の問題で「最初に問題を見たときには解けたけど、時間が経ったらどうやって解いたのかわからなくなってしまった」ということがたまにあります。最初に見たときには、集中してその問題を解こうという意識が働いて解けたはずなのに、解けた途端にその問題に対しての緊張感がなくなってしまい、どう解いたかわからなくなるのです。
もしうまく説明できなかった場合には、その場は解説を読ませるなどしてもう一度解けるように取り組ませましょう。そのうえで、「次もどうやって解いたか教えてほしいから、教えられるようにしておいてね」というように伝えてみてください。人に教えるためにはまず自分がどう解いたのかを残しておかなければ忘れてしまうということを学習し、式を残したりするようになると思います。すぐにちゃんと教えられるようにはならないまでも、そうやって式を残したりすることができれば大きな進歩になるのではないでしょうか。
受験学年になってしまってからはなかなか忙しくて、親に説明をさせる時間を取るのも難しいと思いますが、初めての単元を学習してきた4年生や5年生の頃にこういった接し方をしておくと効果的です。
(ライター:桂川)
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