何回かに分けて習い事と中学受験の両立について書いてきましたが、この2つの両立については現在進行形で模索しているご家庭も多いと思います。結論から言いますと、諸先輩含めて受験で残念な結果となってしまったケースもたくさん見てきましたが、「残念な結果」は、受験一本に集中してこられたご家庭にももちろん起こりうることです。
今回は、「習い事」が、中学受験の残念な結果の最大の原因となってしまったケースをご紹介します。
習い事に逃げたくなるお子さんもいる
息子と同じチームに、同じく中学受験組のお子さんが数名いました。多くは5年生の終わりくらいにチームをやめ、一人は最後の半年間はチームを休み、もう一人は息子と同じく最後の大会(6年生の1月)まで頑張っていました。この、一緒に最後まで頑張ってきたお子さんは、残念ながらすべての学校にご縁がありませんでした。
このお子さんの状況は、以下のようなものでした。
- 習い事を頑張るから勉強はできるときにする、と口にしていた
- お母さんが秘密主義で、中学受験を予定していることは誰にも話していなかったが、大手塾に4年生から通わせるなど、中学受験の準備は着々としていた
- 中学受験終了後に聞いた話では、習い事の方を頑張っているから、「落ちてもしょうがない、とりあえずやれるだけ頑張って」という励まし方をしていた
- お母さんはワーキングマザーで、お父さんは中学受験に関する関与はほぼしていなかった
「落ちてもしょうがない」は励ましではない
上に書いた4つは、お母さんがおっしゃっていたことでした。話をしていた時は当然口にはしませんでしたが、とくに「3」の、「習い事の方を頑張っているから、落ちてもしょうがない、とりあえずやれるだけ頑張って」という励まし方をしている、という点が気になりました。
親から「落ちてもしょうがない」と言われると、子どもは素直に受け止めてしまい、「落ちてもまあいいか」と思って受験勉強へのスイッチが入りにくくなってしまうと思います。子どもに限らず、そもそも人間は本質的に弱く、大人だって楽な方に流れてしまうものです。本当に「落ちてもよかった」のかもしれませんが、それなら最初から中学受験勉強もしない方が、金銭的にも時間的にも無駄がなく、習い事に集中して極められたのでは、と思わされました。
必要なのは適度なプレッシャーと適正な応援
「絶対に受からなきゃダメ!」と、プレッシャーをかけすぎるのも問題ですが、適度なプレッシャーと適正な応援は、何か物事を成し遂げるときにはある程度必要だと思います。やはり、「落ちてもしょうがない」というのでは、適度なプレッシャーにも、適正な応援にもなっていなかったのではないでしょうか。
また、これは前回の記事にも書きましたが、こちらのご家庭も情報収集という点では、塾やメディア頼りだったのではないかと推測しています。受験校のレベル感などお互いけん制し合う部分が出てくるのは仕方ないことだと思いますが、必要以上に秘密主義にならず、同じ受験生の母どうし、情報を共有し合う方が得策なのではないかと強く感じています。
まとめ
習い事と受験勉強の両立は、戦略的・物理的・金銭的な親のサポートも大変ですが、やりきる子ども自身がやはり一番大変だと思います。プレッシャーをかけすぎると子どもはつぶれてしまいますが、かといって最初から「落ちてもしょうがないから」というようなダメもと的な考えだと、子どもはどうしても楽な方に逃げてしまいがちになります。中学受験をするからには、親は「どうすれば合格できるか」ということを念頭に、どういうプランを立てるのか、どう子どもに声をかけるのか、プレッシャーのかけ方や応援の仕方などすべて含めて日々のサポートをしてあげるべきだと思います。
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一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。