中学受験の勉強をすでに始めていらっしゃる方も、また、これから中学受験をお考えの方も、もう一度「なぜ中学受験をするのか?」について考えてみませんか。
- 地元の公立中学の評判があまりにもよくないから
- 高校受験があるから(高校受験になると内申点に常に気を配らなければなりませんし、特に女子は定員が少ない傾向にあります)
- 学校によっては大学受験の心配をしないで済むから
- 入りたい部活動があるから
など、いろんな考え方をもって、中学受験をお考えになると思います。
今回は、今さら聞けない中学受験のギモンについて教えます!
Contents
ギモン① どのくらいの人が中学受験をするの?
ひとことで中学受験といっても、どのくらいのお子さんが受験しているのでしょうか?
お住いの地域によって異なりますが、首都圏では、リーマンショック以降、減少傾向にありましたが、2015年を境にまた増加傾向に転じています。私立中学校受験者数は、3年前の景気を反映すると言われています。ですから、各学校の出願者数や受験者数、倍率を見る際も、前の年との比較で考えるのではなく、3年間の推移がどうだったかを見るとよいと思います。
また、学校によって、毎年一定多数の出願者を集める学校もありますが、昨年は倍率が高かったから敬遠しよう、などの心理が働き、「隔年現象」ということもあります。それもできれば3年間の推移をみて、減少し続けているのか、増加し続けているのか、あるいは隔年現象なのか、よく見極めましょう。
もちろん、「あの学校に行きたい!」と思う学校があるならば、倍率云々ではなく、その気持ちを大切に、一生懸命勉強することが一番大事です。
中学受験を目指すお子さんは小学校4年生(正確にはカリキュラムが始まるのは小学校3年生の2月)から塾に通い始める場合が多く、塾のカリキュラムも3年間で組まれています。ですが、習い事との両立などで、5年生、6年生から塾に通い始める方もいますし、最初は算数と国語だけ塾に通って、途中から理科社会も勉強を始める、というケースもあります。
ギモン② 私立中学校の魅力って何だろう?
私立中学校は、独自の教育方針や学校設立の趣旨に基づいた教育を行っています。ご自分のお子さんにどのように育ってほしいか、というご家庭の教育方針に合った学校を選ぶことができます。
新しく立派な校舎、著名人を講師に招く講演会や海外留学制度、充実した実験設備(最近はリケジョブームが続いていますが、理科の実験室だけで4つそろえている学校も少なくありません)など、手厚い教育環境が期待できます。最近話題の池上彰さんを招いて講演会を行った中学校もありました。
また、同じ入試を通過してきているので、同じくらいの学力を持ったお子さんが集まることで、学習指導が効率的に行われる可能性が高いです。もちろん、合格最高点・最低点を発表しているように、入試の時点で学力差がないとは言いません。ですから、中学受験が終わったから勉強終了というわけにはいきません。進学校であれば、先取り学習を進め、高校3年生では大学受験対策の授業を中心に行う学校がほとんどですから、入ってからも気は抜けません。
しかし、同じような環境で育ったお子さんが集まるので、保護者も安心感を持てますし、お子さんたちも話が合い、生涯の友人を作ることができる環境があることは魅力です。
また、中学生、高校生の時期は思春期の難しい年頃でもあり、親の言うことも聞かなくなります。でも、第三者の意見を聞くことは多いので、教育方針に信頼がおける学校にお子さんを預けたいと願う保護者の気持ちも満たしてくれると思います。
ギモン③ 受験までに塾代はどのくらいかかる?
聞けそうで聞けない、でも聞きたい、総額を想像すると怖いところですよね。
塾によって費用は異なりますが、大手の進学塾では、通常授業の月謝がだいたい学年と同額(4年生なら約4万円、5年生なら約5万円、6年生なら約6万円…)と言われています。ですが、通常授業だけではなく、春期講習、GW特訓、夏期講習、合宿費用、志望校別特訓、冬期講習、といったオプション授業がありますから、これらを入れるとかなり高額になります。
塾によりますが、1教科ずつ受けることができるところもありますが、大手塾は4教科セットか、算数国語の2科は必ず受講という塾がほとんどです。また、塾の授業を受けただけで「わかったつもり」で帰ってくるお子さんは多いです。「できる」ようになるまで定着させるのはなかなか大変です。
そういう場合は、苦手科目、苦手単元を見てもらえる個別塾や家庭教師にお願いするのが効率的ですが、お子さんのスケジュール(特に習い事との両立)、費用対効果をよく考えて、併用や個別のみという選択もあり得ます。トータルでみてどうか、しっかり判断しましょう。
(中学受験の費用については、こちらの記事にまとめてあります→【中学受験】避けて通れない、中学受験と私立中学にまつわるお金のハナシ1)
終わりに 周りに流されない受験生活を
まだまだ中学受験に関するギモンはたくさんあると思いますが、今回はこの3点にしておきます。
中学受験は、周りのみんなが受験するから、という理由で合格できるほど甘いものではありません。合格ももちろんですが、受験勉強の日々を耐え抜くには精神力、体力ともに相当消耗しますから、しっかりした覚悟が必要です。最後に述べた費用の問題にも現実的に直面します。
それでも、「あの学校に行きたい」そういうモチベーションがあってこそ乗り越えられるのが受験生活です。なぜ受験をするのか、ご家族でしっかり話し合う機会を持つようにしてください。
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一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。