【中学受験】休校中の今だからできる!苦手分野勉強法・克服法 国語対策編その1

新型コロナウイルスの影響で、各方面に自粛要請が出たため、小学校の休校も当分の間長引きそうないまの時期ですが、受験生の皆さんは毎日をどのように過ごしていますか?1日のうち多くの時間を過ごしていた小学校が休校になり、塾もオンライン授業を開始するなどして、外出もままならない毎日ですよね。そうすると、時間を持て余すということになってはいないでしょうか?

家に閉じこもっていて何もしない状態だと、大人でも憂鬱になりますよね。お子さんの場合も、表情に出さなくてもふさぎ込みがちになっていることがあるので、ぜひ注意して声をかけてあげましょう。そんな閉塞感のあるいまの状態ですが、いままで毎日のように小学校と塾通いに割いていた長い時間が空くということなので、この時間をうまく使わない手はありません。

もっとも、受験生にとっては、空いた時間を有意義に過ごすことができれば、事態が収束して通常の生活に戻ることができたときにそなえて自分のための学習時間を確保し、いままで手が回らなかったところにしっかり時間をかけて克服することができる貴重な時間ともいえます。これができると、周囲に比べて大きくアドバンテージをとり、自信をもってその後の受験勉強に取り組むことができるのです。

なぜかというと、小学校が休校中になっているいまだからこそ、通常とは段違いに自宅学習の時間を多く確保することができるからです。毎日小学校や塾に通っている日々では、塾での授業時間や宿題に加え、小学校の宿題などもあり、それらに追われているのが実態だったと思います。その中ではどうしても塾のカリキュラムに沿った授業を受け、出された宿題を「こなす」ので精いっぱいで、果たして自分がその内容をしっかり理解し、実力をつけられているのかということを振り返る余裕を持つことができません。自宅に帰ってきても、次の日に向けた宿題など、与えられた課題をこなして1日が終わってしまうという経験は皆さんお持ちのことだと思います。

これまでの受験勉強期間を通して、できるところもあればできないところもあるといったように、受験生の皆さんの実力の中はまだら模様です。また、好きなところやできるところばかりやりたがって、できないところや苦手意識を持っている分野や単元については後回しにしてしまい、結局手をつけられずに残っていて不安材料になっていることが非常に多いのです。

そもそも自宅で落ち着いて自分のための学習をすることができなくては、そういった不安材料に時間をかけることができないので、勉強しているつもりになっていても苦手分野や単元はそのままになっていき、これから始まる融合問題の問題演習をしていくにつれ、解けない問題が増えてきます。

今回の新型コロナウィルスの流行は、すでに皆さんの受験勉強計画に大きな影響を与えているはずです。だからこそ、いまやるべきことは何なのかしっかり把握し、日々計画を修正しながら、志望校までの距離を縮めていく学習をコツコツすすめることが非常に大切であり、それこそがいまの休校時期だからこそやるべき、またできることなのです。

しかし、ただ「自分のための学習をするチャンス」と言っても、自宅学習というのは、ただでさえメリハリをつけにくいですよね。普段のお子さんの宿題への取り組み方を見てみても、ムラがあると感じたことはありませんか?目標もなくただ長期間続けるだけ、という勉強のしかたは受験生といえどもまだ小学生であるお子さんにとってはとても難しいことです。その状況を打開するためには、まずは、自分の抱えている課題点を洗い出したうえで、今日は「これをやる」という目標を決めて一つひとつつぶしていくことが非常に重要です。ですから、ただ座ってあれこれ勉強をしていればいい、ということではないということを自覚して学習を進めることが必要だということを忘れないで取り組むという自覚を持つことが大切です。

先日は算数について「自身の苦手分野を洗い出し、つぶすべき点を見つける」という点に焦点を当て、苦手分野を克服する勉強法を探ってきました。今回は、後回しにされがちな国語の苦手分野克服のための勉強法について説明していきます。今まで体系的に国語を自分で学習する時間をとってこなかったという方、時間をとって勉強してきたけれどなかなか成績が伸びないという方は、ぜひ参考にしてください。

国語っていったい何のためにあるの?

皆さんは、算数・国語・理科・社会の4教科のうち、どの教科にいちばん時間をかけて勉強してきましたか?おそらくほとんどの方が、算数と答えるでしょう。中学受験の算数は特殊であり、範囲が非常に広く、解法も多岐にわたるうえ、点数がはっきりわかるという特徴があるので、誰もが「まずは算数を何とかしなければ」と思って受験勉強の時間の大半を使って算数を学習しているというのが一般的と言えるでしょう。

たしかに、最近では算数入試というものを導入する中学校があったり、算数の配点をほかの教科よりも高くする中学校があるなど、中学入試で算数を重視する必要性は非常に高いです。だからこそ点数をとりたいところですが、学年が上がるにつれて、勉強時間をとっているはずなのに点数が上がらない、解けない問題が増えてきた、という経験をしていないでしょうか?

では、逆に4教科の中で最も時間を確保して勉強していない教科は何でしょうか?それは、国語です。もちろん、塾のカリキュラムの中に毎回国語はありますし、塾の授業でも取り扱いますし、小学校でも国語の時間は確保されていますよね。ですが、それに満足してしまい、自宅学習で国語をおろそかにして時間をほとんどとらない、あるいは後回しにして忘れて同じような文章が出てまた点数がとれないという受験生は非常に多いのです。

なぜ国語はおろそかにされがちなのか

国語は算数と同様、中学入試でも配点が高く、近年の入試問題を見ても非常に長い難解な文章を読ませ、設問に答えたり記述を求めたりという中学校が非常に多いです。その事実から考えれば、国語は中学受験において非常に重要な教科であるということが言えますが、その自覚なく勉強している受験生が非常に多いのもまた事実なのです。

では、なぜ国語は重要な教科であるにもかかわらずおろそかにされがちなのでしょうか?それは、国語という教科の学習法をわかっていないことに原因があるのです。

皆さんは、国語の勉強はどのようにしていますか?塾の授業の流れは、まず文章を読む→設問を解く→答え合わせをする、というものでしょうし、宿題をするときもおそらく同じ流れでしているでしょう。その方法自体が間違っているわけではありません。問題は、文章を読む、設問を解く、答え合わせをする、という一つひとつのパーツをやっつけ仕事でしていないか、ということなのです。心当たりはありませんか?

国語の入試問題は難化している

中学入試の国語の問題は、難化傾向にあります。それは、中学校側からの受験生へのメッセージなのです。長い文章を素早く正確に読む力、学校が作った設問を正確にかみ砕いて答える力、それらは中学校入学後に中学校生活を充実して過ごせるために必須のコミュニケーション能力をつけてきてくださいね、というアドミッションポリシーが、国語の入試問題にはこめられているのです。

そのことを意識しないで国語の勉強をするということは、入試の方向を向いて勉強していないのと同じです。つまり、やっつけ勉強です。文章をただ読むだけで解けるほど入試レベルの国語の問題は易しくはありません。また、設問に対する取り組み方も「だいたいこんな感じ」と選んだり書いたりという受験生は非常に多いです。

ですが、そのような勉強のしかたをしても国語の成績は決して上がりません。国語に必要な読解力、言葉を自由自在に使う能力、といったものはきちんと存在しており、国語というのは非常に論理的な教科なのです。

実は保護者の方も、その点についてあまり気にしないというケースが多いのです。日本語だから、これくらい読めるでしょう、と考えていませんか?また、日本語だから入試直前にやればなんとかなる、読めるはず、というご相談を受けることもありますが、それでは間に合わない可能性が非常に高いです。

小学校の休校中のいまの時期だからこそ、国語の学習時間を確保して正しい国語の学習法を身に着け、得点源にすることは非常に重要なことです。

国語は4教科の要

なぜ国語の学習がそれほど大切なのかというと、国語力というのは国語という教科だけに使うものではないからです。算数の文章題や理科、社会の長いリード文、それぞれの教科の設問を正確に読み取り、何を求めるのか、どの答えを書けばよいのかということは、正しい国語力がなくては実現できません。

つまり、国語力がないと、どの教科の成績もいずれずるずると下がってしまうという怖さがあるのです。このことに気づいていない受験生や保護者の方は非常に多いのです。直前に少しやって実力が上がるというものではなく、高い国語力をつけるためにはそれなりの時間が必要ですし、何よりも正しい文章の読み方、設問に書かれている意図を正確に読み取ることができるようにならなければなりません。

今だからこそ実行したい、国語の文章の読解法

小学校が休校中のいま、自宅学習の時間をかなりとることができますから、まずはゴールデンウィーク明けを目標に、国語の正しい読解法を身に着けていきましょう。完璧でなくても構いません。まずは「型」を身に着けていくことが大切なので、少なくとも読解法の基礎を学習することをオススメします。

国語は他の科目と異なり、「単元」という意識が薄くなりがちです。しかし、国語にも算数と同じような「分野別の問題の解き方」というものは存在します。文章の種類に応じて説明していきますので、ぜひ実行してみてください。

説明文・論説文

国語の問題文を読む際には、必ず段落分けをします。まずは形式段落を意識して、読み進みながら意味段落ごとに文章を把握していきます。これは、基本的にどの文章の形であっても共通なので、しっかり意識しておきましょう。

塾のテキストの問題で、説明文や論説文の場合、意味段落分けの設問がよく出題されているのにお気づきでしょうか?模試などのテストでも意味段落分けの設問は頻出です。これは、長い文章の中での起承転結をしっかり把握できているかということを確認するために置かれている設問です。実は、この種の問題を苦手とする受験生は少なくありません。

説明文・論説文を読む際は、以下の3つの意味段落に分けるのがオーソドックスな形です。

  1. 文章のテーマを提示する段落
  2. 説明段落
  3. まとめ・筆者の意見を述べる段落

以上の3つです。これまで、このような意味段落分けをしてこられたでしょうか?まずは、設問を解く前に、文章を読んで意味段落の分かれ目がどこであるかということを意識してやってみてください。これは、「文章のどこに何が書いてあるか」ということを理解することにつながります。これがわからないと、あとで出てくる設問に答えることはできません。筆者の意見を聞いているのに説明段落に書いてあることを答えてしまったり、文章のテーマを取り違えてしまったりします。また、記述問題を解く際には、何を書いたら良いかわからなくて白紙答案にしてしまうことも往々にしてあるのです。

また、文章を読む際には、ただ目視でざっと読み進むのではなく、段落ごとに重要だと思われる「中心分」を見つけ、線を引くなどして印を残しておきましょう。説明文や論説文の場合、説明と筆者の意見が一緒に書かれているようなものもあるので、これは意見、これは説明や具体例、ここに要旨が書いてある、などと意識しながら印をつけていくと、設問を解く際に何度も文章全体を読み直すということもなくなっていきます。

模試などで時間切れになるケースは、制限時間内に設問を解くたびに「なんて書いてあったっけ」と何度も文章を読み返して結局混乱してしまうというものが多いです。中学入試の国語の問題を見てみていただければわかると思いますが、文章の字数は多く、設問の数も多いですが、たいてい50分間です。その中で、大問をいくつも読んで、設問を解いていかなければなりません。何度も一から戻っている時間がないことはおわかりいただけると思います。

説明文、論説文で意識していただきたいのは、「答えは文章の中にある」ということです。言葉は言い換えられることがあったとしても、設問で聞かれている内容は文章の中にばっちり書かれています。だからこそ、意味段落分けが非常に重要になるのです。ただし、答え探し読みをしてしまってはかえって時間がかかりますし、設問にかかわる傍線部の近くだけ探しても解答はないことも多いです。特に難関校では、文章の最後に傍線が引いて合って、解答は文章のはじめの方にある、ということも少なくありませんから、答え探し読みではなく、必ず文章全体を正確につかむことを意識してください。

また、「感情移入できなくて読めなかった」という受験生も多いのですが、説明文や論説文には感情移入は必要ありません設問で聞かれているのは、文章に書かれている内容であって、受験生の意見を聞いているわけではないからです。これはどの文種でもいえることですが、正しい読解法を身につけていれば、文章が難しくてよみにくかったということはあっても、「感情移入できなくて読めなった」「文章が合わなかった」ということはありません。この点も気をつけていただきたいところです。

物語文

受験生の中には、物語文=感情移入という方も少なくありません。ですが、物語文もあくまで作者がないを伝えたいのかということを正確に文章の中から読み取ることが求められているので、そのような主観的な読み方は禁物です。読みやすい文章、という場合はよいですが、難解な文章の場合は感情移入してしまうとまず点数は取れません。

物語文の読解法とはどのようなものでしょうか。先ほど説明文・論説文で意味段落分けの重要性について説明しましたが、物語文も説明文や論説文と同じように段落分けをしてよいものなのでしょうか?受験生の皆さんは、「出てきた文章をただ読む」という学習のしかたをしていることが多いので、物語文と説明文・論説文とで読解のしかたが異なるということを意識してこなかったことと思います。

説明文では、以下の3つに意味段落分けをしました。

  1. 文章のテーマを提示する段落
  2. 説明段落
  3. まとめ・筆者の意見を述べる段落

しかし、物語文には「文章のテーマ」などというものは出てこないですよね。それは、文章の中にある表現などから受験生が見つけ出すものなので、文章内に「これがテーマです」という形では書かれていません。ですから、説明文や論説文とはまた異なった段落分けが必要になってきます。

物語文は、説明文よりも段落内容の把握が難しいケースが多いのですが、大きく分けると、以下の4つを把握することが大切です。

  1. 登場人物の置かれている状況
  2. 登場人物に起こった事件
  3. 登場人物の感情の変化
  4. 感情の変化により引き起こされた行動

説明文でいうところの「要旨」は、物語文では3.の「登場人物の感情の変化」に該当することがほとんどです。この、登場人物の感情の変化が物語文の根幹であり、筆者が最も力を入れて描写する部分でもあるため、最も重要なのです。

きっかけ→感情変化→行動といった段階をふんで文章の構造を把握していくことがまず大切です。設問で問われた際にもどの段落に何が書いてあったかという内容を把握していれば、スピーディーに読解することができるようになります。

また、物語文でも設問で聞かれているのは、自由作文でもない限り、「文章内に書いてあること」です。受験生自身の心情を聞かれているのではなく、文章内に出てくる登場人物の心情を聞かれていること、登場人物の言動化作者が何を伝えたいのかということを客観的に読み取ることが重要なのです。

受験生はどちらかというと、感情移入しやすい物語文の方を好みます。模試でも、「読む」ことはできるのです。比較的平易な言葉で書かれていることもその一員でしょう。しかし、「読める」ことと「読解する」ことは全く別なことです。それは、模試のあとに受験生が「読みやすかったのに設問が全然解けなかった・・・」ということが多いことからもわかります。正しい読解法を身に着けておけば、このような悩みも解消されます。

まとめ

今回は、休校中のいまだからこそできる!苦手分野勉強法・克服法の国語編その1として、国語という教科の重要さと、正しい読解法が身についているかどうかのチェックポイントについてご紹介してきました。

国語は4教科の要であり、正しく文章の意図がつかめなければ、国語はおろか算数、理科、社会でも設問の意図を読み誤ってしまい、成績は上がらないままになってしまうという特徴があります。つまり、他の3教科の最も土台となる教科なのです。国語の実力なくして、他の教科の点数ばかりを気にしていると、結局は総合点数が伸びずに志望校との距離が開いてしまいます。

「国語は日本語だからあとからでも間に合う」そう考えていませんか?その考えは今スグ転換してください。普段の塾、小学校がある間はなかなか自宅学習の時間も取れないので、どうしても後回しにしてしまったということはよくあることですし、それは仕方がない面もあります。小学校が休校中のいまだからこそ、自宅学習の時間がとれます。その間に、これまでなかなか落ち着いて読むことのなかった国語の文章をテキストや模試などから抜き出して、正しい読解法で読み直してみてください。そうすると、文章のどこに何が書いてあるかということが浮かび上がるように分かってくるようになります。今がチャンスです!

次回は、随筆文や詩の読解方法の基本、設問に答えるために必要な視点についてご紹介します。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。