塾によって異なる復習主義と予習主義!どう使い分ければいいの?

中学受験を目指して、塾にお通いの方も多いでしょう。その際、塾から「予習が大切」「うちは復習主義を徹底しています」などと言われたというご経験はありませんか?

受験勉強においては、予習と復習が両輪となってきます。しかし、「予習はしなくていいです。授業を聞いて家で復習をしてください」と言われたり、「授業の内容をしっかり定着させるために、予習を家で行ってから授業を受けてください」と相反することを言われると混乱してしまうことも多いでしょう。そうすると、「予習」で何をすればいいのか、「復習」はどのようにしたらいいか疑問に感じてしまい、毎週のカリキュラムをスムーズに進めることが難しくなってしまいます。

塾ではこれを「予習主義」「復習主義」などと言ったりしますが、予習と復習どちらを重視したら塾の授業を最大限に活用できるのか把握しながら毎日の学習に取り組むことが重要です。毎週かなりの量の新出単元を学習し、知識も多く、たくさんの問題を解かなければいけないという「忙しい」受験勉強なのが中学受験の特徴です。

予習と復習、結局どちらが大切なの?と言いたくなってしまうこともあるでしょう、そこで今回は、中学受験における予習と復習の考え方や、効果的なシーンなどについて解説します。新学年になる今だからこそ、予習と復習をうまく使い分けて、成績アップにつなげていきましょう。

中学受験の「予習」と「復習」の意味

「予習と復習、どちらを重視して毎日勉強したらいいの?」というご相談を受けることは多いです。どちらも行ったほうがいいのはわかっているけれど、予習と復習、効果的に使い分けるにはどうしたらいいのかわからないという受験生や保護者の方は少なくありません。結果として、予習も復習も意識せず、ただその日の授業を聞いてきて、家に帰って宿題をすることを繰り返すことになってしまうのです。

もちろん、授業を受け、宿題で定着させるというシステムは非常に合理的です。それを毎回のカリキュラムに遅れることなく進めていけることは一定の効果を生むと言えるでしょう。しかし、予習も復習も意識しないでただがむしゃらに目の前の問題に向かっていても、成績アップはなかなか難しいのが現状ですし、実際に成績が上がらなくて困っているというご家庭も少なくありません。

予習と復習、どちらが大切か、を考える際には、予習と復習には実はふたつの意味があるということを確認することが非常に重要です。そこで意識したいのが「短期的な学習」と「長期的に見た学習」という視点です。ここでいう「短期的」とは、毎日の学習、あるいは1週間を通した学習という意味であり、「長期的」とは1年間、つまり現学年を通して行う学習という意味だということを意識しましょう。

短期的学習、長期的学習のいずれにおいても、予習と復習は重要です。では、それぞれの学習における予習と復習とはどのようなものなのでしょうか。

短期的学習の場合>
・予習:各単元について、塾の授業を受ける前に独学で一通り学習しておく
・ 復習:塾の授業をうけたあと、すぐに家で反復学習(内容の確認と宿題への取り組み)する

長期的学習の場合
・予習:カリキュラムの学習進度より少し先取りして学習しておく
・復習:これまでに学習した内容について振り返り、弱点になっているところがないか確認する。見つかったら克服するための学習をする

短期的学習、長期的学習では、学習そのものを考えるスパンがまったく違います。どちらかというと短期的学習における予習・復習についてはなじみがあるかもしれません。意識する・しないにかかわらず毎週のように行っている部分もあるからです。しかし、中学受験は長丁場です。そこで、長期的学習の際の視点も持つことが大切になってきます。では、どちらを重視して学習を進めればいいのでしょうか。

短期的学習の場合は「復習」重視で

短期的、つまり日々の学習や、1週間単位のカリキュラムをこなしていくという学習の場合は、復習を優先することをおすすめします。毎回新しいことを学習していくわけですから、復習をしなければどんどん学んだ内容が頭から抜けていってしまいます。記憶の定着のためには復習が欠かせないので、特に新出単元が出てきたり、新しい知識や解法を学んだ時には復習を重視すると良いでしょう。

塾で授業を受けると、その場では覚えられることもあるかもしれません。ただし、どの程度その場で理解できるか、という点については生徒さんによってかなりの差があることは事実です。また、その場で「わかった!」と思っても、実は「わかったつもりになっていて理解までできていない」ということも少なくありません。

受験勉強においては、「わかった」だけでは足りません。「理解して使いこなせる」レベルまでもっていかないと、少し聞き方や見方を変えられた問題が出てくると解けない、ということになってしまうのです。短期の記憶は、少し時間がたつと頭から抜けていってしまいます。これは上位生・下位生に関係なく、誰でも起こりうることです。ただし、成績に違いが出るのは、抜けていく割合が違うからです。その場での理解力しだいで、授業中に理解までできることの量に違いがあるため、そこで定着率に差が出てきます。

塾で学んだことを、できるだけ短いスパンで毎回振り返り、確認していくこと、つまり復習がしっかりできていると、毎回学習する知識や解法が定着しやすくなります。そうすると、次の単元の理解もスムーズになることが少なくありません。次の単元が前の単元の理解を前提にしているカリキュラムが組まれていることも多いからです。これがいわば「長期的な記憶」です。

どうしても忘れてしまいがちな短期的な記憶から、定着して忘れにくい長期的な記憶に学習した内容を変えていけると、わかっただけでなく「理解し、正確に使いこなす」ことができるようになります。学習内容が記憶に残りやすくするために、そして長期的な記憶としていつでも引っ張り出して使いこなすことができるようにするために重要となるのが「復習」なのです。

復習の具体的な方法は特別なことではありません。要するに、学習してきた内容を反復学習することです。学習した内容をもう一度テキストとノートをもとに振り返りをして要点をつかんだら、課された宿題に取り組んでみましょう。

実は、この「振り返り」をすっ飛ばしている受験生は少なくありません。つまり、塾から帰ってきたらいきなり宿題の問題を解こうとするんですね。それでは、ただ量に満足するだけで、学習の質を上げることができないので、解こうとしてもなかなか解けなくて時間が足りなくなることに繋がってしまうのです。どうしても時間に追われる毎日なので、保護者の方も「すぐに宿題をやりなさい」と言ってしまいがちなのですが、この少しの「振り返り」をするかしないかで結局勉強の効率がまったく変わってくるので注意してください。

このように、毎日の学習や1週間単位の学習については、復習を優先することをおすすめします。目的は、学習した内容を確実に定着させていくことです。その積み重ねこそが成績アップのカギです。

そうは言っても塾から予習の指示があることもあるでしょう。その際は塾に予習の効率的なやり方を聞いてみると良いですね。復習と並行してうまくできる方法が必ずありますので、使い分けについても相談してみましょう。

長期的学習の場合は「予習」重視で

毎日、また1週間単位の短期的学習の場合は、日々の確実な復習が非常に大切だということはお判りいただけたのではないでしょうか。一方で、中学受験は約3年間にわたる非常に長丁場の受験勉強です。つまり、長期的学習という視点も欠かせません。

長期的学習を考えた場合には、予習が大きな意味を持ってきます。ここでいう「予習」とは、カリキュラムの少し先をざっと見て独学できるところは学習しておくことです。たとえば、次の週のカリキュラムを前の週に一通り見ておく、あるいは小学校の教科書の中で次の学年で扱う内容をざっと見ておき、次の学年でどのようなことを学んでいくのか、中学受験に引き直して理解しておく、などが挙げられます。

中学受験では、文部科学省が定めている学習指導要領に含まれていない内容も出題されます。一方で、近年の中学受験では小学校の教科書の内容の細かいところに焦点を当てて出題するということも良く見られます。そこで、小学校の教科書レベルについてはできるだけ早いうちにマスターしておくと、その後の受験カリキュラムに遅れることなく、また基礎を学ぶことができるので、難易度の高い問題演習をしていくための基本となります。

予習はただ前もって教科書やテキストを読むだけではありません。一通り読んだら、今度は問題演習で本当に理解できているかどうか確かめる必要があります。そこまでできてはじめて「予習」できたということになるのです。

この点を考えると、中学受験では長期的視点から見てやはり何かしらの形での「予習」が欠かせないということになります。塾でも、通常授業のカリキュラムを予習してから授業を受ける予習重視の形式をとっているところも少なくありません。たとえば、四谷大塚や早稲田アカデミーなど、冊子のテキストが用意されている塾は予習重視の塾の代表格ですね。

一方、サピックスは授業当日にはじめてテキストとしてプリントが渡されるので、復習主義を徹底していると言えます。その場合は、予習シリーズなどのテキストで学習単元についてある程度前情報を得ておく予習をしておくと、授業を受けたときに理解できることが増えるでしょう。

長期的学習、つまり1年間を通じて日々学習をしていると、どうしても理解や知識・開放などの抜け漏れが出てしまうものです。1年前に学習したことを完璧に覚えていられる生徒さんはそう多くはありません。ですが、一度学習したことは記憶の奥底に残っているものなので、きっかけづけによってその記憶を喚起し、理解を深めることは十分可能です。

こうした知識の抜け漏れがたまらないようにするためには、学習がある程度進んだタイミング、具体的には春期講習やゴールデンウィークや夏期講習、冬期講習など、長期休暇や講習会の行われる時期に、それまでに学習した内容を振り返り、忘れているところは埋める、苦手意識がある弱点となっているところに少し時間をかけて見返してみる時間を作ると効果的です。

講習会では、それまでに学習した内容の復習がメインになり、塾によっては一部先取りを行います。せっかくの復習の機会ですから、その機会を最大限に利用して、自分の弱点を洗い出して、覚えるべきものは覚え、苦手なタイプの問題を解く練習をするなどして訓練しておくことをおすすめします。

春期講習中の復習と予習の目的とメリットを知っておこう

中学受験における山場のひとつというとやはり「夏」かもしれませんね。夏休みは受験生の天王山、とよく言われます。また、受験直前の冬は追い込みの時期として、最後の実力アップの景気になるでしょう。

春期講習の時期の重要性

一方で、春はどのように位置付ければよいのでしょうか?ズバリ言うと、「春は夏に向けた準備期間」です。夏期講習は期間も長く、1日中問題演習を繰り返すことになります。しかし、集中力が途切れてしまったり、詰まったりしてしまうと十分な成果を上げることができず、秋以降の成績アップに黄色信号がともってしまいかねません。

また、長時間の講習を受講するためには、体の体力とともに、長い時間問題を解き続け、知識や解法を理解していく「脳の体力」が非常に重要になってきます。春期講習でも、ある程度長い時間をかけて学習していきますので、脳の体力をつけるためには最適の時期なのです。そのため、今後の学習をスムーズに進めるための体と脳の体力をつける準備期間、と春を位置付けると良いでしょう。

新学年で新しく学習した単元もありますし、前の学年で学習した内容について、抜け漏れがないか、あるとしたらどこかを見極め、それらをつぶしていくことが受験生にとっての春、春期講習期間中にやるべきことです。やり残しをそのままにしておくと、その後の学習に支障が出ます。すでに学習したことを前提として次の単元を学習することも多いからです。ですから、やり残しをそのままにせず、できる限り弱点をつぶして新学年からのスタートダッシュをきることを春期講習中の目標にすると良いでしょう。

春期講習時期に行う勉強の方向性もまた、復習と予習に分かれます。それぞれについて、目的とメリットを見ていきましょう。

春期講習中の復習の目的とメリット

春期講習中に意識したい復習の目的は、前年度に学習した内容を「わかる」から「できる」にすることです。つまり、理解を深め、定着し、使いこなせるようにすることだと言えるでしょう。

もちろん新出単元に踏み込むこともあるかもしれませんが、これまでに学習した内容に抜け漏れが多いと、次の単元に進んでも理解することが難しくなり、宿題を課されたとしてもどこから手を付けたらいいのか止まってしまうことも増えてしまうので注意が必要です。

今後の学習内容を理解する上でブレーキがかかってしまうと、モチベーション低下にもつながりますし、授業の理解度が下がってしまいます。

そこで、春期講習中に抜け漏れをしっかり見極め、しっかり潰しておくこと、つまり復習をすることには、今後の学習がスムーズになるというメリットがあると言えるでしょう。とくに、5年生・6年生になると学習内容がグッと難しくなります。そうした内容についていくためにも、これまでに学習した内容を振り返り、穴をできるだけ埋めておくことが大切です。

春期講習中の予習の目的とメリット

では、春期講習中の予習の目的はどこにあるのでしょうか。先ほどご紹介した、体と脳の体力をつけることが非常に大切なのですが、学習面で言うと、新学年の学習内容の先取りが重要になってきます。もちろん難しいのに無理に先に先に進む必要はありません。しかし、これまでに学習してきた内容がもう一度出てきたときに、その内容に少し触れておくような予習は、新学年の学習を非常にスムーズにしてくれます。

そうすると、その単元の授業を受けたときの理解度が高まりますし、解ける問題の量も格段に増えるでしょう。そうすると、成績アップも見込めるだけでなく、応用的な内容の問題を解けるようになりますし、より実戦的な問題演習の開始時期を早めることもできるのです。もちろん、生徒さんによって進められるスピードはケースバイケースなので、無理は禁物です。

教科や単元を絞って予習してみることからはじめると良いですね。他の生徒さんより先に進められる部分があると、お子さんも、そして保護者の方も精神的な余裕が生まれます。また、「いま、ここまでできている」ということは大きなモチベーションアップにつながります。無理はし過ぎず、できる限りでいいので、復習とのバランスを取りながら予習にも取り組んでみましょう。

春期講習期間中は復習優先体制で!プラスαで予習を

春期講習期間中は、新学年のはじまり、という印象が強いですが、実は年度末ですよね。年度の終わりは、どうしても時間に追われがちなので、復習と予習のバランスを良く見極めて進めていくことが大切です。

春期講習中の復習と予習、それぞれについて目的とメリットをお伝えしましたが、そのバランスを取るために、どちらを優先するべきでしょうか。気持ちの上では先に先に進めたい、と思いたいところですが、やはり立ち止まってこれまでの振り返りをして、穴を少しでも少なくすることが大切でしょう。そのため、まずは復習を優先し、プラスアルファで予習を行う、というのを基本姿勢にすることをおすすめします。

基礎に弱点があると次学年で伸び悩む

中学受験の勉強をしていると、基礎が大切と何度も言われながらも、どうしても「難しい問題を解けなければいけない」という固定観念にとらわれがちです。もちろん難しい応用問題が解けることはモチベーションアップにもつながりますし、それまでの学習内容がしっかり定着しているということでもあります。ですから、難しい問題を解こうと言う意欲は大切にしたいところです。

ここで意識したいのは、難しい問題を「解けないのに無理に解こうとする・させる」ことはしてはいけない、ということです。難しい問題を解くためには、基礎基本の正確な理解、解法や知識の定着がなければできません。こうしたことができていないのにいくら難しい問題を解こうとしても当然解けません。実力以上の問題は解けないからです。

土台となる基礎力がついていないのに、いきなり遠い先の応用問題を解くことを第一目標にしてしまうと、なかなか解けずに親子でフラストレーションがたまってしまいますし、「解いても解けない」という意識が今後の勉強のじゃまになってしまいます。

一方、基礎基本を大切にして着実に自分のものにしておけば、少し見方を変えた問題についても自分の中にある解法や知識を使いこなして解くことができるようになります。そのため、基礎基本に穴を作らないことが春期講習期間中には一番大切だと言えるでしょう。伸び悩まないためにも土台作りこそが大切だということを意識してください。

もちろん、しっかり基礎基本ができているお子さんであれば、これまで学習した内容は十分定着できているでしょうから、復習は弱点部分だけにとどめ、予習に時間を使ってもかまいません。たとえば、塾の授業内容が物足りないと感じる、授業中の問題演習でほぼ満点がとれる、模試でも正答率が高い問題をしっかりとれているというようなお子さんの場合は、時間をうまく使って予習を入れていくと良いでしょう。

復習する際に意識したいこと

ご紹介したように、多くのお子さんにとっては、春期講習期間中は復習のほうを中心に、予習はバランスよく適宜入れていく、という体制で行くほうがうまく回るでしょう。新学年への準備期間でもある春期講習期間中は、積み残しを作らないことが大切です。もし塾のテキストで理解できない部分があるなら、学校の教科書レベルの基礎知識が抜け落ちている可能性があります。該当する教科書の内容をチェックしておきましょう。

近年、学校の教科書の内容を応用化した問題が中学入試で出題されるケースが増えていますので、教科書は決しておろそかにできません。また、カラーの図表などが充実しているので、塾のテキストの補助教材という形で使うのもおすすめです。さらに、できれば資料集や地図帳、辞書などは学習する際に一緒に出して置き、わからないことが出てきたときはすぐにチェックできるようにしておくと復習もやりやすいです。基礎基本を徹底するためにも、「ここが抜けている」と思ったところは持ち越しにせず、重点的に復習し、克服しておくことが大切です。

塾で授業を受けたときは「わかった気になって」いても、そのままにして時間が過ぎてしまうとそのときの記憶が薄れ、学んだ内容を忘れてしまいます。ですから、「理解できているところ」「理解できていないところ」の仕分けが非常に重要です。理解できているところはさらっと読み直して確認し、理解できていないところはテキストの基礎問題を中心に解き直して「なぜできていないのか」という原因を理解するようにしましょう。

合わせて、これは年間を通してやっていかなければならない基礎基本事項ですが、算数なら「計算の手順を守って正確に速く解けるか」「計算の工夫はできるか」「覚えておかなければいけない公式を覚えられているか」「一行問題を一読してすぐに立式できるか」などについては日常的に確認しておきましょう。国語なら、「漢字の読み書きが正確にできるか」「文章を音読してみてつかえることはないか」「文章を一読した段階で、何についての文章か把握できるか」といったことが基礎事項に当たります。これらは春期講習中に限らず、常にチェックしていきましょう。

塾の春期講習は徹底活用するのが勝ち

塾にお通いの場合は、春期講習を受けるでしょうから、その春期講習期間を徹底的に活用しましょう。塾の受験カリキュラムの中には、通常授業以外に各講習、もちろん春期講習も組み込まれています。

そのため、春期講習では主に2月から学習した内容の復習を中心に、なかには前の学年の学習単元を一部とりいれたり、場合によっては春期講習後の最初のほうの学習単元の先取りが含まれている場合もあります。中心となるのは、忘れかけていた知識をもう一度思い出し、定着させることです。その意識を強く持って、春期講習では復習中心に、授業とテキストの課題を徹底的に活用して、弱点を補強していきましょう。

中には、これまで塾にお通いでなかった方もいらっしゃるかもしれません。春期講習期間はそれほど長くないので、塾の授業に慣れるのにちょうどよいですし、塾の雰囲気を知ることもできるので塾選びの参考にすると良いでしょう。

「新学年」はマジックワード

保護者の方はもちろん、お子さんにとっても「新学年」ということばは大きな意味を持つものです。学年の切り替わりの時期には、新しいことに挑戦したり、これまでできなかったことができるようになったり、という目標を立てるのではないでしょうか。お子さんにとっても新学年というのはマジックワードで、モチベーションを上げるために保護者の方が「頑張ろう」と声をかけやすい時期でもあるのです。

新学年になるタイミングは、新しい学習習慣をつける良いチャンスだと言えるでしょう。夏期講習や冬期講習とはまた異なるタイミングでの学習なので、春期講習をひとつの切り替え時期とみて、日々の学習計画をたてていくことをおすすめします。その中に、復習の時間、予習の時間をうまく組み込んでいきましょう。親子ではなかなか決められない、という場合は、塾の先生に相談してみてもいいでしょう。

予習と復習は短期と長期で考えるのがカギ

予習主義、復習主義ということばは、ある意味中学受験において独り歩きしてしまっているかもしれません。予習と復習、どちらが大切なのか、どちらを中心にすればいいのかわからなくなってしまう理由は、「予習」「復習」「先取り」「振り返り」というように同じ意味の異なることばが飛び交っていることが考えられます。

塾の先生から、「この部分はしっかり復習しておこう」と授業の最後にに言われることはよくありますよね。また、模試が近づいてくると、模試対策授業を行うなどしながら、「模試に向けて○○を予習しておこう」、わからないことが出てきて質問に行くと「講習で復習するから大丈夫」といったことを言われたことがある経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。そのたびに、結局予習と復習を、いつ、どのタイミングで、またどちらに優先順位をつけてやっていけばいいのか迷ってしまうという受験生のご家庭は少なくありません。

そのため、保護者の方も、生徒さんも、予習と復習のどちらが一体大切なんだろう、と二者択一を迫られている気になり、混乱してしまうのです。塾の先生に言われたことはやらなければいけない、と思うものですから、ご家庭として予習と復習のバランスについて決めておかないと、その混乱状態は続いていくでしょう。しっかり決めておくと、塾の先生に言われたことを自分の学習計画に落とし込むことができるようになります。逆に決めていないと、毎回言われることが違う、と混乱してしまうでしょう。

予習、復習は短期的学習、長期的学習との関係性を理解したうえで行っていくことがとても大切です。1日、1週間単位で何をするべきなのか、1年間を通してどのように学習していけばいいのか、ということを考えながら学習することが、結果的に成績アップにつながるのです。それは、予習と復習を効果的にできているからだと言えるでしょう。

さまざまなことばが独り歩きしてしまう「予習、復習、どっちが大事か」という点ですが、もし塾の先生などからいろいろ指示を受けたときにあわてず「自分はこれをやればいいんだ」と学習を進めていけるように、ご家庭で「自分にとっての予習はこうだ」「自分にとっての復習はこうだ」という指針を決めておくことはとても大切です。そして、短期的学習、長期的学習のどちらのケースでも対応できるように体制を整えておきましょう。

予習と復習をうまく使い分けて学習を進められると、それぞれがうまくかみ合い、基礎力を徹底して鍛えることと、それを土台とした応用問題演習の成功につながります。ぜひ、自分に合った予習・復習のやり方を学習計画の中に組み込んで勉強を進めていってくださいね。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。