便利さと問題点をセットで覚えよう!化石燃料とは?【地下資源まとめ】

今回は,地下資源について一つずつご紹介していくシリーズの第1本目として,化石燃料について取り合っていきます。エネルギーや資源という話は,社会だけでなく理科でも登場しやすく,また昨今SDGsをはじめ環境問題に注目されがちなことから国語のトピックとして出題されてもおかしくないでしょう。初めて触れる方でも分かりやすいように解説していますので,お気軽に閲覧していただければ幸いです。

地下資源とは?

地下資源とは,文字通り地下にある資源のことを指します。ただ地下に眠っているものには色々なものがあるのですが,地下資源というときは化石燃料や鉱物,天然ガス,地下水に地熱などといった人間にとって有益な天然資源のことを意味しがちです。

今回はその中でも化石燃料について着目していきます。次回以降で金属・レアメタル・核燃料などについてもお話ししていきますので,気になる方は是非一読していただけますと幸いです。

化石燃料とは?

以前の発電方法についての記事でもご紹介しましたが,化石燃料とは化石——つまりは古代の生物の死がいが長い時間をかけて作り出す資源を表し,具体的には石油や石炭などのことを指します。現在は主に火力発電で燃料として使われたり,石油に限定すればプラスチックの原料になっていたりと,私たちの生活になくてはならないものだと言えます。

しかし地球の長い歴史から見ると,これらの資源が使われ始めたのはごく最近のことです。人類は長い間木を使って火を起こして生活していました。しかし17世紀に始まった産業革命を境に,化石燃料が注目されるようになります。

産業革命とは?

産業革命とは,簡単に言えば機械が生み出されて使われるようになったことを指します。現代で機械と聞くとロボットのようなものを思い浮かべるかも知れませんが,ここでの機械というのはもっと単純なもので,人の出来ないことをやるものというよりは人の働きを効率化するためのものです。

この中で蒸気機関というものが開発され,蒸気機関が発達することにより鉄道や機関車が誕生し,移動がだんだん楽になっていきます。この蒸気を生み出すには水を燃やして沸騰させなければならず,そこで燃料としての石炭,やがては石油が注目され,よく使われるようになったというわけです。

どこで採れるの?

ではこの化石燃料はどこで採れるのでしょうか。ここからは主な原産地をご紹介していきます。石炭と石油とでは採れる場所が違いますので,区別して覚えるようにしましょう。

石炭の原産地

まずは石炭の原産地についてみていきましょう。石炭というのは,大昔に大規模な山脈が存在し今ではなだらかな山脈になっているような土地でよく採れます。主要な産出国だと中国・インド・アメリカが挙げられるでしょう。大雑把な炭田(石炭が取れる場所)の分布は下の通りです。丸の大きさはだいたいの産出量を表しています。(データはBenesseより引用しています。)

石油の原産地

次に石油の原産地についてみていきましょう。石油というのは,大規模な山脈でよく採れますが,それ以外にも海底から湧き出ていたりします。主要な産出国だと中東のサウジアラビアやロシアなどが挙げられるでしょう。なんとなくの油田の分布は下の通りです。丸の大きさはだいたいの産出量を表しています。(データはBenesseより引用しています。)

日本で化石燃料は採れる?

この化石燃料ですが,残念ながら日本では採れません。その理由は上で述べたような原産地の特徴に日本の地形が当てはまらないからです。一般的に「化石燃料がどの程度自分たちの住む国で用意できているか」についてはエネルギー自給率という尺度を使うことが多いのですが,中部電力によると日本のエネルギー自給率は10%ほどしかありません。これは90%のエネルギーを海外から買っていることを指します。

ただその他方,経済の発展した日本は日頃からたくさんの化石燃料を使っています。関西電力によると,日本は世界的に見ると中国・アメリカ・インドに次いで4番目に多く電力を消費しているそうです。詳しくは後述しますが,このように燃料を海外に頼っているというのは大きな問題を引き起こす可能性があります。

化石燃料の用途!

この化石燃料の主な用途は発電です。以前発電についての記事で,火力発電では化石燃料が使われるとご紹介しましたね。化石燃料が発電に使われ,生み出された電気が私たちのもとに届けられることで,生活が豊かになっていきます。エアコンや冷蔵庫やテレビが使えているのも,広い目で見れば化石燃料のおかげと言えるかもしれません。

そしてここからは石油に限ってのことですが,ビニールやプラスチックへの加工という使い道もされています。それ以外にも,車を動かすガソリンやストーブなど使われる灯油も化石燃料の一種です。このことから,日常生活の大部分が化石燃料に支えられていると言えるでしょう。

化石燃料に関する諸問題

地球温暖化の推進

しかし化石燃料の使用には様々な問題があります。その1つが温室効果ガスの排出に伴い地球温暖化が進んでしまうことです。石油や石炭を燃やすと二酸化炭素が発生するのですが,この二酸化炭素などの気体は温室効果ガスと呼ばれ,地球の気温をあげてしまう効果があります。

実際前述した産業革命以降,化石燃料の使用に伴い大気中の二酸化炭素が徐々に濃くなっているのですが,それに合わせて地球の平均も上昇してきました。このような環境の変化が続けば私たちの生活はもちろん,自然や動植物にまで悪影響を及ぼしてしまうかもしれません。

埋蔵量問題

また化石燃料には埋蔵量に限りがあるという問題があります。上でも書きましたが,化石燃料とは生物の死がいが長い時間をかけて作り上げてきたものです。しかし現在急速なペースで人間が化石燃料を使っているせいで,地下に眠っている石油や石炭の量は着実に減っており,このままだと100年後くらいには石炭も石油も底を尽きてしまうと言われています。現在人間はほとんどの活動を化石燃料に頼っていますから,石油や石炭がなくなってしまうと大問題です。

特定の国への依存

そして特定の国に産出を依存している,ということも大きな問題です。特定の地域でしか採れないということは,その地域でなんらかの事情で石油が採れなくなったとき・その地域が石油を輸出してくれなくなったとき,価格が異常に高くなってしまう可能性があります。

実際1970年代に,日本でオイルショックという現象が2回起きました。これは中東地域で起こっていた戦争が原因で,その地域の産油国により石油の価格が70%引き上げられ,日本中で様々なものの値段が上がったことを指します。例えばガソリンなどの石油関連製品が品薄で値上がりしたのですが,それ以外にもトイレットペーパーをはじめ洗剤・砂糖や塩など,石油とは関係のない商品まで買い占め騒ぎが起こり,価格が跳ね上がってしまったのです。

このうちトイレットペーパーなどの値段まで上がった理由は石油とは一切関係がなく,実は政府のちょっとした発言から事実無根の噂が流れてしまったからなのですが,大きな混乱を引き起こしたという意味では石油がいかに重要なポジションを占めているかご理解いただけると思います。そしてこの問題の元凶が化石燃料を他国に依存していることにあるので,このような混乱が再び起きないよう,なんらかの対策を取る必要があるかも知れません。

まとめ

今回は化石燃料について,どこで採れるのか・何に使われるのか,といったことをお話ししていきました。資源について重要なことは,メリットとデメリットをセットで覚えておくことです。この点を意識して本記事を繰り返し読んでいただき,学力向上のお役に立てていただけましたら幸いです。

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参考