ケアレスミス・考えたことと書いたことが異なっていること、ありませんか?

テストの答案が返ってきたとき、「あれ、なんでこんな答えを書いたんだろう」と、お子さんがとぼけたように言うことはありませんか?頭の中で順を追って考え、答えがわかった!と、「正しい」はずの答えを書いたはずが、考えていたことと書いていたことが違っていて間違いになる、このようなミスは非常に多いのです。計算をして答えが出たら分子と分母を入れ替えて解答欄に書いてしまう、知識問題で最後の一文字だけ間違えてしまう・・・でも、お子さんにとっては、「正しい答えを出したはずなのになんでだろう」と理解できないことがあるのです。本当になぜなんでしょうか。

今回は、考えたことと書いたことが異なっておきるケアレスミスについて、考えていきたいと思います。

集中していない

たとえば、漢字の「へん」と「つくり」を逆に書いてしまっているお子さんを見たことがあります。習ったばかりというわけではない、書きなれているはずの漢字なのに、逆に書いてしまっているのです。また、社会でカタカナの人物名を変な名前に作り上げてしまうお子さんもいました。フランスの哲学者にルソーという人物がいますが、「ソルー」と書いてしまっているのです。知らなかったのかと聞いてみると、「ただ書き間違えただけ」と笑いながら答えていました。笑っている場合ではありません。知っていること、その場でわかっていたことをきちんと解答欄に書けないということは重大な問題なのです。

このような例は、一言でいえば「集中していない」証拠です。勉強の環境や毎日の生活態度を見直すところから始めないと改善するのが難しいです。「いいかげんでもいいや」「適当で」「なんとなく」これが習慣になってしまっており、それがそのままテストでも出てしまうのです。もしこのような書き間違いのミスが重なり、本人に危機感がないときは、普段の勉強がいい加減になっていないか、生活態度がいい加減になっていないか、見直してみましょう。生活態度と勉強の習慣は、特に小学生の場合は表裏一体です。

いいかげんな書き方がくせになっている

知識の理解度を確認するために、子どもたちに説明させることがありますが、時々言葉の順序と書いていることの順序が全く異なってしまう子がいます。たとえば、数字で「8分の5」と言いながら分子の方から書く、つまり5を書いてから8を書いて「5分の8」としたり、「引く6」と言いながら6のあとにマイナスを書く、といった具合です。

頭でわかっているから書いていることは後でどうにでもなると思っているのかもしれませんが、これはミスを大量に生む原因になる、非常に良くない癖です。テストで急いで解いて答えを出し、解答欄にひっくり返して書いてしまったり、後で直せばいいやと思って先に進んでどんどん違う方向に進んでしまう、頭で考えたことと書くことが異なってしまう典型的な例です。ここまでくると、ケアレスミスと一言で済ますには重大な問題になってしまいます。

間違えた答えの分析をしてみると悪いくせが判明することがある

誤答してしまった問題を分析するときに、解答までの過程を説明させると、どの時点で間違ったのかが明らかになりますが、書く順序がでたらめになっていることが間違いの原因、ということがよくあります。子どもにケアレスミスが目立つとお感じになったら、この点を確認してみてください。発している言葉の順序通りに書くよう、促してみてください。

ただ、これは子どもたちには細かい指摘に感じるようで、うるさがられることがあります、「書く順序なんてどうでもいいじゃない、自分がわかれば」という言い分です。でも、それでミスを生んでしまっているのは事実です。思考のアウトプットの過程がいい加減、というくせは、コミュニケーション能力にも影響を与えます。そして、入試とは、学校と受験生のコミュニケーションの場です。「この子はこのような過程を経て答えに至ったんだな」ということがわかるようにしなければ、点数はもらえず、合格することはできません。また、学校に入ってからも、その先も、コミュニケーション能力は重視されます。「説明の丁寧さに欠けている人」「誤解を招く人」と言われかねませんから、その点も説明してあげる必要があるでしょう。

オススメは「ブツブツ唱えながら書く」こと

オススメしたいのが、「思考の過程をブツブツ唱えながら解いていく」という方法です。問題文や自分の解答を読みながら書くのです。頭の中にあることを忠実に、順序正しく書いていく訓練になります。また、問題文を口に出して読むことで勘違いを防ぐことができます。何が問われているのか、どのように答えるべきなのかをしっかり理解してから解答に取り組むようにするのです。そうすれば、1つ1つの問題を丁寧に解かなければならないという意識も芽生えます。

ブツブツ自分に問いかけながら解くわけですが、大きな声で音読する必要はありません。あまり大きな声で音読すると、かえって読むことに気を取られすぎて内容を把握するのを忘れてしまうことがあります。小声で構いません。もちろん、テストの時は静かに、心の中で唱えながら、その順序を守って書くようにしてくださいね。家庭学習の時に「ブツブツ小声で唱えながら」順序立てて書くくせをつけて、普段から自分に問いかけながら解いていれば、テストの時も平常心で臨むことができ、ミスも減ります。ぜひ、やってみてください。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。