ケアレスミスにはいろいろな種類があります。そのなかから3つのパターンを選んで、ケアレスミスの減らし方についてお伝えしています。
3つのパターンとは、
- 問題文を間違って解釈するパターン
- 解答までの道筋をまとめずにすっ飛ばしてしまうパターン
- 見直しによる不安感から正解だったにもかかわらず解き直しをして不正解になるパターン
です。
今回は、3の「見直しによる不安感から、正解だったにもかかわらず解き直しをして不正解になるパターン」についてお伝えしたいと思います。
テストを受けて帰ってくると、「あ、ここ、見直しをして書き直したら前の答えが正解だった・・・」こういう経験をお持ちの方はとても多いと思います。せっかく制限時間前に終わったなら、見直しをして少しでも高得点を狙いたいですよね。
しかし、やってしまいがちなのが見直しをしたがゆえに正解を書き直して不正解にしてしまうというケースです。
このパターンはケアレスミスに敏感な生徒に多い
このタイプのケアレスミスをしてしまう生徒さんに対する指導はなかなか大変です。パターン①②とは異なるパターンだからです。今回のタイプの特徴は「一度正解を出しているにもかかわらず、自分の解答に自信がなく、新しい解答を出してしまう」というものです。
このパターンの生徒は、ケアレスミスに非常に敏感です。点数に対する意識も高いことが多いです。そして、塾は勉強をしに来るところ、と割り切って一生懸命勉強する生徒に多くみられるように思います。
改善するために試してみたこと
このパターンの生徒の特徴を考えてみたとき、もともと意識の高い生徒であるがゆえに、自信がもてずにケアレスミスが出てしまうのではないか、という仮説を立ててみました。そこで試してみたことは、「本人にまず自信をつけてもらう」方法と、「学習環境を変化させてみる」という2つの方法です。
そこで、教室のインテリアを変化させてみました。観葉植物を置き、おしゃれなジャズをかけるなどしてみたのです。保護者の方には「集中力アップのために音楽を書けるようにしました」とお伝えしましたが、本当の目的は「ザ・塾!」という雰囲気を少し変え、緊張感を和らげることにありました。教室のイメージはロハス感たっぷりの雑貨屋さんをイメージし、勉強机も木製のものに変えるなどして、学習の環境を変えてみたのです。
生徒に起こった変化
点数を取らなければ、という意識が強すぎてかえって自信を無くしてしまっていた生徒も、緊張感から解放され、リラックスして問題に向かうことができるようになって、テストの点数もアップしてきました。
模試のように、環境が違うところでも、「緊張感から解放され、自信をもって受けに行く」という姿勢ができたことにより、成績が大幅にアップしたのです。(塾としても、おしゃれな塾として評判になり、入塾希望者も増えたのは二次的産物ですがうれしいことでした)。
このおしゃれな雰囲気が生徒の集中力を高めたのか、ほかの生徒も問題を解くスピードや正答率が上がり、成績が上がっていったのです。初めは苦肉の策としてやってみたことが、目に見える結果として表れ、教える側としてもうれしい変化でした。
まとめ
「一度正解を出しているにもかかわらず、見直しで間違えるパターン」の生徒への対策は、ただ演習を繰り返せば何とかなるというものではありませんでした。「自信をつけさせる」ために、周囲ができることを考えた結果、緊張感から解放され、成績が上がっていきました。
問題を解くとき、特に模試では緊張感はつきものです。ですが、普段の勉強の環境を少し変えてみて、自分に自信をつけさせてあげる、これは大人の協力がないと難しいかもしれません。程よい緊張感を保ちつつ、平常心で問題に向かい、1問1問丁寧に解いてくる、その経験を積み重ねることによって克服できるケアレスミスのパターンというものもあるのです。
とくに、中学受験を目指すお子さんは、「誰かを(やはり親御さんでしょう)喜ばせたい」という意識が強いです。ですから、ケアレスミスを責めるより、緊張感から解き放たれて実力を本番で発揮できるような大人のサポートが大切です。
まずは、「小さなことでもいいからほめる」ということから始めてみてもよいと思います。「なんでミスしたの!」と怒られて委縮することはあっても、ほめられたことによって委縮するお子さんは小学生では少ないでしょう。自信がつくはずです。ぜひ、小さいことからでもいいので、やってみてください。
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【中学受験・算数】ケアレスミスをなくすための2つの視点
一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。