小論文の重要ポイントを解説する記事も、これで最後となります。前の記事をまだ読んでいない方は、ぜひそちらから読んでみてください。(その1、その2、その3)
さて、自分の意見を述べる際に書くことが多いものが具体例です。
自分なりの具体例を書くことができれば、他の人との差別化にもつながります。しかし、具体例を書くのは簡単ではあません。
今回は具体例を書く上で気をつけたいことをいくつか紹介します。
Contents
具体例を書く上で気をつけたいこと
あまりにも個人的なことは避ける
高校生がよく書く具体例が、学校での部活動や委員会の経験です。身近な話題だけにすぐに思いつき、書きやすいのだと思います。
しかし、実はこのような話題は読み手にも伝わるように書くことが非常に難しく、気軽に書くべきものではありません。
日本には様々な高校があります。多くの人は、おそらくそのうちの一校にしか通ったことがないでしょう。そのため、自分の学校の制度が変わっているものだったとしてもなかなか気づくことができません。
自分にとって当たり前のことが読み手にはそうでない可能性があるのです。学校の仕組みや委員会のことを書くのであれば、読み手に伝えなくてはいけない前提条件をきちんと書く必要があります。
部活動のことを書く場合も同じです。野球部のことを書く場合、その野球部が甲子園に何度も出場してきたような強豪校だった場合は、一般的な野球部とは事情が違うでしょう。
部長の苦労や仲間割れの経験を書くとしても、その部活動が200人のものなのか10人のものなのかで全く話が異なります。
このように、個人的な話を読み手に伝えるには様々な説明が必要です。
そもそも、自分がこういう経験をしたから一般的にもこうだ!と、個人的な例を具体例に出すことが望ましいのでしょうか。過度な一般化は危険です。
社会一般に周知されている問題を扱う
前提の共有を簡単にするためにも、社会の中で一般的に知られている事柄を扱うと良いでしょう。
民主主義に関する課題文を読んで意見を述べるという問題だった場合、生徒会選挙の話を書くよりも国政選挙の話を書いた方が、読み手の理解を簡単に得ることができます。
ただ、この時に事実と異なることを書いてしまっては、減点の対象となることを免れません。事実関係をきちんと理解して書く必要があります。
それを可能にするためにも、日頃からニュースを確認するなどしておきましょう。
何のための具体例なのかを意識して書く
どのような具体例を書くか以上に重要なことが、“何のために具体例を書くか”を意識することです。
具体例は、大抵の場合は以下のどちらかの役割を果たすために書きます。
- 自分の意見を分かりやすくするため
- 自分の意見を強調するため
前者の場合、本当にその具体例が自分の意見と同じ文脈で語れる内容なのかを意識しながら書きましょう。
後者の場合は、その例を書くことによって自分の意見の切実さが増すかどうかを意識すると良いでしょう。
いずれにせよ、具体例に何をあげるかを考える前に、何のために具体例を書きたいのかを明確にするようにしておくと失敗がありません。
まとめ
具体例を書くことは簡単ではありません。なんとなく書くのではなく、きちんと考えた上で書きましょう。
良い具体例を書くためには、日頃の情報収集が不可欠です。日常の積み重ねが小論文を書く力に繋がります。
日頃から社会に対して興味を持ち、自分なりの意見を持ちながら生活してください。
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参考
1995年生まれ。東京都出身。
中高一貫の女子校出身で、高校時代は部活動で部長を務める他、学外で学生団体を立ち上げるなど活動。活動歴を活かせるかもしれないと、高校2年生からAO入試を視野に入れる。同時に、一般入試では早稲田大学を目指して勉学に励む。受験期の国語の偏差値は70以上で、センター模試では現代文・古文は常に満点。AO入試で慶應義塾大学総合政策学部に入学後は、研究会活動のほか、大学受験予備校や書店でのアルバイトに励む。専門分野はジェンダー学、倫理学(主にケアの倫理)、労働法。大学卒業後はコンサルティングファームなどを経て独立し、現在は予備校講師やライター、個人コンサルタントとして活動中。書店と映画館と美術館と歌舞伎座をこよなく愛し、芸術文化全般に関心を持っている。