中学受験を考える受験生にとって最も大切なことは、「自分に合った学習法を見つけること」です。受験生に限らなくても、自分で学習する習慣をしっかり身につけておくことはその後の学習において大きな影響があります。
もし中学受験をするのなら、最もオーソドックスな学習法は、進学塾に通って、そのカリキュラムに沿って、おくれないように着実に学習を進めていくことです。しかし、生徒さんの性格や、塾のカラーによって、塾やカリキュラムが自分には合っていないのではないか、理解がなかなかできなくて置いていかれがち、ということもあるでしょう。
あるいは習い事などとの両立の関係で時間的制約があって、塾に通って勉強を進めるにあたっても、すべての科目、カリキュラムを穴の内容に確実にこなしていくのが現実的に難しい受験生も多いと思います。
もし、いろいろな制約があって思うように受験の王道ともいえるような学習方法をとることができないときは、どのようにすればよいのでしょう?その場合には、自宅で自分のペースで勉強するということになるでしょうが、どのくらいのペースで、何を勉強したらよいのか迷うことも多いのではないでしょうか。
そのようなときに活用できるものの一つが、自学自習用の学習アプリです。特に最近、このような自学自習用アプリに注目が集まっています。塾に通いながら、あるいは塾には通わずにテキストとアプリを併用するなどして利用し、苦手なところを克服するという勉強法をとっている受験生も増えつつあります。
こういった自学自習用のアプリはたくさんあります。それだけに、どのようなアプリを遣ったらよいのか、そのアプリにはどういう特徴があるのか、お子さんの力を伸ばしてくれるものなのか、などいろいろ気になりますよね。
今回は、自学自習アプリのメリットとデメリットについて、そしてオススメのアプリについて書いていきたいと思います。
Contents
注目を集める自学自習アプリ
最近よく話題に上る「自学自習アプリ」。中でも、人気のある講師の授業を、分野や単元ごとに受けることができるアプリに注目が集まっています。中学受験をするなら、低学年のうちから進学塾に通って、カリキュラムをこなして・・・というのが一般的でしょうが、かなりの費用がかかりますし、習い事との両立やいろいろな事情でコンスタントな通塾が難しい生徒さんもいると思います。
自学自習アプリが注目を集める理由としては、通塾するよりもかなり安い費用で、しかも好きな時間に受講することができる、ということが挙げられます。そのようなことから、「自学自習アプリ」に興味を持ち、活用を考えるご家庭が増えています。塾に通いながら、理解が不十分な分野だけアプリを活用したり、一からアプリで自分のペースで勉強する、そのような学習法も広まりつつあります。
通信教育を上回る?自学自習アプリ
以前は、自学自習の教材といえば、通信教育の教材が主流となっていました。親御さん世代も、通信教材を使って勉強した方も多いと思います。
皆さんもご存知のように、通信教育では教材が定期的に郵送されてきて、自分のペースで自習し、問題を解いて郵送で提出すると、それが添削されて返却されてきます。
今でも通信教育はありますが、最近ではパソコンやタブレットを使った「自学自習アプリ」が開発され、学習する分野を自分で取捨選択して学習学習をする教材のひとつとして注目が集まっています。
このように最近注目され、人気が出てきている「自学自習アプリ」ですが、使ってみないとわからないこともありますよね。では、「自学自習アプリ」のメリットとはどのようなことがあるのでしょうか?また、デメリットはあるのでしょうか。
「自学自習アプリ」のメリット
「自学自習アプリ」で学習するメリットは、非常にいろいろなものがあります。
①いつでも、どこでも勉強が可能
ご家庭にパソコンやタブレットがあれば、いつでも、どこでも勉強することが可能です。もし進学塾に通う場合には、行きかえりの時間が意外にロスになりますし、体調が悪いときなどはお休みしなくてはなりません。そうすると、受けられない授業があり、集団塾の場合、その分のフォローはまず受けられません。
それに対して、「自学学習用アプリ」を使えば、空いた時間があれば、いつでもどこでも勉強することができます。
②塾に通うよりも圧倒的に費用負担が軽く済む
これは最大のメリットといってもよいでしょう。様々なアプリがあるので一概には言えませんが、安いものでは月額980円で受講できるものもあります。塾の月謝に比べて相当安く済むことがわかりますね。経済的で継続しやすいことは、「自学自習アプリ」の非常に大きなメリットといえます。
③経験や実績がある
いわゆる「カリスマ講師」の授業をインターネットを介して安く受けることができるものもあり、それもメリットといえます。
人気のある講師の授業はどうしても都心の塾でないと受講できなかったり、住んでいる地域によってう受けられる授業の「質」にも差が出てしまうことは避けようがありません。その点、「自学自習アプリ」を使えば、地方都市に住んでいたとしても、都心の塾と同等の授業を受けることができます。
「自学自習アプリ」のデメリット
たくさんのメリットがある「自学自習アプリ」ですが、うまく活用できないと、かえってデメリットとなってしまうこともあります。
①一方的な授業になってしまう
先ほど紹介したようなインターネットを介した映像での授業の場合、講師の目の前に子どもがいるわけではありませんから、講師の方も生徒さんの表情や態度を読むことができません。そうすると、どうしても一方的な授業になってしまう危険性はあります。
いわゆるカリスマ講師でしたら、「ここが受験生のつまずきやすいところ」について熟知していますから、ポイントごとに工夫をした授業を期待することも、もちろんできるでしょう。ですが、先生と生徒が目の前にいないという状況だと、生徒さんごとの理解度に合わせて授業が進んでいくとは限らないというデメリットが生じることはやむを得ないともいえます。
生徒さんの側も、わからないことがあっても途中で質問することができないので、場合によっては効率のよい学習とはならないこともあるというデメリットが生じてしまいます。
②いつでもできるから、とサボってしまう
また、費用が割安で済むことから、逆に「自学自習」という学習の根本姿勢を軽くとらえてしまい、いつでもできるから・・・と学習を継続しなくなる可能性は否定できません。自学自習の姿勢は、継続することができてこそ身につくものです。もし、いつでも見ることができるから、今でなくてもあとで見ればいいや、というような気持ちでアプリを利用しても、学力をつけることはできません。
③聞き流すだけでは効果がない
自分は何が理解できていて何が理解できていないのか、という点にむとんちゃくなままで、映像授業をただ聞き流しているだけになってしまうと、それは学習ではありません。そうすると、アプリをせっかく利用しても、十分に学習効果を得ることができないこともありえるので注意が必要です。
おすすめの「自学自習アプリ」
さまざまある自学自習用アプリの中から、特におすすめのアプリを2つご紹介したいと思います。
「スタディサプリ」(旧・「受験サプリ」)
ご存知の方も非常に多いと思いますが、一流の人気講師の授業が受けられる「スタディサプリ」はとても有名ですね。
「神授業、1万本」のキャッチフレーズで知られている「スタディサプリ」は、いわゆる「神授業」という評判の高い人気講師の授業を、格安な金額で受けることができます。全5教科18科目の授業の動画を配信しており、苦手科目の克服にも役立てることができます。
1万本の授業とは、中学受験向けだけの授業というわけではなく、中・高・大学受験の範囲も含むということなので、一度登録しておけば中学校に進学した後も長く活用できることも魅力のひとつです。
わからなくなった単元について、さかのぼって学習することができる点が、自学自習用としての大きなメリットと言えるでしょう。また、年会費や初期費用は無料で、月々980円という低料金で始められるので、塾や通信教育の授業料よりもはるかに安く「神授業」が受けられるのが最大のおすすめポイントです。
確保できる学習時間に合わせて、通塾するのは単科のみにしてその他の科目をアプリで学習したり、苦手意識のある科目の学習の補助や復習に活用することもできます。低料金なので、併用することもそれほど負担にならないでしょう。実際に、アプリの授業をしっかり受けて苦手科目を克服している受験生の例も多いです。
「スマイルゼミ」
(スマイルゼミ)
このアプリは、「顧客満足度第1位」と言われています。たとえば、日経優秀製品サービス賞やイード・アワード子ども英語教材で顧客満足度第1位を獲るなど、利用者の評判が高いのがこの「スマイルゼミ」です。
ただ授業を「観る」だけではなく、一人ひとりの学習進度に応じた学習スケジュールを教えてくれるので、一方的な受講にならない点が魅力といえるでしょう。いくら良い授業を受けても、それが一方的なものだと、わかった気になってもいざ自分で問題を解こうとすると解けない、つまり「できるようになっていない」ことは、塾の授業でもいえることです。
このアプリの対象は小学1年生から中学3年生です。月額料金は学年によって異なりますが、小学1年生で3600円から、中学3年生で7980円(5教科)と、一般的な通信教育の費用より若干お得になっています。
小学生・中学生ともに利用者の約9割が学習の定着、学力アップを実感しているというアンケート結果もあり、使い方しだいでかなりの効果が期待できます。
今回はこの2つのアプリをご紹介しましたが、この他にも「学研ゼミ」や「進研ゼミ」のような、大手教育事業会社が開発し、かつ長い間子どもの学習について実績のある自学自習用アプリもあります。
「自学自習アプリ」は計画的に活用することが大事
これまで挙げてきたように、「自学学習アプリ」には多くのメリットがあります。ですが、利用する姿勢がいい加減なものであったり、計画性なくただ見ているというだけでは、せっかくのアプリの良さを学習に活かすことができず、かえって学習においてデメリットが生じることになってしまいます。
「自学自習アプリ」は使い方によっては大きな学習の味方になってくれます。ぜひ、お子さんと親御さんがご一緒に学習計画を立て、一からアプリで勉強するのか、苦手なところを利用するのかなどをしっかり決めて、アプリを徹底活用して学力向上に役立てていただきたいと思います。
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中学受験・学習計画の立て方
アクティブ・ラーニングとは何か
一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。