中学受験をするならば、避けて通れないもの、それは模試ですよね。6年生にとっては総合模試が本格的に始まり、それ以外にも塾の模試、小テスト、たくさんの模試を受けることになります。模試を受験することには、いろいろなメリットがあります。ですが、そういったメリットを理解せずにただ受けるだけになってしまっては、せっかくの機会を活かすことができません。
次から次へと受けなければならない模試ですが、受けて終わりにしていませんか?今回は、模試を受けに行く「意味」をご紹介します。改めて、模試を受ける意味を確認し、1回1回の模試を有効に活用していただきたいと思います。
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模試を受ける意味① 現在の実力を確認する
模試を受ける目的としてまず考えられるのは、今の自分の実力を確認する、ということです。模試を受けることによって、これまでに勉強してきた内容がどの程度定着しているのかを確認することができます。6年生であれば、学習の定着度合いを測るだけでなく、志望校までの距離を測る、という重要な意味合いも持つのが模試です。いまの自分の立ち位置を模試で確認し(偏差値が参考になるでしょう)、志望校の偏差値を比べてどれくらいの距離があるのかを実感することは大切です。これからどこに重点を置いて勉強していくべきなのか、その指標となるのが模試です。ただし、偏差値は母集団によって変わります。これから模試を受けるなら、自分が前回の模試よりどこができるようになってどこがまだできないのか、それを確認することができるという意味があります。
模試を受ける意味② ヒントなしで問題を解く練習をする
問題を解く練習は、塾の授業でも、家庭学習で宿題をやるときも、受験生ならいつもやっていることですよね。ですが、塾では先生が基本的な考え方を説明してから問題を解きますし、宿題をやるときは解答・解説というヒントがあります。
しかし、模試の会場には何のヒントも転がっていません。自分自身の中にある、これまで学習してきて定着させてきたヒントの引き出しを探し当て、初めて見る問題を解かなければなりません。何のヒントもなく、時間制限がある中で問題を解くという練習は、模試でしかできないことです(入試を除けば)。初見の問題を、制限時間内で、ヒントなしで必死に解く。その貴重な機会として、模試を受ける意味があるのです。そのような厳しい条件にあるときに必死で考えることによって、学力がひと段階アップするといってもいいでしょう。
模試を受ける意味③ 入試本番の雰囲気を疑似体験する
入試の場というのは、本当に特殊な環境です。今まで通った塾の教室を離れ、初めての志望校の教室で、同じ学校を目指すライバルに囲まれ、しーんとした中で必死に入試問題を解くのです。そして、その一発勝負で合否が決まるわけです。緊張感はピークに達し、パニックになるお子さんもいらっしゃいます。
そうした、普段の学習とは違う状況を疑似体験できる場として、模試を利用する意味があるのです。「他流試合」と言ったりしますが、自分が通っていない塾の模試を受けに行ったり、会場も実際に中学校で受けられる模試を受ける経験も非常に大事です。普段の環境とは違う緊張感を感じながら問題を解く。それは、自分を追い込むためにも必要な経験です。
模試を受ける意味④ 自分の課題を見つける
これが一番大切かもしれません。今まで、模試を受けて受けっぱなしにしたことはありませんか?入試であれば人事尽くして天命を待つしかできませんが、模試の場合は、その模試の結果を受けて、自分の課題を見つけ、その課題を克服することができます。現段階の自分の実力で当然解けた問題、解けたはずなのに解けなかった問題、歯が立たなかった問題・・・一口に模試といっても大量の問題が並んでいるわけですから、自分の実力でどこまでできて、どこができなかったのかをしっかりつかんで今後の学習に活かすべきなのです。正答率が1%を切るような超難問を解けることは素晴らしいことですが、同時に正答率70%以上の、「みんなが正解してくる」問題を間違えていたら?基礎が抜け落ちている可能性があります。そういった、問題一つ一つを大切にして、まず解けるべきだったのに解けなかった問題を集中的に復習してみるなど、自分の課題を克服するための学習につなげることに、模試を受ける最大の意味があるのです。
まとめ
塾に入ると、日々模試(あるいはテスト)を受けることが当然になってしまい、模試を受ける意味を考えずに受けるだけで終わってしまいがちです。しかし、中学入試で合格を勝ち取る自分をイメージしてみてください。今の自分の実力と志望校との距離感を測り、なぜこの問題が解けなかったのか、次回は間違えないようにしっかり練習しよう、そのような自分の課題を見つけるために模試を受けるのです。模試をしっかり活用できたかどうかは、実際の入試の合否を分ける重要な要素です。
模試を受ける意味を改めて考えていただき、これから受ける模試は決してただ受けて終わりにすることのないようにしましょう。緊張感の中で必死に問題を解いて自分の実力を上げるという目的をもって受け、そのあとはしっかり分析を行い、自分の穴となっている課題点を見つけ、それをつぶしていく。そのように模試を活用できたなら、受けた意味が大いにあるのです。ぜひ、意識してください。
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一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。