公式とてんびん図をマスターすれば簡単!食塩水問題の解き方

 水に食塩を溶かしたものを、食塩水といいます。食塩水の中に含まれている食塩の重さの割合を表すのが、食塩水の濃さです。この、「食塩の重さ」「食塩水の重さ」「食塩水の濃さ」を求めるような問題が中学入試ではよく出題されます。 

 そんな頻出の食塩水の問題は、しっかり対策して得意分野にしてしまいたいですよね。食塩水の問題は苦手…という人もいるかもしれません。でも、これを読めば大丈夫です!公式の覚え方から紹介していくので、ぜひこの機会に食塩水の問題をマスターしましょう! 

 公式の覚え方 

 食塩の重さ、食塩水の重さ、食塩水の濃さには、次のような関係があります。 

  1. 食塩の重さ = 食塩水の重さ × 食塩水の濃さ 
  2. 食塩水の重さ = 食塩の重さ ÷ 食塩水の濃さ 
  3. 食塩水の濃さ = 食塩の重さ ÷ 食塩水の重さ 

なんだか文字ばっかりでわかりにくいし、覚えにくいですよね。安心してください。もっと覚えやすくてわかりやすい方法があります。 

丸い図

 求めたい値を指で隠してみてください。残った値を計算すれば、公式と同じになります。試しに、1番上の食塩の重さを隠してみましょう。濃度と食塩水の重さが残るので、 

  濃度 × 食塩水の重さ = 食塩の重さ 

になります。初めにあげた公式の1つ目と同じですね。残りの2つも確認してみてください。わり算のときには、上の値÷下の値です。分数と同じ形だと考えれば、覚えやすいですね。初めにあげた公式と全て同じになることが確認できましたか? 

 実際に解くときには「食・濃・水」と書くと早く書ける上に見やすいです。このとき気をつけるべきところは、食塩水の重さと水の重さの違いです。食塩水の重さというのは、食塩と水の和です。食塩水の重さで割らないといけないのに、水の重さで割ってしまったせいで計算が合わなくなった、というミスがよくあるので注意しましょう。 

 もし公式がわからなくなってしまったり不安だったりした時には、是非この図を描いてみてください。もう公式を忘れてしまって解けなかった、ということにはなりません。 

 では、この公式を使って簡単な問題を解いてみましょう。 

【問題】

(1) 90g の水に10g の食塩を溶かしてできる食塩水の濃さは何%ですか。 

(2) 15%の食塩水200g に溶けている食塩の重さは何g ですか。 

(3) 15g の食塩を水に溶かして3%の濃さの食塩水を作るには、何g の水に溶かせばよいですか。 

(4) 5% の食塩水 300g から水を50g 蒸発させると、濃さは何%になりますか。 

(5) ある濃さの食塩水が300g あります。これと5%の食塩水を200g 混ぜ合わせたところ、濃さが8% になりました。はじめの食塩水の濃さは何%ですか。 

 

【解答】 

(1) 食塩水の濃さ = 食塩の重さ ÷ 食塩水の重さ より、 

  10 ÷ (90 + 10) = 0.1 → 10% 

答え:10% 

(2) 食塩の重さ = 食塩水の重さ × 食塩水の濃さ より、 

  200 × 0.15 = 30 

答え:30g 

(3) 食塩水の重さ = 食塩の重さ ÷ 食塩水の濃さ より、 

  15 ÷ 0.03 = 500 

 これは食塩水の重さなので、食塩の重さ分引いて、 

  500 – 15 = 485 

答え:485g 

(4) 初めの食塩の重さは、 

  300 × 0.05 = 15  

 水を蒸発させても、食塩の重さは変わらないので、 

  15 ÷ ( 300 – 50 ) = 0.06 

答え:6% 

(5) 5%の食塩水200g に含まれている食塩の重さは、 

  200 × 0.05 = 10 

 混ぜたあとの食塩水に含まれている食塩の重さは、 

  ( 300 + 200 ) × 0.08 = 40 

 はじめの食塩水300g の濃さは、 

  ( 40 – 10 ) ÷ 300 = 0.1 

答え:10% 

 いかがでしたか?全問正解できましたか?間違えてしまった人はもう1度確認してみましょう。食塩の重さと、食塩水の重さをきちんと把握することを意識しましょう。中には、(5)は少し難しいと感じた人もいるかもしれません。こんなにたくさん計算しなくても答えを求める方法があるので、次の章でご紹介します。 

てんびん図を使おう 

 食塩水の問題では、面積図を使って解くように教わることが多いようです。始めに、食塩水の濃さを表すのに使われる百分率などを理解するのには適していると思います。ですが解くときには、てんびん図の方がきっと早いです!スッと書いてパッと解けます! 

 それでは、先ほどの(5)を例に、考えてみましょう。

天秤図 

 問題文で与えられている情報だけでこれだけのものが書けます。おもりは食塩水の重さ、てんびんのうでの位置で食塩水の濃度を表します。混ぜたときの濃度は、支点の位置です。そして、おもりの重さの比と、うでの長さの比が逆になります。数字をひっくり返せばいいだけなので簡単ですね! 

天秤図の応用法

  求める答えは右上の「?」の部分です。もうわかりますよね。10%です。公式を使って計算したときの答えと一致しました。比の計算の方が数字が簡単な分、計算が早くすみますね。 

 では、これを使ってもう1問解いてみましょう。 

【問題】

10%の食塩水が800g あります。このうちのいくらかをこぼしてしまったので、代わりにこぼした食塩水と同じ重さの水を加えたところ、濃さが8% になりました。こぼした食塩水の重さは何gですか。 

【解答】 

まずはてんびん図を書いてみましょう。 

例題の天秤図

水の濃度は0%なので、てんびん図の左端の値は0になります。水を加えた後の濃度が8%なので、水と10%の濃度の食塩水の重さの比は、1 : 3 です。水の重さは、 

  800 × ¼ = 200 

こぼした食塩水の重さと水の重さは等しいので、答えは200g です。 

まとめ……の前に

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最後に 

 てんびん図を使った食塩水の問題は解けるようになりましたか?ここまで読んでくださった皆さんは、もう食塩水の問題は得意分野になったんじゃないでしょうか。もちろん、面積図で解くほうが解きやすいという方はそのままでも構いません。自分が1番やりやすい方法で解いてください。てんびん図を書く解法もあるんだな、と頭の片隅に置いておいてもらえれば良いです。てんびん図の方がやりやすいと感じた方は是非、てんびん図でササッと解く方法を身につけてください。 

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