そもそも現代文、何のためにやるのか
現代文という科目は、もちろん受験の科目として重要です。
ですが、それだけで良いのでしょうか…?個人的には、”受験のため”で終わらせてはいけない科目だと思っています。
昨今では、チャットが一般的なコミュニケーションツールになっています。LINEに関しては、高校生の皆さんはおそらくほとんどの方が使用しているでしょう。
チャットの良いところは、話し言葉に近い形式で文字コミュニケーションを取れるところです。加えて、絵文字やスタンプなどといった文字以外のものを組み合わせれば、表情豊かな表現が可能になります。
大人たちも、プライベートLINEを使うのはもちろんのこと、最近では企業内外とのコミュニケーションでもSlackなどのチャットツールを使用するようになってきました。
対面なりWeb会議で会話をするよりも、チャットを送る方が時間の制約がなく楽なのです。
さらに、ここ半年で急激にリモートワークやオンライン会議が増えることとなりました。
これからの時代は、今まで以上に”国語力”というものが重要になっていくと言えます。
仕事の際には、指示を受けて作業をすること、または指示をして作業をしてもらう、というコミュニケーションが発生します。これがチャット(やメール)を通じて行われるのです。
対面と違って、チャット上で相手の理解度をうかがいながらやりとりしていたら時間がかかってしまいます。
適切に相手に自分の言いたいことを伝える文章力はもちろん、相手の文章を適切に読み解いていく力が必要になります。
読み解いた上で、分からないことがあれば適切な文章でそのことを相手に伝えなくてはいけません。文章力がなければ、仕事上で大変な苦労を経験することになってしまいます。
オンラインツールが発達している今だからこそ、本質的な読解力・文章力を身につける必要があるのです。
テクニックって誰のため?
テクニックに頼る人とは、どういう人かを考えてみましょう。
当たり前のことですが、テクニックに頼りたくなるということは、現代文が苦手な人です。ということは、”読めていない人”ということになります。
巷に溢れる現代文のテクニックは、読んで・書いてある中身を理解する、というプロセスをすっ飛ばして問題を解こうとするものが大半です。
つまりは、テクニックを使うということは、きちんと読解をすることを放棄していると言えます。
確かに、受験本番まであと数週間の人であればテクニックにすがるのは仕方のないことでしょう。
しかし、まだ時間のある人は是非ともテクニックにすがらずに、読解という行為に向き合ってほしいと思います。
読解力は一朝一夕につくものではありません。それまでの人生で癖になってしまった読み方を修正し、正確に読める方法に変えていく必要があります。
語彙力がない場合は語彙の強化から始めないといけません。時間のかかるものなのです。
すぐに効果を求める人、勉強に即効性を求めがちな人に取ってはテクニックは最高のアイデアなのだと思います。
ここで忘れてはいけないのは、テクニックが当てはまる問題ばかりとは限らないということです。
そのことを忘れてテクニックの習得に没頭すると、結局目指すレベルに辿り着けずに受験が終わってしまうでしょう。
ではどうやって読めば良いのか
では、テクニックに頼らずに解く、とはどういうことでしょうか。
単純に言えば、文章を理解し、問題を理解して解く、ということです。
現代文は課題となっている文章をどの程度理解できているかを確かめる科目です。ですから、ただ書かれている内容を理解しさえすれば良いのです。
課題の文章を理解すること以上に大切なことは、問題文の理解です。
何を聞かれているのかがよく分からないままに答えてしまっては、頓珍漢な答えを返すことになってしまいます。
問題文を先に確認しどのようなことが聞かれているのかを把握した後に、聞かれているような内容を意識しつつも文章全体を読みます。
この際、絶対にしてはいけないのが”単語で読む”ということです。問題文にある言葉や選択肢にある言葉に出会って飛びついてはいけません。
一文を読み、その文の集合である段落を読み、その段落の集合体である全体を読みます。
どうやればできるようになるのか
初めから文をきちんと理解しながら読む習慣がついている人は、そう多くはないでしょう。どのように練習をしていけば良いでしょうか。
まず行ってほしいのは音読です。
声に出して読むことで、それまで無意識に読み飛ばしていた部分もきちんと目に入るようになります。
その際に読めない漢字に出会うこともあるはずです。漢字が読めていないということはその言葉の意味も知らない可能性が高いので、適宜辞書を引きながら読むようにしましょう。
まずは一回音読をして理解することを目標にします。次は黙読で音読と同じスピードで読み、理解します。
だんだんと黙読のスピードを上げていくことで、時間内に正確に読む力を身につけていきます。
選択肢問題を使って理解できているかを試す方法もおすすめです。
選択肢を隠した状態で、記述式問題として答えを考えます。自分の考えた内容が正解の選択肢と同じようになっている内容になっているかを確認していきましょう。
センター試験(共通テスト)の過去問であれば、確実に正解と言える模範解答が載っているので使い勝手が良いはずです。
まとめ
現代文が得意になるために身につけるべき力は、一生使える能力です。
近視眼的に受験のことだけを考えるのではなく、長い目で見て地道に能力を築き上げていきましょう。
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参考
1995年生まれ。東京都出身。
中高一貫の女子校出身で、高校時代は部活動で部長を務める他、学外で学生団体を立ち上げるなど活動。活動歴を活かせるかもしれないと、高校2年生からAO入試を視野に入れる。同時に、一般入試では早稲田大学を目指して勉学に励む。受験期の国語の偏差値は70以上で、センター模試では現代文・古文は常に満点。AO入試で慶應義塾大学総合政策学部に入学後は、研究会活動のほか、大学受験予備校や書店でのアルバイトに励む。専門分野はジェンダー学、倫理学(主にケアの倫理)、労働法。大学卒業後はコンサルティングファームなどを経て独立し、現在は予備校講師やライター、個人コンサルタントとして活動中。書店と映画館と美術館と歌舞伎座をこよなく愛し、芸術文化全般に関心を持っている。