算数の問題を解く中で、「単位換算」の問題が出てくるともうお手上げ…というお子さんがいます。
覚えることよりも、考えることの方が圧倒的に多い算数という教科の中で、「単位」については覚えなければならないことの1つです。
単位を覚えていないお子さんは、単位換算の問題が出てきたらお手上げになってしまうというのは当然のことです。
なぜお子さんは単位を覚えていないのでしょうか?もしかしたら、覚えたくても興味が湧かないからなかなか覚えられない…ということかもしれません。
この記事では、お子さんに覚えさせるためのちょっとした工夫をお伝えします。
どうしたら覚えられる?
そもそも、人は興味のないものや身近にないものは覚えられません。カメラアイと呼ばれるような特殊能力を持つ一部の人を除いては、一度見ただけや聞いただけの情報は時間が経てば忘れてしまいます。
人の記憶のメカニズムは、「同じことを繰り返す」「強烈な印象を残す」「五感を伴って覚える」などでより強化されます。
また、身近に感じられれば覚えやすくなるということでもあります。
では、どのようにすれば単位を身近に感じられるのかを具体的にご紹介していきます。
ポイント1:本人の情報とリンクさせる
身近に感じさせるのに最もふさわしいのは、本人の情報とリンクさせることです。例えば、重さや長さの単位については、まず体重や身長を使って説明します。
1kgが何gなのかを覚えられない場合には、子どもの生まれたときの体重を本人に教えてあげましょう。普段、身体測定などで体重を計るときは「kg」という単位で計測します。「体重はkgで計る」という認識と、「自分が生まれたときの体重(g)」がリンクして覚えやすくなるのです。
1mが何㎝かを覚えられない場合には、現在の身長を本人に教えてあげましょう。例えば140cmの身長であれば、「今は1m40㎝だね」ということになります。これはまさに身近であるものなので、覚えやすいでしょう。
ポイント2:身近にあるもので確認する
例えば定規を持っているお子さんは、「1㎝=10㎜」ということを知っています。もし定規を持っているのに覚えていない子がいれば、それは意識してこなかっただけだと思います。一度意識させれば、あとは見て数えるだけでその都度確認できるので、忘れないでしょう。
ではそれ以外で身の回りにあるもの、そして単位に関するものは何があるかおわかりでしょうか?
容積の単位について覚えられていない場合には、「牛乳パック1本分が1Lで、それは500mLのペットボトル2本分だよ」と教えてあげましょう。そのためにも、まずは実物を用意して、「内容量」という項目を目で見て確認させてくださいね。
実際に中身を移し替えるまではしなくて大丈夫です。牛乳パックや500mLのペットボトルを見たことがない子どもは少ないと思うので、その物自体を思い出す視覚的イメージがあれば、覚えやすくなるのです。
ポイント3:文字だけでなく図のイメージを持たせる
よくある公式集や問題集のまとめページで、単位について「1m=100㎝」などが羅列してあるだけのものを見かけることがありますが、あれでは覚えようという気にもならないのではないでしょうか。
先ほどの例に挙げたように、実物が身の回りにあるものであれば文字だけでも見て想像ができます。しかし、もし想像もできないような、身近にない単位の場合には図のイメージを持たせることで覚えやすくなります。
子どもたちが一番覚えにくい単位が、「面積を表す単位」です。その中でも、「a(アール)」や「ha(ヘクタール)」は馴染みがなさすぎて覚えにくいはずです。そもそもこの単位、いつどこで使うの?というような疑問すら感じるほどだと思います。
自分が授業で教える場合には、「aとかhaは畑とかの大きさを表すときに使うんだよ」という話をします。㎡じゃ小さすぎるし、㎢だと大きすぎる場合に、その間の大きさを表す単位が必要だよねという話をしながら、上のように図をかきます。
ちゃんと大きさに変化をつけている点にも要注意です。これをもし、同じ大きさの正方形を4つかいて、それぞれの数字の大きさだけ変えてみたところで全く意味がないです。図形の大きさが違うという視覚的イメージを伴って、覚えやすくしているのです。
最後に
今回の記事で紹介したように、いくつかのポイントによって覚えやすい単位というものがあります。しかし、ではこれで誰でも一回で覚えられるのかというとそういうわけでもないかと思います。ちゃんと完全に覚えたという状態になるまでは何回でも繰り返して確認していく必要があります。
冒頭でも書いたように、記憶を強化するにはいくつかの方法があります。その中で、単位によって強烈な印象が残ることは少ないと思うので、「繰り返す」のと「五感を伴う」を利用するほかはないのです。間違えて記憶してしまうと元も子もないので、間違えてるかもしれないと不安に感じるうちは正しい情報をしっかり確認させましょう。
(ライター:桂川)
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