以前の記事にも書いたように、中学受験の理科の生物、地学分野はとにかく暗記物が多く、「ただ覚えるだけ」ということに苦手意識を持っている方も少なくないと思います。
そこで、今回は、地学分野の中の「気象」に関して、正しい気温の測り方について身近に感じていただくために、特に「百葉箱」の特徴に絞って要点をその理由とセットでまとめてみたいと思います。
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正しい気温の測り方のルール、知っていますか?
ニュースや新聞で、天気予報に触れない日はありません。「最高気温」「最低気温」などのニュースを見て、明日はどの服を着ようか、コートはもういらないか、などの目安にしますよね。
では、このような「最高気温」「最低気温」はいったいどのようにして測っているのでしょうか?
実は、この気温の測り方にはルールがあるのです。
気温を正確に測る条件
一般に、気温を測るには、
- 風通しの良い日陰
- 地上から1.2~1.5メートルの高さの場所
で測るのがよいと言われています。その理由はそれぞれ、
- 太陽と地面からの熱の影響を防ぐため
- 地面から離れることにより安定した温度で計測するため
とされています。
たしかにあまり不安定な場所で測定しても、正しい気温を測ることが難しいですから、一番良い条件というと上に上げたようなことになりますね。
こういった「なぜこの条件で測るのがよいのか?」という「疑問」をもって調べたり考えたりすることは理科の基本です。ニュースや新聞にもヒントがたくさん隠されていますから、ぜひ興味をもって見るようにしてほしいと思います。
身近な気温測定のために便利な、学校にあるものは?
皆さんは、小学校で白い小屋のようなものを見たことがありませんか?
その小屋の正体、それは百葉箱です。この百葉箱は、実は気温をはかるためにとても都合よく作られているのです。
百葉箱の特徴は?
百葉箱の主な特徴は、いろいろあります。
- 白色・・・太陽熱の吸収を防ぐため
- 鎧戸・鎧壁・・・密閉を防ぎ、風通しを良くするため
- 北向きの扉・・・日光が直接さしこまないようにするため
- 木製・・・熱を伝えづらくするため(熱を伝えやすい金具などは使わない)
- 足元が芝生・・・地面からの太陽熱の反射を防ぐため
このように正確に気温を測るため、様々な工夫がなされていることがわかります。
百葉箱の中には何が入っているの?
では、百葉箱の中には何が入っているのでしょうか
- 最高温度計
- 最低温度計
- 自記温度計
- 乾湿球温度計
が入っています。
さらにその周りには、
- 地中温度計
- 雨量計
- 風速計
等が設置されていることが多いです。
皆さんも学校で百葉箱を見たことがあると思いますが、気温の観測をしたことはあっても、百葉箱の仕組みそのものについてはあまり知らないのではないでしょうか。学校で百葉箱を見つけたら、その周りもよく観察してみましょう。
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まとめ
百葉箱には、5つの特徴があること、そしてその理由はなぜなのか書いてみました。
特徴だけ丸暗記するのはそれほど難しくないかもしれません。しかし、それぞれの特徴には理由があるのです。単に丸暗記するだけではなく、「なぜそういう仕組みになっているのか」「なぜそうなっているのか」、そこに着目することが重要です。
学校には様々な実験器具などがあります。それらの特徴を覚えることにも共通しますが、そのものの「特徴」には必ず「理由」があること、そして特徴と理由をセットで覚えることにより、初めて知識が定着するのです。
暗記分野と言われる地学ですが、暗記の仕方にもひと工夫必要です。また、近年最難関校と言われる中学でも、実験器具や学校の中にあるもの、そういったものは何のために使うのか、使い方の手順は、その理由は、といった塾のテキストではなく「小学校の教科書に書いてあること」「小学校で実験したこと」についての正確な理解を聞く問題が増えています。
生物分野では、ある鳥のくちばしを実際に書く問題や、「鮭の切り身」の絵を書きなさい(骨に注意して)などの問題が出題されたこともあります。
今回は百葉箱を例に上げましたが、中学受験の理科の勉強では難しい問題を解いたり知識を詰め込む以前に、小学校の教科書に書いていることをおろそかにしてはいけません。実はそこにヒントが隠されているのです。
ぜひこのことを忘れずに、理科の学習を進めていきましょう。
一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。