世界史や美術史でよく耳にする「ルネサンス」。
入試問題でも問われることの多い分野だと思いますが、丸暗記になってしまうことも多いのではないでしょうか?しかし、文化史は画像やイメージを頭の中に残すことが大事です。
本記事ではルネサンス期の代表的な作家・作品を画像を用いながら紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください!
Contents
ルネサンスとは
はじめに、ルネサンスについて簡単に紹介したいと思います。
ルネサンスは14世紀から16世紀にかけて起こった文化(芸術)運動です。
それまでの中世では戦争やペスト、キリスト教などにより、厭世主義(現世や世界を厭い、天国に行くことのみを望む考え)を軸とした世界でした。特にキリスト教では神を絶対視し、人間は原罪を背負う罪深いものだと考えます。
そのため、神の否定・現世の肯定・自然美などは厳しく禁止され、人々は自由な人間性をなくしていました。
この考えを吹き飛ばすべく生まれたのが人文主義(ヒューマニズム)です。人文主義はキリスト教の影響を受ける前のギリシャ・ローマ古典を学び、人々の自由な人間性の回復を目指す考えのことです。
そして、このギリシャ・ローマの学芸を復興させようという動きがまさに「ルネサンス」という訳です!
「ルネサンス」という言葉には「復興」という意味がありますが、この「古代ギリシャ・ローマの学芸の復興」というところから来ているということですね。
ルネサンス期の有名人物
ダンテ
- 職業:詩人・哲学者
- 時期:1265-1321
- 代表作品:「神曲」「新生」
ルネサンス初期に活躍した詩人です。
ダンテは故郷から追放されたという経験があります。代表作である「神曲」は丁度追放された時時に描かれたため、苦悩が強く反映された内容になっています。
また、地獄篇・煉獄篇・天国篇の3つのパートで構成され、それぞれの篇は34歌・33歌・33歌からなります。文章も3行でひとまとまりであるなど、3という数字にこだわっている所が大きな特徴です。これは三位一体説の3からきているとも考えられます。
下はボッティチェリが描いたダンテの肖像画です。
ボッティチェリ
- 職業:画家
- 時期:1445-1510
- 代表作品:「ヴィーナスの誕生」「春(プリマヴェーラ)」
ダンテの肖像画を描いた人物です。彼の作品の特徴は美しい裸体や美しい少年が描かれること!
というのも、ボッティチェリは新プラトン主義(ギリシャ・ローマ文化の再発見とキリスト教との両立を目指す)に触れ、裸体=最も純粋で美しいものという解釈に至ったようです。
また、少し憂鬱気質であった、美少年好きだったなんて噂もあります。人間らしくて面白いですよね。
そんな彼の代表作品の1つがこちら、「ヴィーナスの誕生」です。
ヴィーナスとはギリシャ神話で言うアフロディナという女神の一人。ヴィーナスは泡から産まれたと言われており、これはそんなヴィーナスの誕生を描いています。
左にいるのは風の神と花の精霊、右にいるのは女神の一人です。風の神が息を吹き、花が舞い上がっています。ヴィーナスの誕生と共に季節が動き出した、そんなワンシーンです。
そしてこちらの「春」もとても有名な作品です。
当時栄えていたメディチ家の当主・ロレンツォに依頼され描かれた作品です。
この絵には様々な女神様が描かれてい中央に中央にいるのが先ほどにも出てきたヴィーナス。また、右側に風の神もいます。
足元に咲き誇る花や左側の女性の花柄のワンピースが印象的ですよね。
この作品も春の訪れを意味し、「ヴィーナスの誕生」との共通点を感じます。
レオナルド・ダ・ヴィンチ
- 職業:画家・彫刻家・科学者・音楽家・解剖学者 etc
- 時期:1452-1519
- 代表作品:「最後の晩餐」「モナ=リザ」
ルネサンス期の三大巨匠の一人。
小さい頃から才能に溢れ、画家のみならず様々な分野でその力を発揮しました。
蛇足エピソードも少し。彼は美男子と言われていて、誰にでも親切だったそうです。大変な動物好きで動物たちの様々な動きをデッサンしました。しかし少し気が変わりやすく、秘密主義な部分があったそうです。
それでも美術や森羅万象に対する興味は無くさなかったというところが彼の根底にあるものが見えますね。
代表作品にあげた二つは誰もが知っていると思うので、折角ですから他のものを紹介したいと思います。それが、「人体比例に関する素描」です。
彼は初めて正確な人体解剖図を作ったことでも有名です。また、パラシュートやヘリコプターなどの画期的なアイディアも沢山産み出しました。
どれも実現にはいかないものばかりでしたが、今見ると実現されているものもあり、レオナルドのすごさを感じます。
ミケランジェロ
- 職業:彫刻家・フレスコ画家
- 時期:1475-1564
- 代表作品:「ダビデ像」「最後の審判」
ミケランジェロも三代巨匠の一人。とても有名な彫刻家です。
彫刻システィナ礼拝堂という場所の天井画・壁画を描いたことでも名が知れています。
彼の性格は頑固一徹!人が嫌いで特にライバルであるレオナルドのことが大嫌いでした。
面倒臭がりで、裕福な暮らしを嫌がり、人とつるまない…まさに一匹狼です。女の人も嫌いで、生涯独身女性の肉体美より筋肉に美しさを感じていたようです。ただ、唯一文通友達となった女性がいたのですが、それはまた別のお話。
そんなミケランジェロの代表作品といえば、「ダビデ像」です。
この作品でミケランジェロは大きく成功を収めました。
足の部分に穴の開いた大理石を使用するというハンデがあったのですが、それを物ともせずミケランジェロは見事にダビデ像を作りきりました。
そして、この「最後の審判」も代表作品の1つです。
システィーナ礼拝堂の壁画です。この壁画はその名の通り、天国行きか地獄行きかを決める最後の審判のシーンが描かれています。
中央で右手を挙げているのが審判者・キリスト。天国に向かう者は上昇し、地獄に行く者は苦しそうな顔で下降していっています。
画面右下には地獄の審判者・ミノスがいます。実はこのミノス、「最後の審判」を酷評した儀典長の顔をモデルに描いたそうです。ミケランジェロの少し難儀な性格が見えて面白いポイントだと思います。
ラファエロ
- 職業:画家・建築家
- 時期:1483-1520
- 代表作品:「大公の聖母」「アテネの学堂」
三代巨匠最後の一人であるラファエロはウルビーノという場所に生まれました。後に芸術の都・フィレンツェへ向かい、レオナルドやミケランジェロに大きく感銘を受けます。
ミケランジェロは謙虚で勉強家。誰からも愛されるような人物でした。性格を反映したように、作品も優雅で柔らかい雰囲気を持っています。
また、女性好きでもあり、聖母子や女性の肖像画を多く描きました。
先に述べたようにラファエロは「聖母子の画家」と言われるほどよく聖母子を描きました。これはそんな聖母子を描いた作品の1つ。
背景が暗いことで聖母子がより際立って見えます。聖母子の一体感や、愛情が表現されています。
これはバチカン宮殿の壁画で、ギリシャの哲学者が集まった様子が描かれています。中央にいる二人は、左がアリストテレス。右がプラトンです。
アリストテレスは著書の「ティマイオス」を持ち、プラトンは「ニコマコス倫理学」を持っています。これは西欧思想の伝統である理想主義と現実主義の2つの生き方を表していると言われます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
性格が作品に反映されていたり、人物同士が影響し合っていることを聞くとまた見方が変わって面白いですよね。
この前編で初期の有名な人物や比較的有名な画家を中心に紹介しました。
次の後編では、1600年頃に活躍した人物や画家以外の人物も紹介したいと思います。気になる人はぜひ後編ものぞいてみて下さいね。
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参考
- 諸説世界史B 改訂版
- 諸説世界史図説タペストリー
- 最新図説倫理
- イラストで読む ルネサンスの巨匠たち|河出書房新社
アイキャッチなどのデザインを担当しています、田中です。大学で造形的なことを学んでいるので、美術関連の記事の作成も時折任せていただいてます!
とにかく絵と音楽と食のことばかり考えているので、それを活かして少し息抜きが出来るような記事を作成出来ればと思っています〜◎よろしくお願いします!