もういつでも受験に立ち向かえるぜ!というレベルの準備ができている方には、おそらく「否定疑問文の返答?そんなの “Yes, I do.” と “No, I don’t.” で形を揃えるだけだろ」と一蹴されると思います。
ですが、この否定疑問文(“Don’t you-?”の形の疑問文のこと)の返答の仕方は、日本語からの直感とは真逆の答え方なので覚えるのに苦戦した方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、否定疑問文の返答の仕方をもうこれから一生間違えることがなくなるし、生徒に否定疑問文を教えるときもほぼ確実にわかってもらえるようなとある小ネタを紹介します。
タイトルにもある通り「はい」と “yes” そして「いいえ」と “no” は、日本語と英語での表面上の意味は同じですが、この2語ずつは実は根本的に性質が異なります。
この違いを押さえておくと、否定疑問文の返答が理屈で覚えられます。
どこかまやかしのように論理が飛躍している言い回しで怪しく感じられたかもしれませんが、騙されたと思ってお読みください。
僕は最初にこの話をきいたときは目からウロコでした。
日本語と英語の肯定・否定の返事の本質的な違い
まずは次の2つの文を考えてみましょう。
- Are you hungry?
- Aren’t you hungry?
言わずもがな②が否定疑問文になります。
みなさまをバカにしているわけではありませんが、この先のことも考えて2つの日本語の意味を書いておくと、
①の意味が「おなかすいてる?」で、②が「おなかすいてないの?」です。
さて、本題に入ります。
日本語と英語の肯定・否定の返事の本質的なちがいについてですが、この2つはそれぞれ以下のような性質を持っています:
- 「yes」と「no」:後ろに肯定文と否定文のどっちが続くかを示す単なる予備標識
- 「はい」と「いいえ」:相手の発言が合っているかまちがっているかを示すもの
つまるところ日本語の「はい」/「いいえ」は相手の発言ありきの返答になっているわけで、言うならば対人関係のことばなのです。
それに対して英語の “yes” と “no” は、後ろが肯定文か否定文かのちがいだけなので、相手の発言に関係なく、自分が肯定的な発言をしたいならyesを、否定的な発言をしたいならnoを使うのです。
ここでいう肯定的、否定的というのは、相手の発言に対して肯定か否定かではありません。
疑問文への返答の仕方
日本語を使っているとどうしても肯定・否定のところでけっこう勘違いが起きてしまいそうなので、例に戻って考えてみることにしましょう。
“Are you hungry?” に対しての返答は、返答者が
- お腹がすいている: “Yes, I am.”
- お腹がすいていない: “No, I’m not.”
で、「おなかすいてる?」に対しての返答は、返答者が
- お腹がすいている:「はい、すいています。」
- お腹がすいていない:「いいえ、すいていません。」
です。ここまでは普通ですね。
では、
“Aren’t you hungry? ”に対しての返答は、返答者が
- お腹がすいている:“Yes, I am.”
- お腹がすいていない: “No, I’m not.”
で、「 おなかすいてないの?」に対しての返答は、返答者が
- お腹がすいている:「いいえ、すいています。」
- お腹がすいていない:「はい、すいていません。」
になります。
そろそろ「お腹がすく」という言葉がゲシュタルト崩壊してきたところですが、英語と日本語の返答の仕方にちがいが出てきましたね。
結論を言ってしまえば、英語の疑問文への返答の仕方は、今の例でいえば「相手がどう質問してこようが、自分のお腹がすいていたらyesを、すいていなかったらnoと答えてから、自分の状態(I’m hungry.またはI’m not hungry.)を述べればよい」ということになります。
日本語は相手の質問を肯定または否定してから自分の状態を述べます。
日本語を媒介して英語を考えると真逆をいってしまいますね。
対人関係に敏感になる日本の文化がよく表れている返答の仕方です。面白い。
最後に
いかがだったでしょうか。
いかにも日本の文化と英語圏の文化の違いって感じで非常に面白いものでした。
日本語を媒介にして英語を考えるのはよくないという最もわかりやすい例ですね。
英語は英語の考え方がありますから、小手先の日本語に逃げずにきちんと本質をつかむ勉強をしていきましょう。
では今回はこのへんで〜!!!
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参考
駿台予備学校お茶の水3号館東大理系演習コースでの1年の浪人生活を経て、2019年に東京大学理科一類に入学。浪人中に書いていたAmebaブログ「東大理1を目指す浪人生の物語」は、その悲喜こもごもの浪人生活を絶妙な筆致でつづることにより、東大受験生ブログランキングで半年以上に渡って1位を獲得するのみならず、Amebaブログの高校生・浪人生ジャンルでも長きに渡って頂点に立ち続けた。地方の非進学校出身で、都心の名だたる有名校との格差を感じながらも工夫をして成績を伸ばした姿が共感を生み、いまも受験を控える高校生・浪人生から支持を得ている。東大進学後も「とある東大生の脳内をのぞく」と銘打ったブログを開設し、Twitterで受験生の質問に親身に答え続けるなど、精力的に活動している。