2.論理と集合〜ベン図を利用して集合を図示できるようになろう〜[数学1]

集合

定義

図1 集合の定義

  • \(U\):全体集合
  • \(A\):ある性質を持った(客観的に分けられる)物・人などの集まり
  • \(a\):要素
    \(a∈A\)…要素\(a\)は集合\(A\)に属する。
  • \(∅\):要素のない集合(空集合)

部分集合

図2 部分集合

  • \(A⊆B\)…\(A\)は\(B\)の部分集合
    部分集合:ある集合に対して、一部の要素だけを取り出した集合。

 

  • \(A⊂B\)…\(A\)は\(B\)の真部分集合
    真部分集合 : 部分集合の内、元の集合とは一致しない集合。
    \(A\)と\(B\)が一致する場合は\(A=B\)、\(∅⊂A\)

\(A⊆B⇔x∈A⇒x∈B\)

(\(A\)の任意の要素\(x\)が\(B\)の要素である)

論理和(OR)・論理積(AND)・否定(NOT)

  •  ①論理和(和集合)

図3 論理和

\(A∪B\)

\(A OR B\)

 

  • ②論理積(積集合)

図4 論理積

\(A∩B\)

\(A AND B\)

  • ③否定(補集合)

図5 否定

\(\overline{A}\)

\(NoT A\)

 

\(\overline{\overline{A}}⇔A\)

\(\overline{∅}⇔U\)

\(\overline{U}⇔∅\)

\(A∩\overline{A}⇔∅\)

\(A∪\overline{A}⇔U\)

 

※真偽表 真 ; T…1 / 偽 ; F…0

\(A\) \(B\) \(A∪B\) \(A∩B\)

0

0

0

0

0

1

1

0

1

0

1

0

1

1

1

1

 

ド・モルガンの定理

  1. \(\overline{A∪B}=\overline{A}∩\overline{B}\)
  2. \(\overline{A∩B}=\overline{A}∪\overline{B}\)

否定をとると AND OR が入れ換わる

 

証明)

図 6 ド・モルガンの定理①

\(\overline{A∪B}=\overline{A}∩\overline{B}\)

図 7 ド・モルガンの定理②

\(\overline{A∩B}=\overline{A}∪\overline{B}\)

 

 

※\(A∩(B∪C)⇔(A∩B)∪(A∩C)\)…分配則

(\(∩:\times\)、\(∪:+\))

図8 分配則

否定をとって論理積を作る!!

 

  • Ex.\((A∩\overline{B})∪(A∩B)=A∩(B∪\overline{B})=A∩U=A\)

 

  • Ex2.

\((A∩\overline{B})∪(A∩B)∪(\overline{A}∩B)\)

\(=\overline{\overline{A∪\overline{A}∩B}}\)

\(=\overline{\overline{A}∩\overline{(\overline{A}∩B)}}\)

\(=\overline{\overline{A}∩(A∪\overline{B})}\)

\(=\overline{∅∪\overline{A}∩\overline{B}}\)

\(=\overline{(\overline{A}∩\overline{B})}\)

\(=A∪B\)

要素の個数

表を書いて整理!

  • ①2集合

図9 2集合

\(n(A)\):\(A\)の要素の個数

\(n(A∪B)=n(A)+n(B)-n(A∩B)\)

 

証明)

図10 2集合 証明

\(∴n(A∪B)=n(A)+n(B)-n(A∩B)\)
  • ②3集合

図11 3集合

\(n(A∪B∪C)=n(A)+n(B)+n(C)-n(A∩B)-n(B∩C)-n(C∩A)+n(A∩B∩C)\)

証明)

図12 3集合 証明①

図13 3集合 証明②

\(∴n(A∪B∪C)=n(A)+n(B)+n(C)-n(A∩B)-n(B∩C)-n(C∩A)+n(A∩B∩C)\)

 

論理

命題

命題とは

…客観的に真(T)偽(F)が判断できる文

図14 命題

\(P⇒Q\)が\(P⊆Q\)

 

条件の判定

【判定の手順】

step1. 同値変形

  • 方程式、不等式を解く
  • グラフ化する

step2. 真となるように⇒をつける

  • 真にならない時は「どちらでもない」
    ⇔となる時は必要十分条件(同値)

step3.\(P⇒Q\)    \(P\):十分条件、\(Q\):必要条件

 

条件の否定

…基本的には集合を同じ

  • ①All 恒等式

全ての要素(\(x\))について\(P\)(条件)が成り立つ   \({}^∀x{P}\)

 

  • ②Some 解の存在

ある要素について\(P\)が成り立つ

\(⇔P\)を満たす要素が少なくとも1つ存在する   \({}^∃x{P}\)

\(\overline{{}^∀x{P}}⇔{}^∃x{P}\)

\(\overline{{}^∃x{P}}⇔{}^∀x{P}\)

逆・裏・対偶

\(P⇒Q\)

\(P⇐(逆)Q\)

\(\overline{P}⇒(裏)\overline{Q}\)

\(\overline{P}⇐(対偶)\overline{Q}\)

 

  • 元の命題と対偶
  • 逆の命題と裏
    →真偽が一致する

 

\(P⇒Q\)

0

1

\(P⇐Q\)

?

?

\(\overline{P}⇒\overline{Q}\)

?

?

\(\overline{P}⇐\overline{Q}\)

0

1

 

証明の論法

  • ①三段論法(同値)

\((A⇔B∩C⇔C)⇒A⇔B\)

Ex.

図15 三段論法 Ex.

\(a=180°-c∩b=180°-c\) \(∴a=c\)

 

  • ②対偶を示す

\(P⇒Q\)を示すために\(\overline{P}⇒\overline{Q}\)を示す(\(Q\)が否定を含む時、論理和・論理積の時有効)

 

  • ③背理法

\(P⇒Q\)を示すために\(P⇒\overline{Q}\)と仮定すると矛盾していることを示す (\(Q\)が二律背反である時有効)

 

Ex. \(\sqrt{2}\)が無理数であることの証明

\(\sqrt{2}\)を有理数と仮定すると、\(\sqrt{2}=\frac{n}{m}\)(\(m\)、\(n\)は互いに素)と書ける

\(\sqrt{2}=\frac{n}{m}\)

\(2=(\frac{n}{m})^2\)

\(2=(\frac{n^2}{m^2})\)

\(n^2=2m^2\)

より、\(n≡0(mod2)\)

\(n=2k\)とおくと、

\(4k^2=2m^2\)

\(m^2=2k^2\)

より\(m≡0(mod2)\)

これは\(m\)と\(n\)が互いに素であることに矛盾する。

故に\(\sqrt{2}\)は有理数ではない、即ち無理数である。

 

  • ④数学的帰納法(一般項\(n\)について有効)

【証明の手順】

(ⅰ)\(n=1\)の時、\(P_{1}⇒Q_{1}\)が成立

(ⅱ)\(n=k\)の時、\(P_{k}⇒Q_{k}\)が成立すると仮定すると、

\(P_{k+1}⇒Q_{k+1}\)が成立

(ⅰ)(ⅱ)より\(∀_{n}[P_{n}⇒Q_{n}]\)

 

cf).

演繹  ⇔  帰納

(ルネ・デカルト)                  (フランシス・ベーコン)

プラグマティズム

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参考