新型コロナウイルスによる自粛要請がしばらく長引きそうな時期ですが、受験生の皆さんはどのようにお過ごしでしょうか。学校も休校となり、外出もままならないため、時間を持て余してはいないでしょうか?どうしても何かと塞ぎ込みがちなになってしまう今の世情ですが、逆にこの期間を有益に過ごすことができれば、今の事態が終息した後に通常の生活スタイルに戻ったときに、周囲と大きく差を付けることもできるというように気持ちを前向きに転換すると、アドバンテージをとることができます。
それは、学校が休校になっている今だからこそ、自宅学習の時間を今までとは段違いに多くとることができるからです。毎日学校に行っていると、塾での授業に加え、学校の宿題などもあり、そもそも自宅で落ち着いて勉強することができませんよね。今回のコロナウィルスは受験勉強計画に大きな影響を与えているはずです。だからこそ、今、やるべきことをやり、計画を修正しながら入試の日までの一歩一歩を踏み出すことが大切となってきます。
とはいえ、ただでさえメリハリをつけにくい自宅学習を、目標もなく長期に渡って続けるだけ、というのは小学生にとっては非常に困難なことです。「これをやる」ということを決めてこそ頑張れるのが受験勉強なので、ただ座って勉強をしていればいい、というものではないのも事実です。そこで、「自身の苦手分野を洗い出し、潰すべき点を見つける」という点に焦点を当て、苦手分野を克服する勉強法を探っていきたいと思います。初回の今回は、算数の苦手分野克服のための勉強法について説明していきます。
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ゴールデンウィークまでにやっておきたいこと
現在はコロナウィルス感染の拡大防止のため、学習塾も多くがオンライン授業などにシフトしてきている状況になりつつあります。また、カリキュラム通りにいくかどうかは塾側も試行錯誤しています。オンライン授業をしてくれる集団塾でも、解説はしてくれてもわからないところを質問に行ってすぐに解消するという機会は当分の間得られそうにありません。それだからこそ、「自分のやるべき勉強」を意識しながら受験勉強をすすめていくことが今、非常に大切なことなのです。塾での解説や質問の機会を失うというのは、一見デメリットに思えますが、逆に言うと、ただ集団授業を受けてくるだけとは異なり、自身のペースで学習を進めることが可能となっているというメリットがあるともいえるのです。
必要なのは、苦手分野の洗い出し
まずは、これまでに学習した全単元の見直しをしましょう。多くの塾では2月から新学年の授業が始まっています。まず、これまでに学習した2ヶ月分の単元から自分の苦手分野を探すというのはそう難しくない作業だと思います。算数は多くの塾で5年生のカリキュラムで入試に必要な全単元を終え、総合演習に入っているからです。
テキストを見て苦手分野を判断するのも良いですし、これまで受けてきた毎週の単元確認テストや模試、組み分けテストなどの点数を確認し、点数が低かった週の単元をピックアップするのも有効です。その際には、点数の低さだけに注目するのではなく、まず根本的に解けなかった問題をピックアップすることが大切です。
この2か月間の授業では複数の単元が組み合わさった融合問題も数多く出てきているはずです。自分がなぜその問題を解くことができなかったのか、全部だったのか一部だったのか、ということを意識しながらピックアップすることを忘れないでください。これは、あくまでも「ピックアップする作業」ではなく、「自分の苦手分野を見つけて整理する」のが目的なので、作業ではなく立派な学習です。その点に注意しながらピックアップをすすめましょう。
可能な限り前学年の苦手分野も洗い出そう
現学年の苦手分野を把握したあと、もし時間に余裕があるようならば、前学年・前々学年の苦手分野も洗い出せると、よりこれからやるべきことが明確になり、定着を盤石なものにできます。受験勉強の場合は、5年生の間に全科目において重要な単元、つまり入試で頻出の単元を集中的に詰め込むカリキュラムがとられています。特に、算数の場合はその傾向が顕著ですから、受験生である6年生の場合は、5年生の間に学習した内容で、普段から苦手意識を持っている分野や単元、問題のパターンを整理することがとても大切です。それを今のうちにやっておくと、オンラインで授業を受けて問題を解くたびに、解けなかったところに戻って学習をし、理解を深めて復習できるというよいスパイラルが出来上がります。
また、5年生の方であれば、今のうちに4年生で学習した内容の中から苦手分野を洗い出して完璧に潰しておけば、5年生のカリキュラム内容に集中でき、6年生になってからは日々の総合演習問題を通して5年生の学習内容の復習に注力することができます。そのため、6年生後期の志望校別の対策前に大きく周りをリードすることができるのです。
苦手分野の洗い出しは勉強法の見直しにつながる
算数の学習の場合、中心となるのは「単元毎にどのようなパターンの問題があるのかを把握する」ということの繰り返しです。受験生はどうしても苦手な単元に関しては身構えてしまい、焦っていきなり応用問題に飛びつこうとしがちです。ですが、それではわからない問題に何の道具もなく飛びついているのと同じですから、いくら解こうとしても解けず、「苦手」という意識がさらに強くなってしまうのです。
大切なのは、苦手な分野だからこそ、基本的な問題を繰り返し解き直して、ある程度の出題パターンを頭に叩き込んでいくようにすることです。パターンの丸覚えではなく、基本問題に隠されている算数の基本的な解法や公式、定理を一つひとつ叩き込んでいくイメージです。最初は苦しいな、と思うかもしれませんが、苦手なところなのですからいきなりできなくて当然です。
入試で出題される算数の問題は、複数の単元や考え方が融合されている総合問題です。それを解けるようになるためには、融合問題の基本となっているいくつかの分野、単元を自由に使いこなせるようにならなければなりません。イメージとしては、算数の総合問題を解くための知識の引き出しをいくつも作り、それを現場でさっと見つけて中身を使えるようになる、という感じです。
これができるようになれば、入試前の模試や過去問演習でも、たとえ問題が解けなかったとしても自分がなぜ解けなかったのかという理由がすぐにわかるようになり、もう一度復習する際に何をすればよいのかがわかるので、目標も立てやすいのです。目標が立てやすいということは、入試から逆算して今何をやるべきかということを意識するということなので、受験勉強に対する姿勢も変わってくることにつながります。
算数の苦手克服のために絶対確認したいポイントは意外に単純
算数の問題は、文章題であっても図形問題であっても、何を求めるかということがわかれば、四季を立てて最後には計算に持ち込んで答えを出す、という流れで解いていくことになります。実は、この流れを意識せずに問題を解いている受験生が非常に多いのです。
計算力は大事、皆さんそう思いますよね?わかっていても、計算はやらなければいけないから仕方なくやっている、という方が非常に多く、重要性がわかっていないからこそやっつけ仕事になってしまって計算ミスを連発してしまい、最終的に正解にたどり着くことができないというケースがたくさん見られます。また、これをケアレスミスとして看過してしまい、なぜその問題が解けなかったかという原因を発見できなくなってしまうこともよくあります。
正確に素早く計算ができるようにしておくことが非常に重要なのは、このような理由があるからです。受験勉強も終盤になってから、計算におけるケアレスミスに足を引っ張られるようになったとして場合、そこから計算力を完璧にするという軌道修正は非常に困難です。
だからこそ、今のうちに、自分はどういうタイプの計算が苦手なのかということをしっかり把握して、問題を解くたびに意識しながら修正していくということが大切なのです。また、計算問題を解くときに皆さん筆算すると思いますが、どのようにしていますか?筆算をする際に、繰り上がりの数字を書き忘れがち…といったことはないでしょうか。もしそういった、計算問題を解くときの自分特有の癖があるとわかったなら、今が修正のチャンスです。どんな問題が出ても、正確な計算ができるよう練習を重ねましょう。正確にできるようになれば、計算のスピードも上げていくことができます。時間配分の訓練にもなりますよ。
また、計算と並んで意外に受験生が苦手としているのが「単位換算」です。時間や長さ、距離、重さ、広さ、水の量など様々にわたりますが、入試問題レベルになるとそれぞれの単位換算がスムーズにできないと時間がかかり、タイムオーバーになってしまうこともある、実は非常にやっかいなものなのです。一つひとつを見ているとそう難しくないと思われがちな単位換算ですが、たとえば比の問題で問題文では「分」だったのに、「時間」あるいは「秒」で答えなさい、となっており、問題文を慌てて読み飛ばして換算を忘れたり、正確に理解していないために最後の最後で不正解となってしまうというケースは実に多いのです。
特に、入試問題の算数で解答だけを答える中学校では、解答がすべてですから、いくら途中過程が正しくても、解答蘭に違う単位で答えを書いてしまうと不正解になり、それまでの努力が水の泡になってしまいます。
簡単そうに思えて実は克服が厄介なのが単位換算です。今の時期なら十分間に合います。ぜひ、一行問題などで単位換算の練習をしたり、これまでに間違えた問題をピックアップした中から単位換算がかかわる問題を解いて、自由自在に使えるようにしておくことをオススメします。
まとめ
ここでは、算数について、今自分の勉強としてやるべきことをご紹介しました。何より大切なのは、受験生なら5年生までに学習した内容を今のうちに自分のものにすることです。苦手分野や単元を残したままでは、これから始まる模試や志望校別対策、過去問演習の際に時間がいくらあっても足りないということになってしまいます。
また、特別に難しいことをやるのではなく、基礎中の基礎として「できて当たり前」と言われるようなものが入試の合否を分けることもあるということをお判りいただけたでしょうか。計算や単位換算は、ただそれだけやればいいというものではありません。必ずどんな文章題、応用問題にもついて回るものです。切り離して考えるのではなく、問題を解いていく中で必ず意識をして実力をつけていくことが大切だということを忘れないように学習を進めてください。
次回は、算数の苦手克服法その2として、苦手分野を洗い出したあとには何をしていったらよいのか、ということについて書いていきます。洗い出した問題点は、受験勉強の目標になる宝物です。「こんなにあったの!?」とマイナスにとらえるのではなく、やるべきことが見つかってよかった、というようにプラスにとらえていただきたいところです。ぜひ、保護者の方もお子さんと一緒に現状を把握し、克服していくように二人三脚で頑張っていきましょう。
一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。