わが家の中学受験の経験をもとに、学校見学にいったときの印象や感想を何回かに分けて書かせていただいていますが、今回は、いわゆるMARCH系列といわれる中学校について書きたいと思います。
わが家では、息子の受験校は附属校を考えていたので、附属校の学校見学にはかなり足を運んだ方だと思います。同じ系列校でも雰囲気が全く異なったり、おとなしい学校かと思っていたら生徒さんがとても活発だったり、またはその反対だったり、想像通りの学校だったりなど、学校によって本当にいろんな違いがあるということは、実際に足を運んでみなければわからなかったことです。
今回は、最近共学化されたことによって人気急上昇中のMARCH系といわれる2つの学校、法政大学第二中学、中央大学附属横浜中学校について、実際に学校見学に行ったときの印象や感想を書いていきたいと思います。一口に附属校といってもいろいろな学校があることを知っていただき、そしてそれをどう感じるか一度は足を運んで実際に確かめたうえで志望校とするかどうか考えていただけることを願って書いていきます。
2016年に共学化、スポーツ設備が群を抜く法政大学第二中学
ごく最近まで男子校としてすでに有名な存在だった法政大学第二中学。わが家では、学校祭などの行事には事前に行くことはなかったのですが、各学校の願書を集めに行くときにに学校訪問をしました。また、私の知人がこの学校で先生をしていたというご縁もあり、学校訪問に行ったときに、学校の中を実際に案内してもらいました。
学校を訪問したときは、法政二中も、前回お伝えした青山学院と同様、校舎の老朽化が目についたのですが、現在では、2016年の共学化に伴って、校舎は全て新しいものになっています。なんといっても法政大学第二中学といえば、男子校時代からスポーツで有名な学校でしたから、共学化された今でも、法政大学の体育会の学生さんも利用するグラウンドがあったり、スポーツ関係の設備の立派さは、やはり首都圏の中学・高校の中でも群を抜いているのではないかと思います。
中学・高校生も、大学生と同じグラウンドで体育の授業を受けたり、部活もできるのですから、スポーツ好きにはとても贅沢な環境だと思います。高校は特にスポーツ強豪校として有名ですが、中学は勉強にもとても注力していて、体育会系の部活に入っても、部活は週5日まで、と決まっているようです。
また、内部進学率の高さも人気の高さと連動しているように思います。大学入試改革がもうすぐおこなわれるので、その内容がはっきりしない不安感もあってか、大学附属校が全体的に人気を集めているようですが、法政大学第二中学もそのような傾向のように感じました。それが良いか悪いかは別として、実際に、私の知人のお子さんには、高校では部活に集中しすぎて学業成績があまり芳しくなかったにもかかわらず、無事に法政大学に内部進学できたという話も聞きました。
共学化したばかりということもあってか、まだ女子の生徒さんの割合は高くはないようですが、むしろ「元男子校」に入学する気概のある女子は強い子が多いのか、ある在校生の方が、「いまうちの学校にいる女子は、学級委員長タイプが多い」と話していたのを聞きました。男子の生徒さんは、強豪といわれる部活もとても多いことから、スポーツ好きな活発なお子さんが多い印象をもちました。スポーツばかり、という印象を持つかもしれませんが、文化系も吹奏楽部や放送部などは、全国的に高い実績をあげているなど、活発に活動している部活もあり、文化系の生徒さんもイキイキしているように感じました。
「自由と進歩」を掲げている法政大学の教育理念のもと、同じ教育方針で中学・高校でも生徒を指導しているとのことでしたが、他の「自由」を掲げている学校と比べてみると、まだまだ保守的で少し厳しい雰囲気が強いように感じました。中学に入学したらのびのび学生生活をおくらせたい、と思っていらっしゃるご家庭ですと、もしかすると少しイメージしている附属校とカラーが違うかな?と思うかもしれません。
法政大学がスーパーグローバル創成支援校の認定をされて以来、法政系列の中学・高校も、留学制度がさらに充実し、グローバル教育に力を注ぐ方向で教育が行われているようです。その一方で、生徒と先生ののやりとりの中で感じたのですが、生徒に対する先生の注意の仕方などは、少し「昭和」を感じさせるような古き良き先生方も多いような気がしました。法政大学第二中学も、青山学院と同じように、中学はどちらかというと真面目に、高校に進学すると自由で賑やかに過ごしているような印象を受けました。
元女子高、センター北の中央大学附属横浜中学
中央大学附属横浜中学校も、中学校は2012年から共学化され、人気も偏差値もかなり上昇したことは皆さんご存知だと思います。法政大学第二中学とは異なり、もともと中央大学の系列ではない、横浜山手女子中学・高等学校が中央大学の系列となったという経緯があるため、附属である中央大学への内部進学率は、他の大学附属校に比べてあまり高くはありませんでしたが、わが家の息子の受験当時も、「今後は全員が内部進学できるように内部進学率を高めていく」という説明がありました。実際に、この1、2年だけでも、当初50%程度だった内部進学率が、70%程度まで引きあげられているようです。
この学校も、わが家では学校祭などの行事には行かなかったのですが、通っている知人の部活を見学させてもらうような形で、何度か週末に学校を見学しに行きました。中央大学附属横浜中学に最初行ったときは、駅を降りてから学校へ到着するまでの歩道や芝生がとてもきれいに整備されており、まるで海外に来たかのような印象を受けました。あの通学路だったら、晴れやかな気持ちで毎日通学できそうだな、という印象をうけました。
今後はもしかすると比率が逆転することもあるかもしれませんが、いまの時点では、もともと女子校だったということも影響しているためか、少し女子の生徒さんの比率が高くなっているため、他の大学附属校と比べると、学校の雰囲気も生徒さんの雰囲気も明るく華やいでいた印象でした。
実際に、わが家の息子の小学校の同級生の中にも何人か中央大学附属横浜中学へ進学した方がいらっしゃいましたが、男女問わず、いわゆる「大人受け」しそうな、「明るくていい子」タイプのお子さん、そのようなお子さんをお持ちのご家庭に好まれる学校なのかな、と感じました。
まとめ
わが家の息子の受験のときもそうだったのですが、法政大学第二中学・中央大学附属横浜中学は、併願される受験生がとても多い学校だと思います。同じMARCH系列の大学附属校ではありますが、教育方針の違いや、それぞれ元男子校・元女子校という違いもありますから、学校のカラーや雰囲気は結構違うものだな、と感じました。
いざ受験を検討されるという場合には、単にMARCH附属校だから同じようなものだろう、と先入観で決めるのではなく、実際に足を運んで学校の先生の話を聞いたり、生徒さんの様子を見るなどして、ご自身のお子さんに合う学校か、それともやはりカラーが違う学校か、よく見極めてあげた方がいいと思います。
また、親御さんの印象もとても大切ですが、お子さんの直感もなかなか侮れないものです。ぜひ、一度はご一緒に学校に実際に足を運んで、学校の中も見て、生徒さんの様子も見て、話も聞いてみて、附属の大学まで進学するわが子の姿が想像できるか、そこまで考えて志望校選びをしていただくと良いのではないでしょうか。
<画像出典>Wikipedia
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一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。