【中学受験】今だからできる!理科勉強法・克服法 物理編

理科の物理分野は得意ですか?中学受験の理科で、物理分野に苦手意識を持つ受験生はとても多いです。特に、女のお子さんにその特徴は顕著です。なぜ物理分野が苦手になってしまうのでしょうか。知識や実験、計算問題が出題されるため、知識だけでは問題に太刀打ちできず、そのうち学習そのものが嫌になって、弱点となってしまう受験生はとても多いです。

化学分野で代表的な単元としては力学、音、光、熱、電気などがありますが、いずれも知識をもとに実験問題に取り組み、計算問題を解くといったように1問正答するために何段階にもわたってやることが多いことが苦手意識の原因となっています。

理科については、単に覚えることが多い分野だという意識を持っている受験生や保護者の方は多いですが、物理に関してはそれは通用しません。覚えなければならない知識はもちろんありますが、単なる暗記でなく、条件を変えたらどうなるかということも含めて覚えなければなりません。また、実験問題の解法を知っていなければいけないという点では、非常に算数に共通しています。物理分野は理科の知識と算数の解法の考え方の両方が要求されるので、単なる暗記で何とかなるという考えは間違いだと思ってください。

物理分野は実験問題が多く出題されますが、何よりも原理原則の理解ができていないと問題を解くことはできません。力学ではてこや滑車、ばね、浮力などが出題されますが、力のかかり方によってどういう結果になるかどうかということまで理解できている受験生は正直言って少ないです。問題パターンごとに答えを覚えてやった気になっているということが非常に多いのです。それでは何の解決にもなりません。

知識や問題ごとの解法を単に暗記すれば何とかなるものではないので、総合問題を解くときに原理原則が身についておらず、どの問題にその原理原則が使えるのかがわからずに一からやり直すことになります。また、計算問題も、正しい原理原則の理解があるから解けるもので、問題ごとに丸覚えしても他の問題には使えません。特に算数が苦手な受験生の場合、問題に出てくる数字を勝手に組み合わせて答えを出そうとするケースも多いですが、それでは正解することはできません。

近年の中学入試の問題では、原理原則の知識の理解は、長い問題文や実験内容を把握するために絶対に必要なものです。原理原則をおろそかにして問題ばかり解いていても身につかないので、下手をすると大問1つ落としてしまうこともあります。

また、最近ではパターンにはまらないような、一見初めて見る実験についての出題が目立ちます。女子御三家の雙葉中学校では、一見見たことのない実験道具についての問題を出題することが良くありますが、よく見ると知っている道具と共通していることが多く、知っていることで十分解ける問題でした。このような出題も増えています。

物理分野では実験をもとにした融合問題が出題の中心です。基本として学んできた実験を少し目線を変えて一目では同じことを聞いていると分からないように出題することができます。聞き方を変えれば、原理原則を正確に理解しているか、それを応用できるか出題者が把握しやすいのが物理分野です。本来知っているはずの問題なのに見た目に惑わされて解けないことも多いです。模試なども入試の傾向を踏まえて出題しているので、解けない問題があると苦手意識に直結してしまいます。

物理分野の場合、原理原則の知識と出題方法は表裏一体の関係にあります。一見知らない実験でも、じつは基本的な原理原則の知識、しかも正確な知識が身についていることを見るために作問されています。そのことに気づかずに、問題のパターンを丸覚えしても点数には結び付きません。原理原則をおろそかにしていると実験の内容が理解できず、どの知識を使えば良いのかわからずに解けないのです。

物理分野は、5年生から6年生の前半に学習します。毎回新しいことを学習するため、次の回に進むと前の回の内容を忘れてしまい、原理原則が整理できずに定着しないことが多いのです。ですが、前回の内容が理解できていないと次回の内容も理解できません。また、授業では計算問題が中心なので、「計算だけできればいい」と錯覚してしまいますが、物理分野ではその考えは危険です。原理原則が理解できていないと計算問題は解けないからです。知識部分については一通り説明してあとは「自分で覚えて」で終わることも多いので、後回しになってしまい、気づいたときには理解しなければならない原理原則がたくさんあって混乱することになりかねません。

最近の入試で、物理分野では長いリード文の中で実験が行われ、さまざまな条件が付けくわえられながら進んでいく出題形式が多いです。長いリード文や実験内容を正確に読むためには、高度な読解力が必要です。物理分野の場合、問題文に書かれている情報が設問を解く上で使える条件なので、正確に問題文を読み、また実験の内容や条件を正しく読み解かなければなりません。そのため、高度な読解力が必要です。大切な条件を読み飛ばしてしまうと、芋づる式に不正解してしまいます。そして、物理分野では計算問題がほとんどを占めます。

物理の計算問題を解くためには、前提となる正確な原理原則の理解が何よりも大切です。知っている知識を総動員しなければ、何についての実験なのか、何が問われているのか、条件をプラスするとなぜそういう結果になるのか、そもそもどの原理原則を使わなければならないのかを理解できません。設問を解くために必要な情報の意味がわからないと、時間がかかり、途中で止まるので、問題を解く時間がなくなってしまいます。正確な原理原則の理解があればその点を克服できるので意識しましょう。

物理分野で必要な原理原則の知識は、実験に直結します。だからこそ、正確に整理して理解しておかなければなりません。原理原則については繰り返し確認しないと忘れてしまいます。ただやみくもに暗記しようとしても原理原則の理解にはつながりません。原理原則を理解しなければ、出題に対して使いこなせません。物理分野は、覚えさえすれば何とかなるという分野ではありません。原理原則を深く理解し、実際の設問でそれをいかに使いこなすか、ということ重要です。

今回は、受験生が苦手としがちな理科の物理分野について、勉強法と弱点の克服法についてご紹介します。難しい分野だと思って敬遠されがちですが、入試では頻出です。今のうちから弱点を克服していくことが重要なので、克服するために原理原則の理解から見直しましょう。

物理の原理原則はおろそかにされがち

物理分野は、力学、音、光、熱、電気などが代表的な単元です。物理は、小学校の実験でも理解できるところはありますが、力学の力そのものは目に見えません、音や光、熱、電気もそうです。だからこそ、原理原則や物理の減少を理解することが何よりも大切なのです。

理科は学習範囲が広い

物理に限らず、理科は学習範囲が広いです。物理はカリキュラムの最後に配置されているため、最近学習を進めている受験生が多いでしょうが、原理原則の理解が難しいうえ、十分な時間をとって学習することがなかなか難しい分野です。1回ごとの学習内容が違うので、前回勉強した内容と今回勉強する内容が異なり、前回の内容がわかっていることを前提として次の回に進みます。

また、塾では原理原則の確認を繰り返しやってくれません。カリキュラム上、同じ内容を何度も繰り返すことが難しいのです。夏期講習でもう一度やる機会がある、と思われるかもしれませんが、今年の夏期講習はコロナウィルスの影響もあり、どこまで網羅してもらえるか不明です。算数に多くの時間が割かれるでしょうから、理科については時間配分が少なくなるでしょう。また、計算問題を中心に扱うため何よりも重要な原理原則は自分で覚えておかなければなりません。

原理原則は理解しにくい

物理分野は理科の最後に学習します。また、力学、音、光、熱、電気などの単元がどんどん出てくるので、混乱してしまい、前に学習した内容を忘れていることが多いです。今の時期は、物理に加えて化学分野の学習もあるので、より混乱しやすいと言えます。中学受験の物理の内容は、大学受験で学習する内容を一見わかりやすく出題している状態と言えるでしょう。しかも計算問題では、中学受験の場合方程式が使えないので、解法の理解とある程度の問題パターンの暗記も必要です。

原理原則を忘れてしまうと覚え直すのに時間がかかります。計算問題を解こうとしても前提となる原理原則が理解できていなければまず解けません。どうしてもその週の範囲の学習で精いっぱいなので、重要な原理原則の知識の暗記までは手が付けられない可能性が高いです。

復習の機会はなかなかない

塾では、復習は自分で、と言われることが多いのではないでしょうか。ですが、どのように復習すればよいかがわからなければ進められないですよね。復習のために他の回の復習をするところまでは手が回らないと、その週の回の前提となっている以前学習した内容を理解できていないままになるので、当然次の回の問題も解けません。1週間の学習計画の中に弱点の復習を入れこんで実行するのは、小学生には非常に難しいです。学習量が多くなりすぎると理解しきれず、知識が穴だらけになってしまいかねません。

段階的に登校が始まっても登校時間が少ないこの時期に、できるだけ覚えたはずだけど忘れてしまっている原理原則の知識を再度学習しましょう。抜けてしまった物理の学習を進めておくことが必要です。すでにやったはずの単元を見直して原理原則を確認し、あいまいにしないことが重要です。あいまいなところはチェックして覚え直しましょう。原理原則をしっかり理解し直し、その知識を実際の問題で使いこなせるようにするには、今のうちにしっかり復習を始めることが大切です。

単体の知識は定着しにくい

理科の知識問題は丸覚えすればいい、と思ってませんか。今の時期、知識をまとめたテキスト、サピックスであればコアプラス、四谷大塚や早稲田アカデミーではサブノートや演習問題集などをお使いだと思います。塾からも、何ページから何ページまで復習、という形で宿題になっているかもしれません。

コアプラスも、四谷大塚の教材もコンパクトに受験に必要な知識をまとめたものです。知識だけを確認するならよくできたテキストです。ただし、こういったテキストには大きな落とし穴があります。知識を単元ごとに順に並べているので、問題部分がとても短いのです。答えは単体の知識であることがほとんどです。ですが、それではピンポイントの知識問題歯科対処できません。

最近の中学入試では、物理分野では、長いリード文を読み、条件を変えながら実験が行われ、結果を正確に読み取って設問に答えていくという出題が主流です。単純な知識問題が出題されることはまずありません。模試では最初に知識だけを瞬時に答える小問集合問題が出ることはありますが、物理ではあまりありませんし、配点の高い大問では、長いリード文と実験、結果の分析をする出題が多いです。

物理は条件を色々変えればさまざまな作問が可能です。中学校ごとに見た目から全く異なる問題が出題されます。知識の丸覚えだけでは実際の入試問題には歯が立ちません。重要なポイントは、設問の「聞き方」のバリエーションが多いということです。少し聞き方を変えられると答えられなくなる受験生は非常に多いです。いくらたくさん問題演習をしても、問題を見た段階で「これに関する問題」とわからないと、実際に問題を解き始めることすら難しいのが中学受験の物理です。

単なる知識の丸覚えは、結果的に正確な理解を妨げます。物理の場合、原理原則の知識はその特徴をつかみながら理解する必要があります。単体の知識をたくさん覚えようとしてもなかなか覚えられるものではありません。それだと実戦的な問題では点数が取れません。では、克服するためにはどうしたらいいのでしょうか。

原理原則と実験を意識して理解しよう

物理分野は、力学、音、光、熱、電気などの単元がありますが、原理原則、その理由付けとメカニズムについてもセットで覚えることが重要です。大切なのは「原理原則とメカニズム・理由付け」を意識することです。

知識どうしの意識のしかた

物理で主に出題されるのは、力学、音、光、熱、電気のメカニズムを問う問題や計算問題です。化学分野と共通するところもありますが、知識問題と計算問題との両方をバランス良く対策していかなければならない点が重要です。物理の原理原則は問題を解くために必須の知識です。

実験についての知識が重要なのも物理分野の特徴です。メカニズムやなぜそうなるのかという理由付けの理解も重要です。計算問題の場合、計算自体はそれほどたくさん式を立てる必要はありませんが、苦手とする受験生が非常に多いです。原理原則、理論、計算という段階を踏まえながら、一つひとつ確実に理解することが大切です。

混乱しないための学習法

理科の学習と他科目の学習との違いは、知識問題と計算問題との両方のバランスをとりながら対策する必要がある点です。特に物理では両方のバランスをしっかりとることが大事です。まずは、力のかかり方の法則や原則など、問題を解く上で必要となる基礎知識を定着させましょう。

物理の問題でも原理原則の知識と計算の両方の理解力が要求されます。物理は化学よりも知識のウエイトが少ない分、計算は複雑になっており、上位の学校では正答が算数並に複雑な数字になることも少なくありません。まずは算数と同じように正確で速い計算力を身につけることが大切です。算数の学習と異なってくるのは、化学と同じように理論の理解が必要となってくること、そして一番特徴的なのは、問題で提示される図や条件を把握して計算式を導き出さなければならないことが多い、ということです。

理論に関しては、物理の方が化学よりもパターンが少なく単純なことが多いですが、その理論を用いた計算の際に、比や相似といった、算数においても苦手とする受験生が多い分野を使います。この計算方法については、とにかく基礎的な問題を数多くこなしていき、どのパターンの問題の計算が一番苦手なのかを把握しましょう。

問題パターン自体はそこまで多くないので、例えば自分が苦手なのは浮力だな、と感じたら、浮力の基本問題をひたすら解く、といったように「ピンポイントの分野を徹底的に網羅していく」という学習も有効です。また、特にてこや滑車の問題においては、図をしっかりと観察する能力と、図から計算式を導き出す能力が求められます。理科の計算問題は算数以上にパターン化しており、種類がそこまで多いわけでもありません。この時期は、問題レベルを引き上げて演習するのではなく、自分の苦手な問題パターンを洗い出すことを目的とした、基礎的な問題演習を心掛けましょう。

ピンポイントで単体の知識を覚えているだけでは、増え続けていく知識を次々詰め込むことで終わってしまい、新しい知識を覚えたら前に覚えていた知識は忘れてしまって混乱し、正確な理解が遠のいてしまいます。整理せずに知識を詰め込もうとしても必要な時に使えるようになりません。物理分野は理解すべき原理原則が最も重要ですが計算問題も多く出題されるので、いつ、どの問題でその原理原則の知識が必要のか、ということまで整理して理解しておくことが重要です。正しい理解に基づいて計算問題に取り組まないと結果的に問題を解くことはできません。「原理原則とメカニズム・理由付け」をセットにして、理解を深めながら覚えていきましょう。

融合問題では頭の切り替えが大切

最近の入試問題では長いリード文があり、その中で実験が行われており、条件がどんどん変わるのでそれを整理し、考察していくという問題が物理分野の主流です。実験に対して、さまざまな角度から原理原則の理解が問われます。

たとえば、力学の問題は入試で頻出ですが、長い説明文の中に実験が入っており、条件が付けくわえられながら何種類か実験を行い、結果を検討させる、という問題が多いです。設問では、リード文を正確に読めているか、実験の内容や条件をしっかり把握できているかを多面的に聞かれます。知らない道具が出てきてそれを使った実験問題も出題されます。

知らない道具であっても、力学の原理原則を理解していれば、条件を冷静に分析して、初めて見たパターンの問題であっても基本パターンに引き寄せて考えることができます。自分の知識に引き寄せて考えることができれば、物理の計算問題もそれほど大敵ではありません。

また、理科は、1つの大問あたりの設問の数が多いです。ただし、1対1対応の知識を聞くためではなく、1つの原理原則から次の実験、さらに応用的な実験に発展させていくのについてこられるかを見るのが目的です。設問一つひとつで問われる内容が一見関係ないように見えることもあります。得点するためには、問題文や実験の内容。条件を問題を解く際に応用できる力が必要です。設問を読み進みながら1問ずつ頭を切り替えていく力がポイントなのです。

また、物理では、前の設問の答えが次の設問の前提になっていることが非常に多いです。前の設問に正解していれば次の問題もそれを利用して正解することができますが、ひとつ間違えてしまうとその後の問題を芋づる式に不正解になってしまいます。だからこそ、1問ごとに正確に答えていくことが大事です。設問ごとに頭を切り替えつつ、前の問題を忘れずに次の設問に答えていくことを最後の問題を解ききるまで継続しなければなりません。

物理分野の計算は難しいから知識で稼ごうと1問1答の問題集をつぶすだけでは、総合問題に対応できません。物理分野は知識問題だけで点数が取れるほど甘くありません。また、物理の実験問題は出題しない学校がないほど頻出です。計算問題は必要以上に難しく考える必要はありません。このような問題に対応するには、物理分野を単なる暗記と考えるのではなく、前提となる原理原則を理解し、知識と知識のつながりを考えながら、設問ごとに頭を切り替えつつ前の問題の解法も頭に置いておき、次の問題に進むことが大切です。また、初見の問題であっても自分の持っている知識に引き寄せることや、ほかの分野や教科の知識も必要に応じて思い出して使いこなすことが求められます。物理分野では原理原則の理解、知識どうしのつながり、原理原則とメカニズム・理由付けの組み合わせがとても大切です。

学校の教科書や理科の実験を大切に

物理分野の学習では、学校の理科の教科書と理科実験がとても大切です。実験問題が多く出題される物理分野だからこそ、実験を実際に自分の手でやってみることが大切です。学校の実験ではひとつの条件の下で行う実験でも、「もしこういう条件が加わったらどうなるだろう」という想像力を常に持ちながら実験結果をまとめておくことも有効です。

また、理科の場合、学校の教科書がとても役に立ちます。教科書には実験に関する表やグラフはもちろん、カラー写真を用いた実験に関する資料も充実しており、視覚的にも理解を進められるように作られています。文字だけの学習ではイメージできない部分を、表やカラー写真を交えてわかりやすく説明してくれるのが教科書です。受験勉強にも活用したいところです。

物理分野の場合、仮定に基づく実験内容を出題し、どうなるかを考えさせる問題が多く出題されます。見たことがない問題であっても、実は少し視点を変えているだけで、問われていることは原理原則に基づくものです。また、メカニズムや理由付けです。そういった問題に必要な原理原則は教科書を普段からチェックしたり、学校の理科実験の際に結果をまとめておけばどこが共通し、どこが違うのか理解できます。単なる問題のパターンとして知っている、知らない、という基準だけで考えてしまう受験生が多いので、それが実験問題の正答率が低い原因と言えるでしょう。

仮定の実験問題では、仮定の条件に基づいて計算させる問題も出題されます。最近の中学入試では、力学の計算問題なら、力の向きはどうか、つり合いはどうか、といったメカニズムや理由付けも含めて理解しましょう。それができてはじめてその単元を克服できた、と言えるのです。「原理原則とメカニズム・理由付け」をセットで理解しやすくするために理科の教科書や理科実験はとても使えます。

物理の復習をする機会がないと思うかもしれませんが、今のうちから、弱点となっている部分の教科書を見直し、図表や実験についてもう一度確認しましょう。基本的な内容をしっかり理解し直すのです。教科書に書かれていることは、必要な最低限の知識です。それがわかっていなければ、入試問題が解けないだけでなく、中学校に入ってから理科実験やレポート提出についていけません。たとえば、慶應普通部や中東部、SFCといった慶應系の中学校では、毎週のように理科のレポート作成が出され、成績にも大きく影響します

中学入試のベースは、小学校の教科書や理科実験の内容をきちんと理解しているかどうかです。教科書に載っている図表を参照せず、理科実験をおろそかにして、塾のテキストの文字ばかり読んでも原理原則の理解はできません。教科書は、中学受験の基礎中の基礎が詰まっている最高の参考書ともいえる存在です。物理分野の学習をするときにはぜひ常に参照してください。教科書で該当するところを見直しながら原理原則を理解することを習慣づけましょう。

苦手単元や弱点克服は今のうちに

理科の物理分野は、毎回のカリキュラムをこなすのに精一杯になってしまい、なかなか弱点補強まで手が回らないこともあるでしょう。物理分野全体はぼんやりわかっているような気になっているだけでは、いざ問題を解こうとしても知識に穴があるために解けません。どんな受験生でも必ず弱点はありますが、それを放置せずに克服するための方法を実践することが大切です。

今だからこそ立ち止まって弱点分野の克服を

苦手な単元や弱点となっている部分について、理解、定着するのは決して簡単ではありません。毎週新しい知識が増えて消化不良になりがちです。夏期講習の時期になってから総復習という計画だとなかなか時間が取れずに結局手が回りません。だからこそ今のうちに一度立ち止まって、弱点がどこなのかピックアップしましょう。弱点を発見することが克服への第一歩です。自分がどこがわかっていないのか、どのような形式の問題が苦手なのか、同じような問題で間違えを繰り返していないか、といったことが把握できるので、対策が立てられます。

塾の夏期講習の「総復習」は、ひたすら問題演習です。これまでの知識をもう一度解説してくれるわけではありません。講習中に扱う問題に出てきた知識の解説はあるでしょうが、知っていることが前提なので、確認せずに次に行ってしまいます。自分としては弱点の克服をしたいのに、扱う単元が必ずしも自分の弱点だとは限りません。やはり、弱点は自分で克服していかなければならないのです。だからこそ、少なくとも夏期講習までの間に自分の弱点をピックアップし、潰すべきところを準備することが必要です。自分の弱点を理解せずにただ夏期講習を受けても、問題を解いたわりに定着しないことになり、講習の効果を最大限に得られないでしょう。

毎週新しいことを勉強するので復習の余裕がない、と言う方も多いかもしれませんが、後回しにするほど傷口が広がります。今の時期に、これまで学習した内容を見直し、自分の弱点をきちんとピックアップして、克服する準備まではしておきましょう。

弱点ノートを作っておく

今まで間違えた問題は、いわば入試本番までに克服していくべき課題です。その課題は、受験生によって違います。成績が上がらないとお悩みの場合、克服すべき課題が何なのかわかっていない可能性があります。ですから、今のうちに物理分野の原理原則の知識を体系的に整理して、正確に理解することが大切なのです。必要なときに必要な知識を頭の中から出せるようにするためにも必要なことです。

そこで、ぜひ物理の弱点ノートを作ることをオススメします。理解できていない原理原則や、頻出の実験問題で間違えやすい単元、どのような設問でつまずいたのか、その原因は、ということを把握するために、不正解になった問題をピックアップして弱点ノートにします。そうすると、物理分野のどの単元、どの知識、どのような実験が自分の弱点なのかが一目でわかる、弱点を集めた自分だけの問題集ができます。弱点を集めたノートを繰り返し見直し、解き直していくと、前に間違えた問題を次には間違えなくなり、だんだん正答率が上がっていきます。

ノートの作り方についてご紹介しましょう。間違えた問題をコピーやプリントアウトして、ノートの見開きの左側のページに貼りましょう。ノートの右側をどう使うかが弱点ノートを使うキモです。弱点ノートを作ったら、間違えた問題をもう一度ノートの右側を使って解きましょう。正解して、さらにメカニズムや理由付けも説明できるようなら問題ありません。もしもう一度間違えたら、なぜ間違えたのか、原因をしっかり自分で考えてみましょう。物理分野の知識を正確に理解するために必要なのは「原理原則とメカニズム・理由付け」の関係です。「なぜそういう現象が起こるのか」というメカニズムや理由付けをしっかり理解することを繰り返しましょう。そうすると、他の単元にも応用がききます。この繰り返しこそが、弱点克服法と言えるのです。

自分が間違えた問題を集めたノートなので、もう一度解いてすぐに正解する、メカニズムや理由付けまで理解できる、ということはそう多くないでしょう。もう一度間違えたなら、できるまで繰り返しましょう。繰り返すことこそ弱点の克服になるからです。ただし、間違えたらまた解けばいいや、という甘い考えで取り組まないでください。大切なのは、弱点をピックアップし、それをひとつずつ克服していくことです。再度間違えたら、間違えた原因を自分なりによく考えて、簡単にポイントをノートの右側にまとめておきましょう。自分の手を動かして間違えたところをコンパクトにまとめることにより、「原理原則とメカニズム・理由付け」、つまり物理分野で必要な知識と知識のつながりを理解する姿勢ができます。

弱点ノートは、自分だけの問題集にもなります。また、原理原則、メカニズムや理由付けを自分でまとめるので、自分だけの参考書になります。弱点をチェックし、克服するために使うので、きれいに時間をかけて作りこみすぎる必要はありません。今後の模試の際に、弱点ノートを一巡すれば弱点補強ができるようにすると良いでしょう。それが対策になり、同じ問題で何度も間違えることを防ぐこともできます。コンパクトに弱点をまとめているので、短期間に何度も物理分野全体を回すことができます。何度も繰り返すことが結局は短時間で物理分野を克服することにつながります。

弱点ノートを作る際は、ぜひ保護者の方が、最初に問題をコピーやプリントアウトしてノートの左側に貼るところまでやってあげてください。保護者の方にとってもお子さんがどこでつまずいているのか、克服すべき弱点はどこなのか、ということを把握できるメリットがあります。

いますべてできなくても大丈夫!

入試まではまだ時間があります。段階に応じた学習をすることが何よりも大事なので、焦って応用問題ばかり解くよりも、基礎的な原理原則を大切にしましょう。今、すべて仕上がっている必要はありません。やるべきことをしっかり克服することが大切です。計算問題や記述問題を気にする方は多いですが、実は解答方式が違うだけで、使う原理原則は同じです。必要なのは持っている知識を使いこなすことができるかどうかです。実験の内容や条件を自分で整理し、計算や文章をまとめるのが物理の計算問題や記述問題です。大切なのは、出題者の意図を読み取ることです。難しい計算や記述まで求められているわけではないので、今はまず原理原則の正確な理解に努めましょう。

第一段階として、受験生なら誰もが正解してくる基本的な知識を聞く問題をしっかり理解しましょう。これを後回しにすると大きな差が付いてしまいます。あいまいなままになっている知識をひとつずつ潰していくことが最優先課題です。

受験生は、苦手なところを放置しがちです。苦手なところは放置するほどさらに苦手意識が強くなり、敬遠してしまいます。どこが弱点だったのかすら忘れてしまうこともあります。だからこそ、早めに対策することが必要です。特に、物理分野の原理原則の知識は直前期に詰め込んで何とかなるほど簡単ではありません。直前期は時間がなく、問題演習をするほど混乱して理解できない、もし覚えられてもどういう場面で使えばいいかわからない、という悪循環に陥ってしまいます。

今まで学習してきた内容については今の時期にもう一度見直して理解しましょう。弱点ノートや教科書などを使ってこまめに復習することがオススメです。物理分野は教科書や理科実験が大切なので、その内容もぜひ活用してください

応用的な問題は、今後取り組む機会がたくさんあります。今やるべきことは、基礎的な原理原則をしっかり理解し、知識を整理して定着させることです。定着ができれば、知識を使いこなすことができ、その結果解ける問題も増えていきます。

まとめ

今、受験生にとって重要なのは、「自分のための勉強」をすることです。弱点は、一人ひとり異なります。人と成績を比べるのではなく、自分の弱点をしっかり把握し、克服してはじめて成績は伸びていくことを意識して学習していきましょう。

塾の集団授業では、自分に合わせた授業はしてくれません。特に理科については問題演習中心で、単元ごとの新しい知識を詰め込むばかりです。授業中に扱えなかった問題は宿題として出され、結局受験生が自分で克服しなければならないのです。だからこそ、自分でいかに復習をするか、正確な理解と定着が周囲と差をつけるポイントになることを忘れてはいけません。

これまで学習したことを定着させ、忘れないように繰り返すことは今のうちしかできません。問題演習をしなきゃ、と焦るかもしれませんが、正確な理解と定着がないと問題をたくさん解いても、時間ばかりかかって不正解になるでしょう。理科の物理分野は計算問題も多く出題されます。だからこそ正確な原理原則の理解がなくては問題は解けません。原点に戻り、やるべきことを目に見える化してつぶしていきましょう。

今は弱点部分の基礎に戻り、現状をしっかり把握して「自分のための学習」をしましょう。物理分野の場合、学校の教科書や理科実験、レポートなどを活用するのもオススメです。目と手をしっかり使って学習することが理解を深めるポイントです。自分のための学習ができてこそ、今後の問題演習がスムーズに進みます。弱点をひとつ克服できれば、それだけ自信がつきます。受験へのモチベーションはとても大切です。モチベーションを上げ、成績を上げていくためにも、今は自分のための学習を意識し、弱点克服をしていきましょう。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。