「今回の模試もケアレスミスが多くてたくさん失点してしまった・・・」このように感じている受験生の方や保護者の皆さんも多いのではないでしょうか。問題を解く際にはケアレスミスはつきものと言っても過言ではありません。では、ケアレスミスというものはなぜ起こってしまうのでしょうか。
ケアレスミスは、一言でいうと「注意不足から発生するミス」のことです。算数では計算ミスなどが良く挙げられますが、国語では字の書き間違い、設問の読み間違い、思い込み、といったものがあります。
受験生も人間なので、まったくケアレスミスなく、常に完璧、ということはまずありません。模試の現場でも知らず知らずのうちにケアレスミスをしてしまい、結果が返ってくると自分の手ごたえとは違う点数の低さにビックリするということも少なくないでしょう。
中学入試の合格最低点は毎年変わりますが、学校によってだいたい何割得点すれば良いかということは予測できます。ですから、合格点に対して余裕をもって得点できるように心がけて準備することが重要です。しかし、ケアレスミスをが減らないままでは、「問題が解けた」と思っても解けておらず失点するということは十分あり得ます。そこで、ケアレスミスを少しでも減らせるように意識しながら毎日の学習に取り組んでいくことが非常に大切です。
ケアレスミスを単なるミスだと片づけるのではなく、良く検証するなど向き合い方を変えていけば、失点しなくて済んだ問題も拾えるようになってきます。もし苦手科目だったとしても、書き間違いや読み間違いといった、やってはいけない大前提のミスは防がなければなりません。これも、ケアレスミスに対する意識を変えるだけで十分防げるようになります。
今回は、国語でケアレスミスが発生しやすいパターンをご紹介し、ミスを防いで点数を伸ばしていくための克服法について解説していきます。これまで国語でケアレスミスということを考えてこなかったという方も、ぜひ意識をして学習に向かうようにしてくださいね。
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ケアレスミスは問題を解く手順のクセから出ることがある
皆さんは、国語の問題を解くにあたって、どのような手順を踏んでいますか?国語の場合、文章読解問題では、まず問題文を読み進んだあと、設問を読んで順に解答していことがほとんどですよね。このような文章題の場合、問題文を読み違えたり読み方が甘かったためにミスした、という経験は受験生の方なら皆さんにあることです。
たとえば、設問には「正しくないものを選びなさい」と書いてあるのに、逆に正しい選択肢を選んでしまうということは多いのではないでしょうか。それは、設問を良く読まないことによるミスなので、本来であればケアレスミスというよりは根本的なミスと言えるかもしれません。ただし、解く問題数が多いので、ここではケアレスミスとして扱います。
その他にも、漢字で書きなさい、と指示されているのにひらがなで答えたりといったケアレスミスも多いです。非常に単純なミスであり、ケアレスミスの最たるものなのですが、よく起こるミスと言えるでしょう。こういった読み間違いによるミスは、設問の文を注意深く読む、という段階を踏むだけで克服できます。非常にもったいないミスなので、設問の文の冒頭部分だけを読んで飛びつくのではなく、必ず最後まで読んで、聞かれていることは何なのか意識するクセを付けるようにしましょう。
国語で起こりやすいケアレスミスの例
選択肢問題におけるケアレスミス
国語の場合、選択肢問題を解く機会は非常に多いですよね。特に多いのは、「正しくない選択肢」を選ぶように設問で指示されているのに、正しい選択肢を選ぶ、というミスが一番起こりやすいです。それは、選択肢を最後まで注意深く読んでいないことによっておこるミスです。設問の中には解答のヒントが隠されているのですが、それを意識せずにただざっと読んで思い込んだまま文章の中に答えを探しに行ったとしても得点することはできません。
また、最近の設問は長い傾向にあります。設問だけで100文字以上ということも少なくありません。また、選択肢も長いので、問題1問とくのにかなりの文章量を読むことになります。そうすると、一瞬気を抜いただけであっという間に間違えてしまうということが起こるのです。
他の教科における選択肢問題は、基本的に知識問題であることが多いので、設問と選択肢にもし矛盾があった場合、明らかにおかしい、と比較的気づきやすいです。しかし、国語の場合は、選択肢は必ずしも問題文中の言葉を丸写ししたものとは限りません。選択肢問題では、選択肢の十分な吟味をしなければ正解できないようにできています。だからこそ、設問と選択肢の読み間違いは命取りになるのです。
このようなミスを防ぐためには、やはり問題の文章をしっかりと読み込み、解答のヒントになる部分に自分なりのしるしをつけたり、重要だと思われる文に線を引くなどしておくことがとても重要です。これまでもしかするとザっと問題の文章を読んで、設問を解くたびに毎回文章を読み直している、という経験をお持ちの受験生の方は、文章の読み方という点の意識を変える必要があるでしょう。
また、書き抜き問題などでは誤字脱字もケアレスミスのひとつとして非常に大きいウエイトを占めます。一文字間違えただけで0点になってしまうので、自分が書いたものが一字一句間違えていないかどうか見直すことも必要です。このひと手間をかけるだけでミスを防ぎ、得点を重ねることができるのでぜひ意識しましょう。
漢字の書き間違い
また、国語特有のケアレスミスとしては、漢字の誤字や脱字が挙げられます。漢字の誤字に関しては、日頃から漢字演習をおろそかにせず、形の細かい部分までしっかりと覚える対策が必要です。自己採点ではついつい甘くなってしまい、見逃してしまいがちですが、入試本番では細かい誤字も厳しくチェックされます。棒一本、点があるかどうか、といったところでいい加減な覚え方をしていると、その一文字が命取りになります。
普段から漢字の練習は怠らないようにしておきましょう。模試では必ず10問程度の漢字の書き取り問題が出題されることが多いですが、それはいわばごほうび問題です。正確に覚えていさえすれば出来る問題です。逆に言うと、正確に覚えていなければ絶対に正解することはありません。〇か×か、そのどちらかしかないので、普段から意識しておくことが必要です。早めに克服しておきましょう。実際の中学入試でも、記述問題中心の学校であっても、漢字の書き取りが出題され、10点以上の配点がされていることがあります。ぜひ注意深く学習を進めましょう。
脱字に関しては見直しあるのみです。記述問題ならば、書き終えたあとに言葉の使い方に違和感がないかどうかを軽く見直し、書き抜き問題ならば、問題文中の抜き出した箇所をもう一度確認して、一字一句間違っていないかを必ずチェックしましょう。どちらもそれほど時間を摂るわけではありません。だからこそ、その見直しのひと手間が得点を分けます。入試はそれこそ1点が合否を分けますので、「これくらい大したミスではない」と思うことなく、きちんと集中して見直しをするようにクセを付けておきましょう。
ケアレスミスをしないためには見直しを普段から徹底することが重要
ケアレスミスを克服するために何よりも必要な基本的対策は、やはり何といっても「見直しの重要性を意識すること」です。試験中に時間管理をして、最後まで一気に解ききることができる受験生の方であれば、いったん最後まで解き切ってから最初に戻って一つずつ見直していくというやり方もできるでしょう。しかし、そういった受験生の方は一握りです。たいていの場合、最後まで解ききることが出来ずにタイムアップ、ということも少なくありません。
最後まで一気通貫に問題を解くことができない、という場合は、1問解いたらこまめに見直しをしていく、ということを習慣化することが大切です、国語なら、設問には様々な種類があるので、いくつかまとめて見直しを使用としても、文章中で確認しなければいけない場所が異なるな度してやりにくいです。ですから、1問選択肢問題を解いたらその吟味の仕方で合っていたか、設問は「正しい」ものを選ぶのか「正しくない」ものを選ぶのか、微妙な選択肢があった場合は本当に文中に書いていないか、ということをさっと見直すのです。
自分なりに効率的な見直しのしかたを持っておくことによって、模試でも緊張しすぎずに着実に問題を解いていくことができますし、実際の入試の場面でもそのやり方がルーティーンとなって身に沁みついていれば落ち着いて問題に対峙することができます。
ただし、見直しは非常に重要ですが、無駄に時間をかけてもしかたありません。設問を正確に読み取れているか、選ぶべきものを選べているか、正しい字を書けているか、脱字はないか、といったことをさっと確認するので十分です。そのためには、設問を解くときに細心の注意を払っておくことが大前提です。それを忘れないようにしたうえで、さっと見直して得点を確かなものにしていきましょう。
ケアレスミスと時間制限は相関関係にあることを意識しよう
受験生の方は、模試などで1問解くごとに「時間がない!」と焦ってしまうことが多いのではないでしょうか。もちろん、1問1問焦らずに落ち着いて解くことができればそれに越したことはありません。でも、それは時間制限がない場合に限られますよね。時間制限がある中で、たくさんの問題を解いていくためには、集中力が必要です。また、自分ができる最大限の力を発揮することが求められますが、それをあまりに意識しすぎると、焦りに繋がってしまいます。
「1問でも多く解かなきゃ」「これ間違えたらどうしよう」などと、受験生は問題を解く際にいろいろな考えが頭に渦巻いています。そんな中で冷静に問題を解き進めるのは小学生である受験生にとってはなかなか難しいことです。焦りがどうしても生じてしまうのなら、それを逆手にとって、焦りを少しでも軽くするようにしようと考えることが大切です。それは、普段の家庭学習で克服できます。普段の学習から、時間をある程度意識しながら問題を解いていくことによって経験値を積むことができ、ケアレスミスに対する意識の仕方も変わっていきます。
特に不得意な形式の問題であれば意識しながら問題を解くかあるいは白紙で放棄するか、のどちらかですが、それ以外の解くべき問題についても、「なんとなく」解いてしまっていないでしょうか。たとえ得意なたいぷの文章が出題されていても、設問でひとひねりされてしまうと、スムーズには解けなくなってしまうことは少なくありません。大切なのは、普段の学習で問題を解く際の手順や注意点を繰り返して体で覚え込むことです。いくら頭の中で手順を反芻していても、それが実際に問題を解くときに使いこなせなければ意味はありません。だからこそ、手を動かして時間内に問題を解く意識を普段の学習から行うことが大切なのです。
ケアレスミスは、時間制限を意識しすぎると頻発してしまいます。そうであれば、普段の学習から時間管理の意識をもって問題を解くことを習慣化することが必要です。国語の場合、設問の分量も多いので、1分程度考えてどこに解答があるか予測が立たない、という場合はいったん飛ばして次の問題を解く、ということを意識してみると良いでしょう。
国語の場合、空欄があるのは気持ち悪いという受験生の方は非常に多いです。確かに飛ばして次の問題に行くと、途中でつまずいてしまうのでは、と怖くなるかもしれませんが、1つの設問にあまり時間をとられ過ぎると、他の問題に手が回らなくなります。その中には、確実に解けたであろう問題もあるはずです。1問に時間を摂りすぎると焦ってしまい、結果として設問をよく読まずミスをしてしまうというのではあまりにももったいないです。どうしても解答のイメージがわかないということは、その種類の設問に対する能力がまだ素なっておらず、知識や手順を使いこなせるレベルにまでなっていないということです。それに時間をかけすぎるのは試験を受けるという意味においては良いとは言えません。時間制限とケアレスミスには相関関係があるということを意識しながら、1つ1つミスのないように問題を解くことを習慣化するようにしましょう。
もしできなかった問題があったならば、ピックアップしておいて後からもう一度文章を読み、再度チャレンジしておきましょう。そうすると、自分がどのようなタイプの問題に弱いのかを把握できるので、苦手分野や苦手な問題形式を把握できます。日頃から時間制限を意識した学習をすることと、弱点克服を両立していきましょう。
まとめ
国語のケアレスミスというと、漢字の書き間違いくらいしか思い浮かばない、という方も多いかもしれません。国語のミスは、文章読解問題全体を左右するほど大きなものです。ですから、すべてをケアレスミスということはできません。しかし、設問の読み間違いや焦りによる選択肢問題の間違いなどは、克服できるミスです。
国語は読む文章量が非常に多い教科です。時間制限いっぱいかかってしまうことが多い教科でもあります。ですが、一つひとつの問題を、時間も意識しながらていねいに解いていくことで克服は可能です。ケアレスミスと時間制限は両輪にあることを意識して、ていねいに問題を解いていくことを意識して学習を進めていきましょう。ケアレスミスを防ぐことができるようになりますよ。
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一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。