日本は海に囲まれた島国であり、水産資源が豊富です。今回は日本の漁業の種類、特色と主な漁港について説明してきたいと思います。
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日本の漁業について
上の図は日本の漁業の推移を表したものです。日本の漁業は、第2次世界大戦後、沿岸から遠洋へと漁場を拡大することで発展しました。
しかし、昭和50年代に、沿岸から200海里(約370km)の水域で外国船は勝手に入って漁をしてはいけないルールが適用されました。結果、遠洋漁業が難しくなり生産量が減りました。
代わりに沿岸漁業の割合が増えましたが平成に入りどの漁業の生産量も下降傾向にあります。
それではぞれぞれの漁業の種類について説明していきます。
- 遠洋漁業…大西洋や太平洋、インド洋など、世界の海が舞台の漁業。大型船で遠く離れた漁場まで行き、長い日数をかけて行われる。代表的なのは、まき網漁業、マグロのはえ縄漁業やカツオの一本釣漁業です。
- 沖合漁業…40kmくらいの沖(2~3日で帰れる範囲)で行う漁。20~150トンほどの動力漁船を使い、まき網漁法で、イワシ、サンマ、サバ、アジ、底びき網漁法でエビ、タコ、ズワイガニなどを獲ります。
- 沿岸漁業…小型船で海岸から近い、日帰りで行ける場所で行う漁。
- 海面養殖業…沿岸で海水を使って魚、貝、海藻などの養殖業のことをさします。
- 内水面漁業、養殖業…湖沼、河川、池など、いわゆる内水面で行われる漁。養殖業は網やイケスの中で魚や貝を育てて、出荷する漁業をさします。また、卵からかえして稚魚を育て、海などに放流し、成長してからとる漁業を栽培漁業と言います。
漁法
イラストは全て農林水産省ホームページから。
- 一本釣り
網を使わないため、魚を傷つけませんが、一度にとれる量は少なく、主にかつおやマグロなどに行われる漁法です。
- さし網
魚の通り道に帯状の網をしかけ、魚を絡めてとります。網に魚が刺さったような形になることから、さし網と呼ばれています。
- 定置網
海中の一定の場所に設置し、魚群を誘導、捕獲する漁。魚道を遮断するために陸岸近くから沖へ向かう垣網と誘導されてきた魚群を落とし入れる身網からなります。
- はえなわ
日本で開発された漁法で、1本の幹となる縄に枝縄を一定間隔で垂らした網を使う漁。長さは数百キロメートルに及ぶことも。
- 底引き網
底引網を使って海底付近に生息するエビやカニ、貝類、ヒラメ、かれいなどをまとめてとる漁法。
- 巻き網
魚群を急速に包み込んで捕獲する漁。夜間、光にさんまが集まる習性を利用してイワシ・アジ・サバなどをまとめてとります。
主な漁場
(気象庁)
寒流である親潮と暖流である黒潮がぶつかりあう場所を潮目と言い、潮目ではたくさんの魚が集まり、良い漁場になっています。日本の主な漁業について説明する前に漁港水揚量をみていきましょう。下のグラフは2019年の水揚漁です。
(みなと新聞)
2019年の全国主要港の水揚量一位は、千葉県・銚子港で、28万366トンでした。銚子港は9年連続一位を成し遂げています。水揚漁2位は、静岡県・焼津港ですが、金額では焼津港が一位になっています。では次に日本の有名な漁業についてみていきましょう。
(1)北海道 釧路港
(釧路港)
明治時代の末期から始まった釧路港は、昭和40年頃になって、ロシア(当時はソ連)やアラスカの近くまで行って魚をとる北洋漁業が盛んになりました。昭和44年から52年まで9年間続けて水揚げ量日本一を誇った釧路港。
しかし、昭和52年に「自分の国の沿岸から200カイリ(約370km)までの海では、外国の漁船は勝手に魚をとってはいけない」というルールが設けられてからは遠くの北洋で漁をすることができなくなりました。
代わって近海でイワシがとれるようになりましたが、そのイワシも年々減少し、水揚量も減少し、現在では水揚量一位ではなくなりました。イワシの他、サンマ・スケトウダラの収穫が多いです。
(2)青森県 八戸港
(八戸港興峡会)
八戸港は江戸時代から「鮫浦みなと」として栄えていた八戸港。主な魚種はイカ・サバ・イワシで、イカは、近海・日本海のスルメイカ、北太平洋のアカイカなどが水揚げされ、イカの水揚げ日本一を誇っています。イカ漁は日没後に行われ、魚灯のもとで行われます。上記の写真は夜間の八戸港です。
(3)宮城県 石巻港
(石巻魚市場)
リアス式海岸が広がる石巻港では、山地が海の間近まで迫るため、森のミネラルをたっぷり含んだ山水が絶えず海へ流れ込み、世界有数の植物プランクトンの発生地となります。石巻ではカキの養殖が盛んであり、全国1、2の出荷量を誇ります。
(4)宮城県 気仙沼港
気仙沼には世界三大漁場の一つである三陸沖があります。三陸沖は寒流である親潮(千島海流)と暖流である黒潮(日本海流)がぶつかり多くの魚が集まってきます。沖合漁業のみならず、遠洋漁船の母港にもなっており、カツオ・サンマ・メカジキ・サメなどが水揚されます。カキ・ワカメ・コンブ・ホタテなどの養殖漁業や定置網漁業も行われています。
(5)静岡県 焼津港
(焼津市)
焼津漁港には焼津港、小川港があり、焼津港では遠洋漁業の基点となり、カツオ・マグロ・カジキが多く水揚されます。小川港では沿岸・沖合漁業が中心となり、サバ・イワシ・アジなどがとれます。
知識の確認
最後に簡単な問題を出したいと思います。ぜひ知識の確認に役立ててみてください。
【問題】
・問1:40kmほどの沖で行う漁業を何というか
・問2:日帰りで行ける場所で行う漁業を何というか
・問3:次の文章の空欄を埋めよ
寒流である(1)と暖流である(2)がぶつかり合う境目を(3)という
【模範解答】
・問1:沖合漁業
・問2:沿岸漁業
・問3:(1)親潮、(2)黒潮、(3)潮目
まとめ……の前に
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まとめ
漁港の名前 |
とれるもの |
北海道 釧路港 |
イワシ、サンマ、スケトウダラ |
青森県 八戸港 |
イカ、サバ、イワシ |
宮城県 石巻港 |
カキ |
宮城県 気仙沼港 |
カツオ、サンマ、メカジキ、サメ、カキ、ワカメ、コンブ、ホタテ |
静岡県 焼津港 |
カツオ、マグロ、カジキ、サバ、イワシ、アジ |