大気 中の空気の組成 ~空気に含まれている物質の割合やそれぞれの性質について学習しよう~

 気体の物質についての問題として, 大気 中の気体の組成という観点から出題されることがあります。呼吸に大きく関係する酸素や二酸化炭素はよく扱われますが,その他の物質がおろそかになりがちです。

空気にはどんな物質が多く含まれているのか,それぞれの性質はどんなものなのか,そして空気中の気体の濃度を測定する方法について学習していきましょう。

大気 のイラスト

大気 の組成

 地球の表面に存在し,普段私たちの周りを取り巻く「空気」ですが,もちろん「空気」と呼ばれる物質があるわけではありません。「空気」はいくつかの気体の物質が混ざってできているものです。

それでは空気の中にはどのような物質が,どのくらいの割合で含まれているのでしょうか。想像してみてください。

私たちは普段呼吸をしていることから,「酸素」と「二酸化炭素」が含まれていることは想像できるのではないでしょうか。

それでは酸素と二酸化炭素は空気全体の何%でしょうか。他にはどのような物質が含まれているでしょうか。この下へ行く前に一回自分で想像してみてください。

 

それでは実際に空気に含まれる物質とその割合を見てみましょう。

※乾燥した空気の場合(水蒸気を除いている場合)の空気の組成を表しており,実際には水蒸気も含まれています。

空気中の割合が多い順に次のような気体物質が含まれています。

  • 窒素:78%
  • 酸素:21%
  • アルゴン:0.93%
  • 二酸化炭素:0.038%
  • その他

勘違いが起こりやすい点を中心にその特徴を見ていきましょう。

 まず空気中で1番多い気体は,酸素や二酸化炭素ではなく「窒素」です。

窒素は他の物質と反応しにくく,呼吸にも主にかかわっているわけでもないので影の薄い物質ですが,空気中で78%というかなりの割合を占めている物質です。しっかり押さえておきましょう。

 次に,酸素の次に多く含まれているのは,二酸化炭素ではなくて「アルゴン」と呼ばれる物質です。

アルゴンは特に他の物質と反応することはまれであり,貴ガスと呼ばれる物質のうちの1つです。3番目に多い気体は特に勘違いが起こりやすい物質なので特に注意しましょう。

 そして二酸化炭素は乾燥空気全体のうち約0.04%しか含まれていません。多くの場合「その他」の分類の中にまとめられることが多いです。

空気中の二酸化炭素は意外と少ないということを覚えておきましょう。

空気に含まれる気体の性質

 ここでは空気に含まれる気体の性質について簡単にまとめたものを紹介します。

更に詳しく知りたい場合は他の記事を参照してみてください。

窒素

  • 空気中に最も多く含まれている
  • 密度は空気とほとんど同じ(ほんの少し小さい)
  • 他の物質と反応しにくい
  • 水にほとんど溶けない

酸素

  • 空気中に約21%含まれている
  • 空気に比べて少し密度が大きい
  • 物質を燃やすのを助けるはたらきがある
  • 水にはあまり溶けない
  • 二酸化マンガンにオキシドール(薄い過酸化水素水)を加えることで発生する

アルゴン

  • 空気に3番目に多く含まれる
  • 他の物質と反応しにくい

二酸化炭素

  • 空気中にほんのわずか(約0.04%)に含まれている
  • 空気に比べて密度が大きい
  • 水には少し溶ける→炭酸水になる
  • 石灰水を白くにごらせる(炭酸カルシウムの沈殿が発生する)
  • 石灰石にうすい塩酸を加えると発生する
  • 炭酸水素ナトリウムにうすい塩酸を加えると発生する

気体の検出

 空気中の気体,特に酸素と二酸化炭素に関してはその濃度を測定するための道具があります。それは「気体検知管」と呼ばれるものです。

ここでは気体検知管見方や使い方を紹介していきます。

気体検知管には調べたい気体や量に応じて,適した種類があるので選ぶ際はよく検討しましょう。

気体検知管

まず空気を取り込めるようにするため,チップホルダを用いて気体検知管の両端を折り取ります。

このとき検知管を回すようにして傷をつけていきます。

次に,気体検知管の矢印がない方の端っこにカバーゴムを取り付けます。

気体検知管の矢印が,気体採取器に向くようにして差し込みます。

気体検知管の種類によって,取り込む空気の量が異なるので,ハンドルの印を今使いたい気体検知管の量に合わせます。

気体の割合を調べたいところに気体検知管を入れて,印を合わせてからハンドルを一気に引いて空気を取り込み,そのまま固定します。

※空気を取り込んだばかりの気体検知管は熱いため絶対に手で触ってはいけません。決められた時間必ず待ちましょう。

時間が経ったら気体検知管を取り外して色が変わったところの目盛りを読むことで,取り込んだ空気の内,その気体が何%含まれているのかを知ることができます。

例えば光合成による気体の割合の変化や,ろうそくを燃やした前後での気体の割合の変化を調べる実験などが中心として取り上げられる場合が多いです。

気体検知管の使い方や目盛りの読み方などをしっかり学習しておきましょう。

入試問題演習

上で学習した内容をもとに,実際の入試問題に挑戦していきましょう。

問題

(上宮学園中 2019)

解答

問1

  • ①窒素
  • ②酸素

問2 イ,カ

問3 ア,ウ

問4 イ

問5 イ

解説

問1

空気中に最も多く含まれる気体は「窒素」で,乾燥空気の78%を占めています。

2番目に多く含まれる気体は「酸素」で,乾燥空気の21%を占めています。

 

問2

「酸素」は「二酸化マンガン」に「うすい過酸化水素水」を加えることで発生させることができます。

 

問3

空気中には二酸化炭素が約0.4%含まれています。また水蒸気も普通含まれています。この水蒸気の量によって湿度が変わってきます。

そして水素やアンモニアといった気体は普通空気中には含まれていません。

 

問4

ものが燃えるときに窒素は使われないので,大気中の窒素の割合は変化しません。

そしてものが燃えるときは酸素が燃えている物質と結びついてその分だけ二酸化炭素が発生するので,窒素の割合が変化せず,酸素の割合が減って,二酸化炭素を含むその他の気体の割合が増えた「イ」が正しいことになります。

 

問5

ろうそくを燃やすことで二酸化炭素が発生します。

石灰水に二酸化炭素を通すと「白くにごります」。

 

余談 ~温室効果ガスと金星の温度~

 皆さんは温室効果ガスと呼ばれるものを知っているでしょうか。

 気体の中には,地球が太陽から受けた熱を外へ逃がす際に放出される赤外線を吸収し,再び地球の方へ放出し直すことで熱を大気中に保持しておく役割をもっている物質があります。

このはたらきをもつ気体のことを温室効果ガスと呼びます。

温室効果ガスには,例えば「水」や「二酸化炭素」,「メタン」などの物質が含まれます。

上でも述べたように,これらの気体は大気中の熱を保持しておくはたらきがあることから,近年の大気中の二酸化炭素の濃度の増加が地球温暖化の原因になっていると言われています。

ここで温室効果ガスのイメージをより持ってもらうために,地球ではなく「金星」の様子について紹介していきましょう。

金星にも地球と同じように大気がありますが,そこに含まれる物質の割合は地球とは大きく異なります。

金星の大気は地球と異なり,「二酸化炭素」がその主な成分となっています。

そのため二酸化炭素の温室効果により,金星は地球よりも温暖化しており,表面温度は460℃にも達すると考えられています。

逆に二酸化炭素や水といった温室効果ガスがなければ,地球でも大気中で熱を保てず,常に氷点下といった状態に十分なりえます。

このように,大気中の二酸化炭素濃度や水の濃度は私たちが生活していくうえで絶妙な割合を保っているのです。これらが変化すると,惑星の表面温度も大きく変わってくることになります。

今の大気の組成が生物にとってピッタリなものであること,それが少しでも変化すると環境に大きな変化をもたらすことを知っていただけたら幸いです。

興味のある方は,酸素の濃度が増えたり減ったりすると,私たちの体にどのような影響を及ぼすのかを調べてみるのも面白いと思います。ぜひ空気について色んな知識に触れてみてください。

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まとめ

私たちの周りをとりまく空気はどんな物質でできているのか,それらがどんな性質をもっているのかを知ることは私たちの生活でもとても重要なことです。

またそれらの気体の割合の変化が私たちにとっていかに大きな影響を与えるかという感覚を持っておくことは,火事など災害時の危機管理にもつながります。

繰り返し学習しながらしっかり知識を身につけていきましょう。