日本国憲法において国民には政治に直接、または間接的に参加することができる「参政権」を保障されています。そのうち間接参政権として「選挙権」(憲法第15条)があります。直接参政権として「被選挙権」(憲法第44条)、憲法改正の「国民投票権」(憲法第96条)があります。
その他に国に対してではなく、地方自治体に対して不満があった場合に議会解散や議員・長の解職の直接請求することができる「住民投票権」(憲法第95条)も保障されています。
今回はそのような国民が政治に参加することのできる選挙の仕組みや住民投票について見ていきたいと思います。
【憲法第15条】公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
② すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。
③ 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
④ すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。【憲法第44条】両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない。
【憲法第96条】この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
② 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。【憲法第95条】一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。
選挙の仕組み
現在、日本国民の満18歳以上に選挙権が与えられています。
日本の選挙には、大きく分けて衆議院議員総選挙と参議院議員通常選挙、一般の選挙(地方選挙)、特別の選挙(国政/地方選挙)の4つに分けられます。それぞれについて詳しく説明していきたいと思います。
衆議院議員総選挙
衆議院議員総選挙は衆議院議員を選ぶために行われる選挙です。衆議院の任期満了(4年)もしくは、衆議院の解散によって行われます。衆議院議員総選挙は小選挙区比例代表制で選ばれ、衆議院議員の定数は465人で、うち289人が小選挙区、176人が比例代表で選出されます。
小選挙区比例代表並立制とは、小選挙区制と比例代表制を組み合わせた選挙制度です。小選挙区制は、1選挙区から議員1名を選出する選挙制度であり、比例代表制は各党派の得票数に比例した数の議員が選出される制度です。小選挙区比例代表並立制の選挙では、それぞれ選挙区の候補者と政党に投票します。
参議院議員通常選挙
参議院議員通常選挙とは、参議院議員を選ぶ選挙です。参議院には衆議院のような解散の制度はなく、6年の任期を終える際に選挙が行われます。しかし、一度に参議院全員の選挙を行うのではなく、3年ごとに参議院議員の半数を選挙で選出します。
参議院議員通常選挙は選挙区と比例代表制の2つを採用していますが、特定の地域は選挙区制を用い、多くの地域は候補者と政党を必ず書くのではなく、書いても良いという制度をとっています。
一般の選挙(地方選挙)
一般選挙とは、都道府県や市区町村(地方公共団体)の議会の議員や都道府県知事や市区町村長など地方公共団体の長を選挙のことです。
任期満了(4年)や議会の解散により選挙が行われます。また、地方公共団体の長の場合は、住民の直接請求(リコール)による解職や、不信任議決による失職、死亡、退職、被選挙権の喪失による失職の場合なども含まれます。
特別の選挙(国政/地方選挙)
特別の選挙(国政/地方選挙)には、選挙のやり直しや当選人の不足を補う再選挙、議員の不足を補う補欠選挙、議員の数を増やす増員選挙などがあります。
住民投票
憲法第95条にも定められている住民投票権は、地方自治法にも更に詳しく定めてあります。
第二節 解散及び解職の請求
第76条 選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、その総数の三分の一(その総数が四十万を超え八十万以下の場合にあつてはその四十万を超える数に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数、その総数が八十万を超える場合にあつてはその八十万を超える数に八分の一を乗じて得た数と四十万に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の選挙管理委員会に対し、当該普通地方公共団体の議会の解散の請求をすることができる。第78条 普通地方公共団体の議会は、第七十六条第三項の規定による解散の投票において過半数の同意があつたときは、解散するものとする。
第80条 選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、所属の選挙区におけるその総数の三分の一(その総数が四十万を超え八十万以下の場合にあつてはその四十万を超える数に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数、その総数が八十万を超える場合にあつてはその八十万を超える数に八分の一を乗じて得た数と四十万に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の選挙管理委員会に対し、当該選挙区に属する普通地方公共団体の議会の議員の解職の請求をすることができる。この場合において選挙区がないときは、選挙権を有する者の総数の三分の一(その総数が四十万を超え八十万以下の場合にあつてはその四十万を超える数に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数、その総数が八十万を超える場合にあつてはその八十万を超える数に八分の一を乗じて得た数と四十万に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の者の連署をもつて、議員の解職の請求をすることができる。
第81条 選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、その総数の三分の一(その総数が四十万を超え八十万以下の場合にあつてはその四十万を超える数に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数、その総数が八十万を超える場合にあつてはその八十万を超える数に八分の一を乗じて得た数と四十万に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の選挙管理委員会に対し、当該普通地方公共団体の長の解職の請求をすることができる。
第83条 普通地方公共団体の議会の議員又は長は、第八十条第三項又は第八十一条第二項の規定による解職の投票において、過半数の同意があつたときは、その職を失う。
地方自治体の議題に応じて住民投票を行なったり、地方自治体の長に対し不信任案の決議を行うこともできます。
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