新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、長野県、愛知県、静岡県、山梨県の9県からなる中部地方の地形・気候・産業などをおさえていきたいと思います。
政令指定都市は、新潟県新潟市、 静岡県静岡市、浜松市、愛知県名古屋市の4市です。人口分布は沿岸部の平野に集まっており、山間部の多くは過疎地域となっています。
地形
- 日本アルプス…日本の屋根とも言われます。赤石山脈、木曽山脈、飛騨山脈の3つを総称して日本アルプスと言います。3000メートル級の山々が連なるのは日本列島ではこの山域だけです。
- 越後山脈…新潟県、福島県境を主軸とする山脈。範囲には定説がない。
- 信濃川…長さ367kmで日本最長になります。流域面積は1万1900km2で日本で第三位。秩父山地に源を発し長野県、新潟県を流れ日本海に注いでいます。
- 越後平野…新潟県の中央部を占め、日本海に面する日本第二位の沖積平野です。中央部から南部にかけては信濃川、阿賀野川のはんらん原または三角州からなり、北部は加治川、胎内川、荒川などの扇状地からなります。
- 富山平野…越中平野ともいい、富山県中央部、富山湾岸に広がる平野です。
- 濃尾平野…濃尾の濃は美濃国(現:岐阜県)、尾は尾張国(現:愛知県)からきています。名前の通り、岐阜県、愛知県に広がる平野。木曾川、揖斐川、長良川、庄内川の形成した沖積平野です。日本有数の穀物地帯。
- 諏訪盆地…長野県中央部、本州中央部を横断するフォッサマグナにできた盆地。古くは製糸工場が盛んで、現在は精密機械工業が盛んです。
【補足】フォッサマグナとは?
フォッサマグナ(Fossa Magna)はラテン語で「大きな溝」という意味です。実際に上空から見て大きな溝があるのではなく、地質学的な溝のことをさします。図を見てみると、薄い茶色の中に緑色の部分があり、そこがフォッサマグナになります。薄い茶色の部分は中生代・古生代といった古い時代の岩石であり、緑色のフォッサマグナは新生代の岩石になります。フォッサマグナの真ん中に南北方向の火山列があることも大きな特徴です。
- 甲府盆地…山梨県中央部の内陸盆地。フォッサマグナの中にあり、モモ、ブドウ、メロンなどの果樹栽培が盛んです。
- 妙高山…新潟県南西部にある二重式火山。妙高連峰の主峰で、標高2454m。
【補足】二重式火山とは?
山頂の火口またはカルデラの中に中央火口丘ができている火山。
- 浅間山…長野県、群馬県境にある円錐形の三重式火山。標高2568m。 活火山で、常時観測火山です。1108年の「天仁の噴火」、1783年の「天明の噴火」など大規模な噴火を幾度も起こしてきました。以降は噴火活動が沈静化しましたが、2004年9月に大噴火を起こしています。
【補足】三重式火山とは?
複合火山ともいい、複数の小さな火山体が寄り集まって、見かけ上一つの大きな火山体になったものをいいます。
- 八ヶ岳…長野県、山梨県境にある火山群。県境の赤岳(2899m)を主峰に、南へ権現岳(2715m)、編笠山(2524m)、北へ横岳(2829m)、天狗岳(2646m)などが約20kmにわたり連なっています。
- 富士山…山梨県、静岡県にまたがる、玄武岩を主とする成層・円錐火山です。全国最高の標高3776m。山頂に浅間神社があり、古くから霊峰とされ、日本の象徴となっています。2013年(平成25年)には富士山域をはじめ周辺の神社、富士五湖、忍野八海や三保松原などを含む25の構成資産が、ユネスコ(国連教育科学文化機関)により世界遺産の文化遺産に登録されました。
気候
中部地方の気候は大きく3つに分かれます。太平洋側の東海、内陸の中央高地、日本海側の北陸の3つです。それぞれの特徴を見ていきましょう。
(名古屋気象台)
上の図は太平洋側の名古屋、内陸の高山を比較したものになります。太平洋側は年間を通して比較的温暖な気候で夏に降水量が多くなり、沿岸部は降雪が年間を通じて殆どありません。内陸は高地が多く、標高が高いため、昼と夜の温度差が大きいのが特徴です。また冬は東海側と比べ厳しい寒さになります。
(新潟気象台)
次に、日本海側をみていきましょう。日本海側は北西から吹く冷たく湿った季節風の影響で冬に雨や雪が多くなります。
工業
東京、大阪の二大都市の間にある中部地方は交通の便もよく様々な工業が発展しています。地域ごとにみていきましょう。
(四日市市)
中京工業地帯は愛知県・岐阜県南部・三重県に広がる工業地帯です。三大工業地帯のひとつで、太平洋ベルトの中核を担っています。明治以後、繊維工場などが栄えていましたが、現在は機械、鉄鋼業、石油化学工業など総合的な工業地帯になっています。
具体的には愛知県豊田市を中心に自動車工業、三重県四日市市の石油化学コンビナート、岐阜県大垣市の化学繊維、東海の製鉄などです。岐阜県美濃市の和紙製造業や愛知県瀬戸市・岐阜県東濃地域の陶磁器業など、在来工業も依然として盛んです。
東海工業地域は静岡県浜松市を中心とした工業地域でオートバイや楽器の生産が盛んです。また、福井県鯖江市の眼鏡のフレームは、国内生産量の約9割、世界の生産量の2割を誇る産業として成長しました。北陸地方は漆器などの伝統工芸品も古くから作られています。
農業
越後平野を中心とした北陸地域は日本有数の米の生産地です。また、東海地域は温暖な気候をいかして花やメロンなどのハウス栽培が盛んです。富士山の麓では茶畑が広がり、日本の三大銘茶のひとつである静岡茶の栽培が盛んです。寒暖差の大きい中央高地ではキャベツやレタスなどの高原野菜が栽培されています。
まとめ
中部地方 | 新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜都、長野県、愛知県、静岡県、山梨県 |
政令指定都市 | 新潟市(新潟県)、静岡市(静岡県)、浜松市(静岡県)、名古屋市(愛知県) |
気候 | 太平洋側の東海⇨年間を通して温暖な気候。夏の降水量が多く、沿岸部は殆ど雪が降らない。 内陸の中央高地⇨標高が高く、昼と夜の寒暖差が大きい。冬は厳しい寒さ。 日本海側の北陸⇨北西から吹く冷たく湿った季節風の影響で冬に雨や雪が多い。 |
工業 | 中京工業地帯⇨機械、鉄鋼業、石油化学工業など総合的な工業地帯。愛知県豊田市を中心に自動車工業、三重県四日市市の石油化学コンビナート、岐阜県大垣市の化学繊維、東海の製鉄など。 在来工業⇨岐阜県美濃市の和紙製造業や愛知県瀬戸市・岐阜県東濃地域の陶磁器業など。 東海工業地域⇨オートバイや楽器の生産が盛ん |
農業 | 北陸地域⇨日本有数の米の生産地。 東海地域⇨花やメロンなどのハウス栽培が盛ん。静岡茶の栽培。 中央高地⇨キャベツやレタスなどの高原野菜が栽培。 |