私大の入試がピークを迎えておりますが、皆さん成果のほどはいかがでしょうか。国公立大が第一志望の方は結果が出るのがまだ少し先になりますが、とにかくやれる手はすべて尽くして朗報を待ちましょう。
さて、今日は手薄になりがちな古文の勉強方法についてお伝えしたいと思います。
古文の勉強法は三段階に分けて考える
古文は、国公立大学を受験される際の共通テスト並びに文系の二次試験、および私立大学を受験される際の個別試験にて、上位校であればほとんどの大学で入試科目に含まれておりますね。普段話している国語である現代文でさえ、どうやって勉強したらよいかわからない、コンスタントに一定以上の得点を確保して得点源にする、ということが難しい教科だと思いますが、まして昔の言葉である古文ではますます、どうやって勉強したらよいかわからない方が多いことでしょう。(因みに、現代文のとっかかりについては、こちらの記事をご参照ください)
また、これも当然と言えば当然かもしれませんが、殆どの試験で古文は、配点があまり多くなく、興味も湧かない、という理由から、他の科目でその分の得点をカバーすることにして古文に手をつけない、という方も少なくはないでしょう。(大手の予備校や塾でも、まずは、英語や数学をという指導が一般的かと思います)
でも、少ない配点ですが、古文はやれば確実に得点源にすることができ、それをコンスタントに得点として確保するということは、他の流動的な科目で万が一多少の失点をしても十分に補ってくれるということになります。(1点が合否を分ける入試なら、配点の少ない古文でも結構な安心感になると思います)
では、何をやれば確実に得点が出来るのか、というと、大きく以下の3つです
- ①頻出単語の意味を覚える
- ②文法の基本的な事項をおさえる
- ③ひとつでも多くの頻出文献を読解する
頻出単語の意味を覚える
まず①についてですが、絶対に覚えておかなければならない単語はせいぜい300単語前後ですので、1日10単語で良いので出来るだけ毎日コツコツ覚えて、もう忘れないだろうと思うまで3周か4周ぐらい同じ単語集を暗記してしまえば、夏以降はもうやらなくて良いと思います。(要領は英単語の時とほぼ同じですね)その分の時間を他の教科に充てましょう。
文法の基本的な事項をおさえる
次に②についてですが、基本的な助動詞・動詞・形容詞・形容動詞の活用の仕方と、係り結び等の典型的な語法、それに助動詞のバリエーションと意味をおさえるようにしましょう。これは何か古典文法というカテゴリーの問題集を基礎的なもの1つ、発展的なもの1つずつ丁寧にやれば十分でしょう。
ひとつでも多くの頻出文献を読解する
最後に③ですが、お察しのようにこれが一番手間暇かかります。しかし、これで一気に得意科目にすることが出来ます。頻出文献については、古文読解の問題集で主に色々な大学の過去問を用いているものには大抵、それが何の文献であるかが記載してありますから、最も良いのはその文献自体を書店かアマゾンで入手し、読解する、つまり読書と同じ要領で読んで内容を理解し、楽しむのです。古文表記だけのものだと心が折れてしまう可能性が大ですので、ほとんどの文献に現代語訳つきのものが出版されていますから、そちらを入手して読み比べながら進めるのが良いと思います。(筆者のおすすめは、KADOKAWAより出版されているビギナーズ・クラシックスシリーズです)
また、それをするのはちょっと敷居が高いな、面倒だな、と感じる場合には、なるべくたくさんの過去問を集めて掲載している古文読解の問題集を購入し、その日にやるものの文献名と作者名、時代と時代背景を簡単に把握した上で、問題はやってもやらなくても良いですので問題文を書き写し、解答に記載されている現代語訳をそのすぐ横に書き入れ、書き終えたら読み物としてその文章を今一度読んで内容を理解し、楽しんでみて下さい。日本昔話のようで、短い読み物として読んでみると、以外にジョークまじりでおもしろいものも多く、問題に解答することだけを考えて取り組んでいた時とは違って、古文の魅力というものが少し見えて来ると思います。ようは、大学受験の頻出文献というのはさほど多くはなく、出題しやすいものはあちらこちらの大学で、中には20以上の大学でこれまでに問題文として出題されたものまであったりしますから、時間が許す限り、1つでも多くの文献を読解しておくと、その話が記憶に残っていますので、問題文として出題された時に改めてゼロから読んで読解せずとも誰が何をやったのかを把握出来ているのですから、いきなり問題に取り組める訳です。(出題頻度の高い古典作品については、こちらにまとめてありますので、まずは興味のあるストーリーを探してみるのも良いかもしれません)
古文はやはり、いくら語彙や文法を完璧にしても、初めて見る文章で記載されていない身分や登場人物の関係性、動作の主などを正確に読み取るのは至難の業であり、まして短い制限時間内となってくるとなおさら、それらが読み取りにくいのは当然です。現代文だってそうですが、自分が一度でも読んだことのある文章が出題されれば、初めて見る文章より正確に深く読み取ることが出来る訳で、また詳しく読んでいる時間が要らないのでその分をゆっくり解答にかけられるのですから、高得点が取りやすくなります。さらに、同じ文章に出会えなかったとしても、副産物は他にもあります。やはり1つでも多くの文献を読解することによって、次第に感性や当時のものの見方への理解が磨かれていきますし、時代背景や身分、人々の関係性や人々が抱く感情などへの理解も深まりますから、似たような新しい文章に出会っても、およそ状況が手に取るように把握できるようになり、正解が導きやすくなるのです。
古文も古い日本語、つまり言語ですから、慣れれば慣れるほど理解が深まり用法に長けてくる訳です。例えばですが、全55話から成る紀貫之の土佐日記は、仮にすべてを読んだことがなかったとしても、それが土佐の国から京に向かう旅行の道中での日記文であるということを知っていれば、引用文献が土佐日記であると書かれているのを見て、ああ、この日旅先であったであろう出来事を歌を交えて綴っている文章なのだな、ということが容易にわかりますから、状況が把握しやすいですよね。慣れてくると、1日1文を読むのに所要時間15分程度でできるようになりますので、可能な限り毎日続けて見て下さい。恐らく、読者の皆さんが思っている以上に、一度読んだことのある文献に出会うものだということを体感していただけると思います。そして、その時に初めて読む文章の時よりも高得点が取れることを知っていただけたなら、古文の面白さを感じていただけたということになると思いますのでもう大丈夫でしょう。
ぜひ1日15分の作業で古文を得点源に変えてみてください。