「塾の宿題が多くて終わらない」という悲鳴にも似た声をよく聞きます。このまま続けていけば明らかにオーバーワーク。子どもがつぶれてしまうかもしれない・・・そのような心配をされている親御さんも多いでしょう。でも「宿題」なんだから何か意味があるのでしょう?だからどんなに多くてもやらなきゃ・・・そのような気持ちにもなるでしょう。
今回は、塾で出される大量の宿題をやるにあたって、考えておきたい3つのポイントについて書いていきます。
なぜ宿題が出ているのか
そもそもなぜ、宿題が出されるのでしょうか。塾や家庭教師の先生の立場に立って宿題の目的を考えると、まずは勉強の習慣を身につけさせたいからということが挙げられるとおもいます。子どもの受験に対する意識が希薄で、スキあらばサボるという状況であれば、家庭である程度の時間机の前に座らせるために宿題を出す、ということがあり得ます。もし、すでに習慣がついているなら、大量すぎる宿題は必要なのでしょうか。
また、学んだことを定着させる、という目的もあります。授業中だけで学んだことを覚えきるのは、一部の最上位の生徒以外は無理です。家庭で宿題をやってもらうことで、理解し、定着を図ってもらうために宿題を出すのです。でも、分野や単元によってはすでに定着しているものもありますよね。それなら、しつこく大量に数値替えしたような類題をひたすらやらせる必要はないということになります。
どんな宿題なのか確かめる
宿題の内容をよく見て、親御さん自身がその目的を確認してみることは大切です。その結果、大量の宿題が出されているものの、その目的は今のわが子にとっては無意味、という結論が出るということもあり得ます。
例えば、ただ漢字や慣用句を大量に書かせたり、ノートを清書させるだけ、といったような宿題は、成績が良く、学習習慣がついているお子さんにとっては不要でしょう。記憶するということに慣れていることはそれほど繰り返して字を書く必要はないでしょう。要は、きちんと意味が分かって覚えられていればよいのですから。
逆に、わが子にとって出されている宿題が高度すぎる、ということもあるでしょう。そうなると、ほとんど解けないということになってしまい、お子さんにとっては机に向かうものの消極的な、悲しい気持ちだけが残ることになります。
「できなかった」という思いが日に日に募ると、勉強そのものが嫌いになってきます。誰でも達成感がないとつらくなりますよね。また、なんとかやり遂げたものの、単なるやっつけ仕事をこなしただけ、という感じになってしまえば、時間をかけてやったものの全く頭に残っていないということになり、はっきり言って「時間の無駄」になってしまいます。
思い切って取捨選択するという決断も必要
わが子にとって何が必要なのか、何を強化しなければならないのかを考えて宿題を取捨選択することをおすすめします。せっかく塾の先生が出してくださったのに、親が勝手に取捨選択してしまっていいの・・・?と思われるかもしれませんが、お子さんの教育の主導権は親御さんにあるので、遠慮は不要です。
特に集団塾の場合、クラスの大部分にとっては適切な問題であっても自分の子には不適切、ということが生じます。それは、成績の良し悪しだけでなく、得意単元なのにやたら宿題が多く、その時間があったら苦手なところを重点的にやりたい、あるいはまだよく理解できていないのに大量の問題を出されて途方にくれる、そのようなパターンがよく見られます。
授業中のノートやプリントを見て、苦手な単元や理解があいまいな単元があるか確認してみてください。その単元の宿題を優先的にやるべきです。優先順位を決めた結果、やりきれない分が出て売るかもしれませんが、慌てて雑にやった宿題よりも、苦手分野に落ち着いて取り組んだ宿題の方がよほど意味があります。
まとめ
宿題の件で疑問や不安がある場合は、抱え込まずに塾に相談するべきです。量の問題、優先順位の付け方など、効率的に宿題をやるために必要なことですから遠慮する必要はありません。
それでも改善されないようであれば、あるいはわが子にとって適切な対応をしてくれない塾だと思うようであれば、思い切って塾を変えることもやむを得ないでしょう。先ほど述べたように、お子さんが勉強そのものを嫌いになってしまってはそもそも意味がないのですから。
塾の宿題以外に学校の宿題もありますよね。最近の入試問題では、教科書にきちんと説明が書いてあることが理解できているか問う問題も増えていますから、こちらもおろそかにすることはできません。そういった、学校の宿題や行事も目白押しになってくる高学年では、受験勉強もスマートにやっていく必要があります。
塾や家庭教師の先生とはよいコミュニケーションをはかり、賢く活用すべきですが、決して言いなりになる必要はありません。今一番やらなければいけないことをしっかり把握し、時には第三者の意見も聞きながら、優先順位をつけて宿題をやるようにしましょう。
一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。