漢文問題読解・解説『右台仙館筆記(ゆうだいせんかんひっき)』[大学受験漢文過去問解説シリーズ]

今回は2019年度の明治大学の文学部の国語の過去問を一部修正して漢文問題の解き方を解説していきたいと思います。 また、問題文はPDFも参考にしてください。

問題

 

問1

傍線a「与」・b「毎」の読みとして、それぞれ適切なものを、次の中から一つずつ選び出しなさい。

①と
②より
③たびに
④に
⑤ために
⑥ともに
⑦ごとに

【解答】
・a①
・b⑦

「与」
動詞の場合、 3通りの読み方があります。
1、くみ)…仲間である・味方である
2、あづカル)…関わる、関係する
3、あた)…与える

助動詞・接続詞の場合は名詞の後ろにつき、「〜と」と読み、単独で使われる場合は「とも)」という連用修飾語になります。問題文をみてみると、名詞の後ろにつくのでこの場合は「常人(と)」と読みます。

「毎」の読みは「ごとに」です。意味は…それぞれ。…するたび。 

問2

傍線Aを書き下し文にすると、「病める者の床前に一黒人立つを見る」となる。これをふまえて、「見」と「立」の部分に返り点を付けなさい。(送り仮名は不要である)

【解答】

問3

傍線部B「面目不甚可弁」を、口語訳しなさい。

【解答】顔立ちははっきりとは見分けられなかった 

傍線部B「面目不甚可弁」を書き下すと、「面目甚だしくは弁かつべからず」になります。

それぞれの言葉の意味をみていきましょう。

  • 面目…顔立ち、顔つき
  • 甚だしく…程度がひどい、度をこえている
  • … 1、言葉でおさめる。説得する。 2、わきまえる。わかる。心得る。 3、見分ける。違いをあきらかにする。 1、2の意味がよく使われる印象があるかもしれませんが3のような意味もあり、この場合は3の意味で訳した方が良いでしょう。

以上の意味を踏まえて、「顔立ち」、「はっきりと見分けること」が「できない」という意で訳します。 

問4

傍線C「報恩」の「報」と異なる意味の「報」を含む熟語はどれか。次の中から一つ選び出しなさい。

①報奨
②報告
③報国
④報酬

【解答】② 

報恩」とは恩に報いることの意であるので、告げ知らせることを意味する「②報告」の意味は異なると考えられます。 

問5

本文の内容に合致するものとして最も適切なものを、次の中から選びなさい。 

①善い亡霊が命を持ってきたため、婦人は病から回復した。
②姚氏の婦が見た黒人は、人を死に至らしめる亡霊であった。
③姚氏の婦が虚弱体質だったのは、黒い亡霊のためであった。
④姚氏の母が亡霊の力を抑えたことで、病は回復に向かった。

【解答】② 

それぞれの選択肢をみていきましょう。 

①善い亡霊が命を持ってきたため、婦人は病から回復した。
命を持ってきたという記述はないので当てはまりません。

③姚氏の婦が虚弱体質だったのは、黒い亡霊のためであった。
⇨姚氏の婦は鬼が見える体質であり、黒い亡霊によって病に伏していたのは別の婦人です。

④姚氏の母が亡霊の力を抑えたことで、病は回復に向かった。
⇨黒い亡霊の力を抑えたのは姚氏の母ではなく、善い亡霊です。

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参考

明治大学