子どもが自分で考える「思考力」が育たない3つの理由

忘れ物を頻繁にする子どもに、「どうして忘れたの?」と聞くと、「だってお母さんが言わなかったから」という答えが返ってきたご経験、ありませんか?お母さんから言われなければ、持っていこうとも思わない、つまり自分でその日の持ち物を管理することができていないということです。

「自分で考える=思考力」が育っていない状態の子どもが増えています。なぜ、そのようになってしまったのでしょう?今回は、思考力が「育たない」理由について考えてみたいと思います。

理由①「なんでもやってくれる優しいお母さんがいる」

天気予報で雨が降りそうだと知ると、「今日は雨が降るみたいだから傘を持っていきなさい」とお子さんに指示していませんか?そう、これはアドバイスではなく「指示」なのです。子どもにとっては、傘を持っていかなくてはならない理由が「雨が降るから」ではなく、「お母さんに持っていきなさいと言われたから」になってしまっています。これでは、指示されていない日は、傘を持っていかなくてもよいことになってしまいます。

子どもを心配するああり、常に先回りして予想されることに対処できるよう、「指示」ばかりしていると、子どもは自分で考える力を発揮することができません。この場合には、「天気予報では雨が降るみたいだよ?」という情報のみ与えるようにしてはどうでしょうか?「雨が降る→傘を持っていく」と自分で考え、行動することができます。

理由②「すぐに答えを出そうとする」

最近では、小学校の宿題でもインターネットで調べる前提で出されることもあります。たしかにインターネットでは自宅に居ながらなんでもすぐに調べることができるので、便利ですよね。

ただし、あまりにインターネットに頼ってしまうと、「自分で調べる時間」が減少してしまい、大事な考える力を育てることができません。自分で地図帳で調べたり、辞書を引いたり、本を読むなどの作業を経て知ったことは記憶の中に残りやすくなります。また、五感と一緒に覚えた記憶は忘れにくいと言います。たとえば、星座ではプラネタリウムや自然に触れるなどの体験と一緒に覚えることができ、忘れにくくなります。中学受験の問題でも、最近は「実体験」に基づくことを前提とした出題が増えています。「自分で」調べる、「自分で」体験する、そのことがとても重視されているのです。

また、慶應中等部(幼稚舎から)などでは、理科のレポートがハードなことで有名です。必ず出典を書かなくてはならず、ただの事実の羅列ではダメ、必ず「自分の」考察を入れなければいけません。もしご自分のお子さんがそのような学校に入って、「自分で」考えることができず、成績が思わしくない状態になるのは、困りますよね。

インターネットはとても便利ですから、それも活用することは決して悪いことではありません。でも、「自分の力で考える時間」も大切にする必要があります。ご家庭でもお子さんの様子を注意深く見てあげてください。

理由③「考えることが面倒くさい、または自信がない」

実は、自分で考えることを苦手としている子供はとても多いのです。その原因は、過去の経験にあるようです。自分がある行動をして失敗してしまったり、間違ったりした経験があると自信を無くしてしまい、自分で考えることをやめてしまうようです。

このようになると、勉強にも影響してしまいます。勉強面では何よりも「思考力」が必要です。計算問題が得意な子どもでも、文章問題になると何を聞かれているのかわからないということは往々にしてあることです。この場合、得意な分野の問題を解くことで自信を持つことができるようになります。自信を取り戻せば、わからない問題にもチャレンジして見ようという意欲を持つことができます。そのチャレンジ精神こそが、「思考力」を生む原動力になるのです。

思考力を育てるために注意すべきこと

親御さんに注意していただきたいのは、何か声掛けをするときに、「~しなさい」「~してはいけません」など、命令や一方的な指示をする言葉をできるだけ避けることです。指示するのではなく、「提案」をしてみてはどうでしょう。「早く宿題をしなさい」→「宿題やっていなくてもいいのかな?」など、子どもにどうするのか、を決めさせるようにするのがおすすめです。「思考力」を育てることは中学受験には欠かせません。ぜひ、ご家庭の中でも工夫をしてみてください。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。