国語の勉強をしていると、さまざまな種類の設問を解くことになりますよね。漢字やことばの問題にはじまり、選択肢問題、書き抜き問題、記述式問題などがありますが、なかでも日々の学習や模試などで解く数が多いのは「選択肢問題」ではないでしょうか。
選択肢問題にもいろいろあります。たとえば段落の分け方を問う問題であったり、ことばの意味を問う問題、問題文の内容の理解に深くかかわる問題、といったものが挙げられます。設問ごとにいくつかある選択肢の中から正しいもの、あるいは間違っているものを選びますが、近年は答えがひとつだけとは限らず、「すべて選びなさい」という設問も少なくありません。
選択肢問題を解く際に、どのような方法で解いていますか?正解を選ぶためには「なんとなく」では足りません。どこかに必ずひっかけがあるので、念入りに吟味しないと正解できない、それが選択肢問題の怖さです。オール記述問題の中学校以外では選択肢問題が入試に占める割合は高く、一つひとつ正確に解いていかなくては合格点をとることはできません。
そこで、選択肢問題を正解するために、解法をあらためて確認しましょう。時間がないからとなんとなく「消去法」で選択肢を選ぶ、という解き方をしていませんか?実は受験生が選択肢問題を解く際に一番多く使うのがこの消去法ですが、複雑化している選択肢問題を解くには消去法では間違える可能性が高くなるのです。
自信をもって「これが正しい」と言い切れる選択肢を選ばなくては点数には結び付かないのが選択肢問題。いくら最後の2つまで絞り込んだけれど最後にどちらか選ぶときに間違えた、と言いわけしても、答えだけを各選択肢問題では点数になりません。
今回は、自信をもって正しい選択肢を選んで選択肢問題でしっかり点数をとるために気をつけたいことについて解説します。これまで選択肢問題で良く落としてしまっていた、という方はぜひ参考にしてください。選択肢問題で点数をとれるようになると、国語の成績が大きくアップしますよ。
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国語の場合、消去法だと正解できないことも多い
選択肢問題は国語だけではなく、ほかの教科でも出題されることがあります。しかし、国語の場合、ほかの教科に比べて選択肢の文が長く、内容も違いが分かりにくいことが多く、ほかの教科のように「間違いなくこれ」と自信を持って選ぶのは実は難しいのです。そのことを肝に銘じておかないと、解いているのに正解できないということになりかねません。
選択肢問題は国語の入試問題の多くを占める
皆さんは、実際の中学入試でどのくらい選択肢問題が多く出題されているかご存知ですか?四谷大塚のデータによると、最近の入試データとして、国語の読解問題において選択肢問題が占める割合は約6割となっています。ここで言う選択肢問題の中には漢字やことばを選ぶような問題は含まれておらず、文章の内容についての読解問題を指します。漢字やことばを選ぶ問題を含めるとさらに選択肢問題の割合が増えるわけですね。
国語の入試問題の中心は、いわゆる「文章読解問題」です。説明文・論説文、物語文、随筆、詩といったさまざまな文種の文章を読ませ、その内容について設問で問うというのがオーソドックスな中学入試の国語の出題です。そして、多くの中学校の入試の国語では、読解問題が配点のうち8割、場合によってはそれ以上を占めているのです。その6割近くが選択肢問題だということは、全体の半分以上を文章読解の選択肢問題が占めていることになるので、そういった選択肢問題をきちんと解ききって得点につなげられるかどうかは合否に大きく関わると言えるでしょう。
最近では、中学入試の国語の出題に置いて記述問題が増加傾向にあります。特に男女御三家や難関校と言われる中学校の場合、オール記述ということも少なくないので、とにかく選択肢問題より記述問題をなんとかしなければ、と焦る保護者の方は少なくありません。
しかし、記述中心の学校であっても、問題文を正確に読み解き、答えるという点では選択肢問題をたくさん解くのと実は違いはあまりありません。答える際の表現方法が異なるだけで、出題の種類にかかわらず正確な読解ができていることが前提になるので、部分点がもらえない選択肢問題で必ず正解できるほどの正しい読解力を身につけておかなければ、記述問題で高得点をとることは難しいでしょう。ですから、普段の勉強の中でも選択肢問題をおろそかにしてはいけないのです。
記述問題が増えている傾向にあることはたしかですが、さまざまな学校に目を向けてみると、選択肢問題が出題の多くを占める中学校は少なくありません。たとえば、難関校のうち、海城中学校や渋谷教育学園幕張中学校などは、記述問題も出題されますがその割合は高くなく、高度な選択肢問題が合否を分けるような出題になっています。また、女子の難関校である豊島岡女子学園中学校の場合は、国語はほぼ選択肢問題が占めているという状況です。選択肢問題の難易度を上げることによっていかに「差がつく」のかがよくわかります。
最近の国語の選択肢問題の特徴
このように、最近の中学入試の国語で出題される選択肢問題の特徴にはどのようなものがあるのでしょうか。選択肢問題の正答率を上げるためには、どのような選択肢が出題されるのか、その特徴をしっかりつかみ、対策することが求められます。
最近の国語の選択肢問題の特徴としては、以下のような点が挙げられます。
- ひとつの設問あたりの選択肢の数が増えている
- 選択肢の文自体が非常に長文化している
- 「文章の内容に合うものをすべて選びなさい」など、答えがひとつとは限らない
- 文章の内容に合うものがない場合、という選択肢がプラスされている
- 選択肢の文が一見ほぼ同じに見え、似ている選択肢のなかから正解を選ばせる
選択肢問題を出題する中学校の意図からすると、設問をよく読み、出題している文章の内容を正確に把握すれば解けるはずなので、その中で受験生の間に点数の差を生むために、〇か×のどちらかしかない選択肢問題の選択肢一つひとつの難易度を上げているという傾向が読み取れます。単純に正解はひとつ、しかも明らかにそれが正解だと分かるような選択肢問題はもはや出題されないと言っても過言ではないでしょう。
消去法は時間がかかり、正解できないことも多い
このように、一筋縄ではいかない、難問ともいえる選択肢問題を出題する中学校は増加傾向にあります。では、そういった難しい、合否を分ける選択肢問題をどのように正解していけばよいのでしょうか。
受験生の問題の解き方を見ていると、「消去法」を使って選択肢問題を解いていることが非常に多いようです。大手塾では、選択肢問題は消去法で解くようにと指導していることも少なくないので、そういう解法で4年生からたくさんの選択肢問題を解いてきているのならば、消去法こそが選択肢問題の正しい解法、と思ってしまうのも無理はないかもしれません。
ですが、消去法と言っても、単純に「アは違う、イも違う、ウとオも違うからエが正解」といったように、パッと見て深く考えずに答えを出して正解できるほど最近の選択肢問題は甘くありません。選択肢の文自体が長く、問題文の読解に加えて選択肢自体の読解も正確にしなければならないからです。パッと見て正解が分かるほど単純ではないことが分かります。
また、選択肢を2つまで絞り込めたけれど、最後どちらが正しいのか迷ってしまい、結局違う方を選んでしまった、という受験生の方も多いです。ですが、それは結局「消去法」で選んでしまっているから正しい選択肢を選ぶことができなかった、ということなので、消去法の弊害が現れている事象だと言えます。
このように、消去法は選択肢問題を解く際に一見正しい解法のように思えるかもしれませんが、特に国語においては、消去法だけに頼るのは非常に危険です。設問をしっかり吟味し、選択肢の内容を細かく見たうえでの消去法であれば良いですが、これとこれが違うからこれが答え、というような解き方だと入試レベルの国語の選択肢問題には太刀打ちできません。
消去法を使う場合、最後に迷うことが多いので、時間がかかります。また、2つに絞り込めたとしても最終的に迷って正解が選べないという点で、単純な消去法では正解できない可能性が高いことはぜひ知っておいてください。
なぜ消去法をつかってしまうのか
単純な消去法で解こうとする場合、時間がかかり、さらには迷って正解できない、ということも少なくありません。それは、間違った消去法で解こうとしているからです。しかし、それに気づくことができる受験生はそう多くはありません。だからこそ選択肢問題は差がつく入試問題として出題の多くを占めるのです。
このような危険性がある消去法ですが、では、なぜ多くの受験生が国語の選択肢問題を消去法で解き、間違えてしまうのでしょうか。これには、ほかの教科の選択肢問題の影響が多分にあるのではないかと考えられます。算数ではあまり選択肢問題は出題されません。神奈川県の栄光学園中学校ではグラフを選ばせるといった意表を突く選択肢問題が出題されることもありますが、多くは文章題を解き、式を立てて計算して正解を出しますし、答えはひとつに決まっているので、わざわざ選択肢を作る必要がないからです。
では、理科や社会はどうでしょうか?模試でも記述問題も出題されますが、多くは選択肢問題ですよね。もちろん、理科や社会でも、まず長いリード文を読み、各設問に答えていく、という点では国語と共通していますが、実は理科や社会の選択肢問題と国語の選択肢問題の解き方には大きな差があるのです。
問題文、あるいはリード文を読んでその内容に即して設問に答えていく、という点は共通していますが、理科や社会の場合は、選択肢どうしを比較すれば正解が分かることが多いです。それは、原理原則や年号、人名といった知識部分が正しければおのずと正しい答えが分かる、という理科・社会の問題の特徴が背景にあります。
たとえば、「○○の足の生え方のうち正しいものはどれか選びなさい」といった場合、いちいちリード文に戻らないですよね。また、できごとを年号順に並べたものを選びなさい、という問題であってもいつ、どのようなできごとが起こったかが正確にわかっていれば、リード文に戻る必要はありません。つまり、理科や社会の選択肢問題の場合、選択肢どうしを比べてみてそれだけで正解が分かる、というものが多いのです。
ですが、国語の選択肢問題の場合はそのような選択肢どうしの比較では解けません。あくまで問題文と設問の意図を組んで、選択肢一つひとつ問題文に戻って正解にあたるかどうか吟味しなければならないので、理科や社会の選択肢問題と同じように解いていては正解できないのです。しかし、理科や社会でも選択肢問題を数多く解いていると、選択肢どうしを見比べて「正しいっぽい」選択肢を選んでしまう傾向が見られます。「正しいっぽい」は「正しい」とは似て非なるものです。その点を理解せずに消去法に走ってしまうと、解いても解いても正解できず、またその理由も分からない、ということになってしまいます。解法が間違っているのですから、正解できないのはある意味当然だと言えるでしょう。
正解となる内容が理解できていなければ消去法は意味がない
国語の選択肢問題の場合は、選択肢どうしの見比べでは正解できません。あくまで問題文の内容と照らし合わせ、かつ設問に合致したものを選ばなければならないということをまず理解する必要があります。
そして、設問が何を聞いているのか、という「正解となる内容」が分かっていなければ、いくら選択肢をながめていても正解は出せません。ただ迷ったまま、時間だけが過ぎていってしまうということになってしまうでしょう。
つまり、国語の選択肢問題を解く際には、設問で聞かれていることを正確に把握し、選択肢一つひとつについて問題文に戻って正しいのか、それとも間違っているのかを吟味していくことが必要不可欠になるのです。その手順を踏まなければ、時間ばかりかかって正解できないという状況に陥ってしまうでしょう。
最近の入試問題の選択肢問題は、選択肢の数自体が増えてきており、選択肢の分が長文化しています。また、選択肢の文の中にある微妙な違いに気づいて問題文と照らし合わせて正誤を判断する必要があり、その手間を惜しむと不正解ということになってしまうという、単なる消去法では正解できないということを知っておきましょう。
選択肢の文の表現が微妙に違う、ということはヒントなのですが、ヒントだと思えないと迷うだけで時間が経ってしまい、問題文に戻ることなくタイムアップ、ということになりかねません。国語の選択肢問題の解法は、理科や社会といったほかの教科の選択肢問題とは質も解法も異なる、ということを忘れないようにしてください。
国語の選択肢問題の解法のセオリーとは?
国語の選択肢問題は、理科や社会の選択肢問題とは解法が大きく異なる、ということをお伝えしましたが、では、国語の選択肢問題を確実に正解するためにセオリーはあるのでしょうか?実はあるのです。中には当てはまらない選択肢問題もありますが、基本として押さえておきたいポイントは確実にあります。選択肢問題でなかなか点数が取れない、という方はまずは基本となる選択肢問題の解法のセオリーを確認しておきましょう。
「客観的な読み」を忘れてはいけない
国語の問題は、「客観的に」解かなければなりません。なぜなら、どのような形式の設問であっても、基本となるのは問題文であり、その問題文は筆者の意見や伝えたいことについて書かれているので、あくまで筆者の意見、筆者の伝えたいことを設問を通して読み解いていくのが入試の国語だからです。つまり、国語の入試問題を解く際には、「あなたの考えを述べなさい」という問題以外は、受験生の主観を入れてはいけないのです。
主観を入れてしまうと、問題を解いている間に受験生の頭は混乱してしまいます。それが選択肢問題の場合、自分の考えに合ったものを選んで不正解することに繋がってしまうのです。あくまで問題文に書かれている内容や筆者の考えについて答えていかなければいけないのに、主観を入れてしまうと正答率を上げることはまずできません。
設問を読んで選択肢に飛びつかない
では、国語の選択肢問題を解く際には、どのような順で吟味していったらよいのでしょうか。受験生が陥りがちな手順として挙げられるのが、「設問を読んだらすぐに選択肢を見て選ぼうとする」ことです。設問を読む前には、まず長い問題文を読みますよね。ですから、問題文を読んで設問を読んだらすぐに選択肢に飛びついてしまう、ということになってしまうのです。
ですが、国語の問題文は非常に長文化しています。それを一読しただけで内容を完璧に頭に入れることは難しいですよね。しかも、それを筆者の頭で考えられているという客観性を持って読み切り、内容を把握することは小学生にはなかなかできることではありません。そのため、自分の主観を交えて勝手に解釈するといったことに繋がってしまうのです。
模試を受けてきたお子さんが、「今回の文章は自分には合わなかった」ということはありませんか?国語で求められているのは、自分の主観に合うか合わないかではなく、あくまで客観的に、筆者の視点で文章を読み切ることです。これができないと、問題文の内容を正確に理解できていないということになりかねません。そうすると、いくら設問で正解しようとしても的外れで芋づる式に失点するということにもなりかねないのです。
設問→本文→選択肢、の順で吟味してみよう
このように、客観的な読みは、問題文を読む場合はもちろんですが、設問を読むときも重要です。さらに言えば、選択肢の文一つひとつを読む際にも必要なことです。このような客観的な読みをしたうえで、選択肢を吟味する際の注意点を見ていきましょう。
選択肢問題を解く際には、まず問題文を読んだら次に設問を読み、すぐに選択肢に行くのではなく、その設問の答えに関わる部分を問題文の中から探して、そのうえで選択肢を読む、という手順を踏んでみましょう。先ほども述べましたが、長文である問題文はたった一度読んだだけでは大筋はつかめてもその内容を完璧に頭に入れることはできません。もちろん完璧に内容を理解する必要はありませんが、「問題文中のどこに何が書いてあったか」ということのあたりをつけておくことは、設問を解く際に必要です。
設問を読んだら問題文の該当部分に戻って正解のヒント、ネタになるところを探してから選択肢を読んでいきましょう。そして、問題文の内容と選択肢を結び付けて正しいものを選んでいくことが解法のセオリーです。
なぜこのような手順をとるかというと、問題文の内容を正しく把握し直すことができ、選択肢を判断する際にも迷うことがなくなるからです。もし正解をひとつだけ選ぶ設問の場合は、最初の選択肢が正しい、とわかれば、ほかの選択肢はさっと確認して済むこともあるので、時間的にも余裕が生まれます。あくまで選択肢と問題文の距離を縮めること、問題文の内容から外れないこと、それが選択肢問題で正解するカギです。
ただし、正解がひとつとは限らず、当てはまるものをすべて選びなさい、という設問の場合は、すべての選択肢の文が問題文に書かれている内容と合致しているか、それともしていないか、ということを丁寧に吟味し、照合することが必要です。当てはまるものをすべて選ぶという設問の場合、答えとなる内容が問題文の全体に散っていることが多いです。そういった設問の場合、単に問題文の一部だけを切り取って答えることは難しいです。そのため、問題文と選択肢の文を細かく照合することが必要になるのです。
具体的には、選択肢を文節で分けて、問題文の内容と合っているかそれとも違っているか、横に〇×を書き込んでいって選択肢全体が〇なのか×なのかを細かく照合し、一つひとつ丁寧に確認していきましょう。
選択肢の正解・不正解の理由をしっかり考える
選択肢問題を解く機会は多いですし、これまでにも非常に多くの問題を解いてきたでしょう。ですが、指導する立場から見ると、「選んで丸付けして終わり」という受験生が非常に多く、「なぜこの選択肢が正解でこれが不正解なのか」という、正解のための「理由」を考えている方はあまり見当たりません。単に答えが合っているか間違っているかだけを見ていては、もしかするとまぐれで正解しただけであってもスルーしてしまいかねません。
解答がこれだからそうなんだろう、とスルーしてしまっては、選択肢問題の正答率を上げることはできません。大切なのは、なぜその選択肢が正解で、問題文のどこにその根拠が書かれているのか、ということを確認し、理由をきちんと理解しておく必要があります。しかし、これができている受験生は非常に少ないです。
国語の選択肢問題は理詰めで解く!
選択肢問題でよくやりがちな間違いが、因果関係がきちんと成立していないのに、問題文に出てくる語句が選択肢の中で使われていると、それだけで正解だと考えてしまうことです。特に、選択肢の文が長い場合は、読み疲れてしまって、内容と合致しているかどうか十分吟味できない、というケースも少なくありません。
本文には「AだからB」と書いてあるのに、A、あるいはBという語句が選択肢にあるからと、「BかからA」という選択肢を選んでしまうというのは非常に多い間違いです。因果関係というのは原因と結果ですから、その順序が反対になるということは、内容としてまったく違うことになっているわけですが、語句だけに注目して、焦って選ぼうとするために、問題文の中から答えにあたる部分をきちんと探すことができないことがあり得るのです。
こうした間違いは、思い込みと問題文の読み間違い、選択肢の読み間違いが重なって起こるものですが、逆に正確に読めていれば正解できる、ということです。
国語の選択肢問題は、必ず解答の根拠があります。なぜその選択肢が正解なのか、ということを理詰めで考えていき、理由付けを考えながら選択肢を吟味することが必要です。たとえば、「アはこの部分が違う」「イはここは正しいけれどこの部分が違う」「ウはここもここも正しいから正解」ということを、問題文から根拠を出して答えられるようにすると、克服できるでしょう。普段から選択肢問題を解く際に、なぜ正解なのか、その理由はなぜか、ということを細かく見ていく習慣をつけましょう。
いくつもある選択肢の中で、正しい解法で選択肢を吟味した結果、ピンポイントで正解の選択肢を選ぶことができると、自信がつくと同時に、それまであいまいなやり方や勘に頼った解き方をしたことに気づくことができるので、以降注意深く選択肢問題を解くようになります。それを積み上げてこそ、点数を伸ばすことができるのです。
選択肢問題を解くには語彙力が欠かせない
選択肢問題を解く際には、守るべきセオリーがあります。問題文→設問→問題文→選択肢の吟味、という手順や、選択肢の根拠を問題文からきちんと見つけ出し、理由付けまでできるようにしておく、といったものです。こうした手順をしっかり守って1問1問丁寧に解いていくことによって正解を積み上げていくことができます。
また、選択肢問題を解く際に重視していただきたいのが「語彙力」です。選択肢問題の場合は、同じ内容のことばが言い換えられているというケースも少なくありません。言い換えられていることばの意味が分からないと正解することが難しくなります。語彙力が足りないばかりに、正しい言い換えなのか、それとも間違った言い換えなのかが判断できず、正解できない受験生は実は多いのです。
たとえば、問題文で「いぶかしく思った」という表現があったとしましょう。いぶかしく思う、というのは疑問に思う、不思議に思う、という意味なのですが、もし「いぶかしい」ということばの意味を知らなければ、選択肢に「疑問に思った」「不思議に思った」と書かれている場合に正しいのかどうか分からず迷ってしまい時間ばかりかかって不正解してしまうということにもなりかねません。
国語の問題文に出てくることばは、中学校側からすると「このレベルのことばの知識は持っていてほしい」というメッセージです。問題文を選ぶとき、中学校では語彙の難易度を含めさまざまな文章を検討して出題します。文章の内容にもメッセージが込められていますが、語彙力についても学校からのメッセージが込められていることに思いをはせてみてください。学校からの問いかけに答える、それが入試問題を解く、ということの本質です。
選択肢問題の場合、意外とこのような形で語彙力を問われるケースは少なくありません。そして、一つひとつの文章を流し読みするような勉強のしかたでは、志望校のレベルに合わせた語彙力を養成することは難しいでしょう。普段の小テストや模試、またテキストを解く際にも、正解したか、不正解したかにかかわらず、選択肢問題で出てきた、また問題文中に出てきた語句について知らないものは調べて、語彙力をコツコツつけていきましょう。
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一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。