高学歴=高収入というイメージ
「高学歴」と聞くと、さぞかし「高収入」なのだろうとイメージする方は少なくないでしょう。
例えば「東大卒」と聞くと、大きな会社でバリバリ働き高額なお給料をもらっている、または医師や弁護士などの「高給取り」を思わせる職業に就いていると想像する方も多いのではないでしょうか。
この記事を読んでいる皆さんの中にも、「将来はお金持ちになりたいから、できるだけレベルの高い大学に行きたい」と考えて勉強している方もいることかと思います。
一方で、昨今では「高学歴ワーキングプア」という言葉も流行しています。「高学歴」と言われるような大学を卒業していても、希望する職業に就けず低い収入しか貰えていない人々のことです。また、テレビや雑誌では「大学に行っていないのに華々しい経歴を持つ経営者」などもよく目にします。
となると実際のところ、「高学歴」=「高収入」というイメージはどの程度正しいのでしょうか?
今回の記事ではその実情をお伝えしたいと思います。
学歴別年収の実情
厚生労働省の平成28年賃金構造基本統計調査によれば、男性女性それぞれの学歴別年収は以下のようになっています。
- 男性の学歴別年収(円)
年齢 | 中学卒 | 高校卒 | 高専・短大卒 | 大学卒 |
25〜29 | 3,357,600 | 3,799,400 | 3,737,700 | 4,150,000 |
30〜34 | 3,955,700 | 4,428,100 | 4,329,000 | 5,263,400 |
35〜39 | 3,493,800 | 5,063,700 | 5,030,200 | 6,482,200 |
40〜44 | 4,072,600 | 5,922,200 | 5,844,200 | 7,449,800 |
45〜49 | 5,356,800 | 6,618,900 | 7,035,500 | 8,982,500 |
50〜54 | 5,483,700 | 7,240,700 | 7,672,000 | 9,718,100 |
55〜59 | 6,106,700 | 7,410,300 | 7,989,800 | 9,353,700 |
- 女性の学歴別年収(円)
年齢 | 中学卒 | 高校卒 | 高専・短大卒 | 大学卒 |
25〜29 | 3,125,000 | 3,158,200 | 3,311,400 | 3,821,900 |
30〜34 | 3,193,700 | 3,413,700 | 3,737,000 | 4,432,600 |
35〜39 | 3,700,800 | 3,837,100 | 4,204,800 | 5,013,100 |
40〜44 | 2,429,200 | 4,505,900 | 4,908,500 | 5,935,100 |
45〜49 | 3,094,100 | 4,863,500 | 5,741,300 | 7,359,000 |
50〜54 | 3,829,300 | 5,355,800 | 6,284,500 | 8,111,100 |
55〜59 | 4,601,300 | 5,504,500 | 6,601,300 | 7,474,600 |
表を見てもらうとわかるように、ほとんどの場合大卒者の方がその他に比べて年収が高いです。
年齢を重ねるにつれて差が広がるため、40〜50代になると1年でも大学を卒業した人としていない人の差はかなりのものになります。となると、生涯賃金の差はもっと大きいことが予想されますね。
また、高学歴=高収入というイメージが正しいかどうかは、「働きがい研究所by openwork」のランキングによって示されています。
以下(出身大学別年収ランキング|働きがい研究所)より引用
出身大学別年収ランキング | ||
大学名 | 30歳時年収(万円) | |
1 | 東京大学 | 810.9 |
2 | 一橋大学 | 739.6 |
3 | 京都大学 | 727.6 |
4 | 慶應義塾大学 | 726.6 |
5 | 東京工業大学 | 708.2 |
6 | 早稲田大学 | 654.3 |
7 | 神戸大学 | 651.0 |
8 | 大阪大学 | 640.3 |
9 | 国際基督教大学 | 635.5 |
10 | 上智大学 | 633.7 |
上位10校はすべて誰もが名前を知っている、いわば「高学歴」と呼ばれるような大学です。30歳の時点で、一般的な大卒よりもはるかに平均年収が高いということがおわかりかと思います。
したがって、「高学歴=高収入」というイメージは一概に間違っているとは言えず、むしろ正しい場合も多いでしょう。
ではなぜ「高学歴ワーキングプア」や、「大学に行っていないのに華々しい経歴を持つ著名人」がやたらと目につくのでしょうか?
それは彼らがメディアにとっての「美味しいネタ」だからではないでしょうか。
「高学歴なのに低収入」や「学歴がないのに高収入」という、いわば「一般的な人とは違う人」をメディアは取り上げます。私たちはそれらの情報を見聞きし、実際は少数派であるにもかかわらず、それがさも一般的であるようなイメージを植えつけられます。
一方で「高学歴=高収入」というイメージも周りの人やメディアから植えつけられているために、混乱するのです。
結論としては、平均的にはやはり高学歴であるほど自分の就きたい職業に就ける可能性が高く、その結果年収も高くなるケースが多いということは否定できないでしょう。
親が高学歴だと子どもも高学歴になりやすい?
「東大に入学する生徒の親は、多くが高収入である」。こんな話を聞いたことはないでしょうか?
実際にこの噂は正しく、教育社会学者の舞田敏彦氏の調査によると東大生の親の世帯年収は半数以上が950万円以上なのです。その親と同世代の世帯年収で、950万円を上回るのは22パーセントです。
この数値を見ると、異様に東大生の親の年収が高いということがわかるでしょう。前述したデータから、高年収であるということはいわゆる「高学歴」である可能性が高くなってきます。
では、どうしてこのような結果になるのでしょうか?その理由を考察してみたいと思います。
一つ目の理由は、単純に教育にかけられる費用の差です。
お金に余裕があれば、小さい頃から子どもを塾に通わせることもできますし、家庭教師をつけることもできます。また、教育に力を入れている私立の学校に通わせることも可能です。すなわち、高収入である方が多様な選択肢を得られるのです。
二つ目の理由は、情報の差です。
例えば「両親が高卒の地方学生」と「両親がいわゆる『高学歴』の、都市に住む学生」が東大を目指すとして、どちらが合格しやすいでしょうか?
悲しいかな、今の現実は圧倒的に後者です。なぜなら彼らの周りには東大を始めとする大学を卒業した人々がたくさんいます。さらに塾や家庭教師から受験勉強のノウハウも教えてもらうことができます。
前者の場合、入試の方法や勉強の仕方を一から、しかも多くの場合は自分1人で探していかなければなりません。この圧倒的な経済格差と情報格差が、東大生の親に高年収が多い理由なのではないでしょうか。
まとめ
ここまで散々「高学歴」=「高収入」について書いてきましたが、私個人は実際のところ学歴と人の幸せはあまり関係がないと感じています。
あまりにも貧困なのは精神的にもつらいものがありますし、お金によって生まれる選択の自由というものがあるのもまた事実です。
しかしながら、一定のお金があればあとは工夫次第でいくらでも楽しい人生を送ることができると私は考えています。いくら高額なお金をもらっていても、自分自身が幸せでなければ意味がありません。
自分のやりたいと思えること、楽しいと思えることを実践できる環境に身を置くことが、お金よりも大切なのではないかと私は考えています。
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参考
慶應総合政策卒で、現在は社会人として働いている鈴木です。独学で合格した経験を活かして、勉強法やオススメの参考書などを紹介する記事を書いています。趣味は映画鑑賞と読書です。よろしくお願いします!