【中学受験】理科の記述問題の注意点 その1

最近の中学入試問題の傾向として、4教科それぞれ記述問題が出題されることが増えているということがあります。記述というと国語のイメージが強いですが、社会、理科、そして算数でも記述問題が出題されています。以前は、難関校を中心に記述問題が出題されていましたが、近年はすそ野がひろがり、難易度や字数の多さの違いはありますが、さまざまな中学校で国語以外の教科でも記述問題が出題されるようになっています。

理科の入試問題では、実験考察問題がよく出題されますが、それに伴って記述問題が出題されることがあります。また、さまざまな問題を解いた最後に、問題文と各設問をふまえたうえで記述問題に答える、というパターンもあります。

理科の記述問題は、出題する中学校によって傾向はさまざまですが、理科という教科の特徴が前提となっていることには注意が必要です。ただ知識だけを書けばいいという問題だとは限りません。大問全体をよく把握したうえで記述問題に対応する必要があるということを忘れてしまうと、的を得ない答案となってしまい、部分点ももらえない、ということにもなりかねないので、理科の記述問題の対策をする際には教科の特色をふまえたうえでおこなうことが大切です。

今回は、近年頻出の理科の記述問題について、ほかの教科との違いや、理科ならではの特色について解説します。理科の記述問題は対策していない、という方は、問題を解く前にぜひ参考にしていただき、基本を押さえたうえで演習するようにすることをおすすめします。

理科の記述問題の特色とは?

受験生のみなさんは、日々さまざまな問題を解き、対策を進めていることとっもいます。教科の勉強をしている中で、やっかいだな・・・と感じるのはやはり記述問題ではないでしょうか。国語では記述力が求められるということはわかりやすいですよね。文章の内容をまとめたり、文中の内容について把握できているかどうかを確認するためには、記述問題は必須と言えるでしょう。

以前は、記述問題と言えば国語、というのが定番でした。ですが、近年は理科や社会といった知識重視の教科であっても記述問題が出題されるようになってきました。受験生のみなさんは、理科の記述問題の対策に時間をとっているでしょうか?特に対策をせずに記述問題に答えようとしてもなかなか点数に結びつかない、ということも多いのではないでしょうか。

ですが、理科の記述問題に対応するためには、単に国語の記述問題と同じように書けばいいというものではありません。理科には理科の記述対策があるのです。ここでは、理科の記述問題とほかの教科の記述問題との違いについて見てみましょう。

理科の記述問題と他の教科の記述問題の違いとは?

理科の記述問題の対策をするときは、ほかの教科とは少し違った対策が必要になってきます。国語の記述問題では、問題文や設問で何を聞かれているのか、ということを分析して、その答えが問題文の中のどこにあるのか、を探し当てたうえで問いに答えます。その際には、書かなければならないポイントをピックアップして、模試字数制限がある場合は、その字数に合わせて余計な要素が入っていないか確認しながら、加えたりそぎ落としたりして解答を作りあげていくことになります。

また、社会の記述問題の場合は、国語と同じように、何を聞かれているのかを意識したうえで、自分が覚えている知識のなかから、その問題に適したものを引っ張り出し、その中からどれを使ってどのように解答を組み立てていくのが良いかということを考える必要があります。

理科の記述問題で必要になる作業

国語や社会の記述問題と比べて、理科の記述問題は社会と少し似ていますが、理科という教科ならではの「作業」が必要になる場合があります。それは、問題の中で示されている図や表、グラフ、実験結果のデータを読み取ったうえで記述の解答を作り上げていく、という作業です。ほかの設問を解くときもそれが前提となっていますが、正確に図表やグラフ、実験結果のデータを読み取り、問題全体をよく理解したうえで記述問題の文章を書いていかなければなりません。

ポイントは、「問題文の内容から離れてはいけない」ということです。これは他の教科でも記述問題を解く際には必要なことですが、理科の場合は、それにデータや実験結果といったものが入ってきます。それらもすべて含めて問題文と言っても良いでしょう。

知っている知識をただ書くだけでは理科の記述問題に対処することはできません。知識を総動員して書く必要がある記述問題ですが、あくまでその問題に合致した知識を取捨選択して、必要十分な答案を作ることが求められます。字数制限があるということは、出題者が、「この問題で必要なことを過不足なく書けばこのくらいの字数になるはずだ」ということを前提に問題を作っていることの表れです。もし、記述問題を解くときに解答欄が埋まらない、あるいは書きすぎてしまってどれを削ったらよいかわからない、というときはその問題で書くべき内容を必要十分に書けているかどうかを検証する必要があるでしょう。

理科の記述問題では「読解力」が試される

国語の記述問題の対策をする際に、よく「読解力を高めることが必要だ」というフレーズを聞かされるのではないでしょうか。塾の先生からも「まず読解力がないと記述問題は解けない」と言われることもあるかもしれません。そのため、読解力が要求されるのは国語の問題だけで、理科や社会はとにかく知識や公式をたたきこんでいれば対策していることになっている・・・というような思い込みをしてしまっている受験生は少なくないのです。これは大きな誤解です。国語以外のどの教科であっても、読解力は必須のスキルだと言えるでしょう。では、理科の問題ではどのような場面で読解力が求められるのでしょうか。

理科で必要な「読解力」とは

理科の記述問題では、データの読み取りが必要になる、という特色があります。理科の問題では、記述問題に限らずデータの読み取りが重要ですが、それは、実験結果の読み取りといった場面だけとは限りません。たとえば、顕微鏡などの実験道具についての問題なら、その実験道具のどのパーツについて出題されているのか、人体の問題なら、どの臓器の役割を聞かれているのか、などそもそも「何を聞かれているのか」を理解する際に読解力が必ず必要になってきます。

理科という教科は、特に設問でそれぞれ質問されている部分がピンポイントであることが多いので、焦って良く読まずに問題に飛びついてしまうと全然聞かれていることに答えていない、ということになりかねません。まずは冷静にその問題では「何を聞かれているのか」ということを冷静に整理するように意識することがとても大切です。

記述問題特有の「読解」ができないといけない

理科の記述問題に独特の問題というと、やはり複数の図表やグラフを使った「対比問題」が挙げられるでしょう。単純にひとつだけの図表やグラフについて問いを作るのではなく、条件を変えた実験のデータを示し、何が実験結果の違いにつながったのか、という点を問う問題などが代表的です。

ひとつの実験結果であれば対応できるけれど、複数の実験データが出てくるととたんに対応できなくなるという受験生は少なくありません。ですが、そういう複数のデータを対比させる場合において、何か特殊な知識、複雑な知識を問われているわけではありません。日ごろの学習で身につけてきた知識をベースとして、与えられた問題中のデータの中から違いを読み取る能力を見たいというのが出題者の意図です。一見複雑に見える記述問題だったとしても、最初から敬遠して白紙答案にするのではなく、落ち着いて問題中にある図表やグラフ、実験結果を読み込んで必要な項目や知識を書き出してみましょう。

長いリード文の読解も必要

近年の理科の入試問題では、図や表、実験内容や実験データが含まれていることは先ほど述べた通りですが、もうひとつ大きな特徴があります。それは、「リード文が非常に長くなってきている傾向にある」ということです。リード文の中には、どのような実験をどのような手順でおこなったか、という、その問題を解くために必要なデータがすべて含まれています。また、実験をする際の条件などもその中に含まれているので、リード文をしっかり読み解くことが理科の記述問題対策の第一歩になります。

ただし、身構える必要はありません。長い文章に怖気づいてしまう受験生も少なくありませんが、記述問題以外の設問においてもリード文の正確な読解は必須です。文章を読み進む中で重要な部分やデータを示している部分、条件が書いているところなどにしるしをつけながら、しっかり読み解き、設問にあたるように意識しましょう。

次回は、正確な読解を前提として、記述問題の練習をどのように実践していくのかについて書いていきたいと思います。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。