今回は、仮定法について学びます。
仮定法とは〈現実とは違う〉ことを表すための用法で、〈今〉のことを表す時は過去形が使われ、〈昔〉のことを表す時は過去完了形が使われます。
仮定法と直接法の違いをまずはしっかり理解しましょう。
そして、ifを使った仮定法、wishやas ifの後に続く仮定法を学んできます。
Contents
直説法と仮定法の違い
まずは直説法と仮定法の違いを見ていきましょう。下記の例文の動詞の違いに注目してください。
①はrainsと現在形、will cancelと助動詞will+原形になっています。
一方で②はhadと過去形、would buyと助動詞willの過去形+原形になっていますね。
- ①If it rains tomorrow, we will cancel the picnic.
(明日雨が降ったら、ピクニックは中止します) - ②If I had a lot of money, I would buy an island.
(たくさんお金があったら、島を買うんだけどな)
直説法とは現実のことや現実に起こる可能性のあることを表す動詞の形を指します。
つまり①の「明日雨が降る」という内容は現実に起こる可能性があることなので、直説法になります。
一方で②は「たくさんのお金があったら」という内容は、話し手にとって現実的ではないことなので仮定法になります。
話し手が「現実か、現実とは違うのか」を判断することで、直説法か仮定法か変わります。
仮定法過去「もし〜なら、…だろうに」
- ①If he were ready, we would go.
(彼の準備ができていれば、出かけるのにな) - ②If I had enough time and money, I would travel around the world.(もし十分な時間とお金があれば、世界中を旅行するのにな)
仮定法過去とは、現実の事実と違うと思っている事柄を表すことです。上記の例文の赤文字を見てわかるように、動詞の形は過去形になります。
しかし過去形ですが、「今」の時点を表しているので注意してください。
例えば①では、「今」彼の準備ができていないから、出かけられないという、現在の事実が隠されています。
ここでポイントとなるのが、if節中のbe動詞です。
①では、主語が「he」にも関わらずbe動詞が「were」になっていますね。仮定法では、主語の人称や数に関係なく、be動詞にはwereを用います。ただし、口語では「was」を使うこともあります。
②では、現実に起こる可能性のないことを表しています。話し手にとっては「十分な時間とお金が手に入ることなどありそうもない」と判断が含まれています。
①②とも主節には「would」が使われています。「もし〜なら、…だろうに」という表現形式では、「…だろうに」の部分に助動詞のwouldが使用されます。
おもにこのwouldが使用されますが、「…かもしれない」という意味のときは「might」になり、「…できる」という意味にしたいときは「could」が用いられます。
- If he had time, he might come to see us.(もし彼に時間があれば、私たちに会いに来るかもしれないのだが)
- If I were handsome, I could work as a model.(もし私がハンサムだったら、モデルの仕事ができるのに)
仮定法過去完了「もし〜だったなら、…だったろうに」
- ①If I had left ten minutes earlier, I would not have missed the train.(もし10分早く出ていたなら、列車に乗り遅れることはなかっただろうに)
- ②She would have died if the climber had not founded her.
(もしその登山者が彼女を見つけていなかったら、彼女は死んでいただろう)
仮定法過去完了とは、過去の事実とは違うと思っている事柄を表します。
例文の赤の太文字を見て分かるように、過去完了形を使います。この場合も、動詞の「形」と「表す時」にはズレがあるので注意して下さい。
①では「10分早く出発しなかった」という過去の事実が、「列車に乗り遅れた」ことに繋がっています。
②では「登山者が彼女を見つけた」という過去の事実が「彼女が死なずにすんだ」ことに繋がっています。
ここまで、理解できましたか?重要なポイントを下にまとめましたので、復習してから、次に進みましょう。
直説法 |
仮定法 |
|
〈今〉のこと |
動詞は現在形 |
動詞は過去形 |
〈昔〉のこと |
動詞は過去形 |
動詞は過去完了形 |
- 仮定法過去の文法「If+主語+動詞の過去形, 主語+would+動詞の原形」
- 仮定法過去完了の文法「If+主語+動詞の過去完了形, 主語+would+have+過去分詞」
if節と主節で、表す時が異なる場合
- If I had taken the medicine then, I might be fine now.
(もしあの時あの薬を飲んでいたら、私は今元気になっているのかもしれないのに)
上記の例文のif節の中にthenがあることに注目してください。このthenは「あの時」という過去を指すので、〈過去の事実に反する仮定〉としてhad takenという仮定法過去完了が使われています。
一方で、主節にはnowがあります。〈現在の事実に反する仮定〉は仮定法過去で表すので、主節では「might be」という仮定法過去の形になってます。
このように時を表す副詞に注目してみましょう。if節と主節で〈時〉が違う場合があるので注意が必要です。
wishやas ifの後の仮定法
- ①I wish I knew her telephone number.
(彼女の電話番号を知っていたらなあ) - ②I wish I hadn’t bought such an expensive bag.
(あんな高いバックを買わなければなぁ)
上記の例文のwishは「〜なら・〜だったらなあ」という意味になり、実現できそうもない願望を表します。
①ではknewという過去形が用いられていますが、〈昔〉のことを言っているのではありません。「彼女の電話番号を知らない」というように現実の事実とは違うことを表しています。
それに対して、過去の事実とは違うことを表したい時は仮定法過去完了を用いるので、②ではhadn’t boughtという過去完了形が用いられています。この場合は「高いバックを買ってしまった」という〈昔〉のことを表しています。
ここで注意してほしいことは、wishの後では必ず仮定法が用いられ、現在形は使われないということです。したがって下の文章は成り立ちません。
× I wish I know her telephone number.
- ①He talks as if he were an expert in economics.
(彼はまるで経済学の専門家であるかのように話す) - ②You look as if you had seen a ghost!
(君はまるで幽霊でもみたかのような顔色だよ)
上記の例文のas ifは「まるで〜である〔あった〕かのように」という意味になります。事実とは異なる空想を表す場合、as ifに導かれる節でも仮定法が用いられます。
①では現実の事実(経済学の専門家である)とは違うと思っているので、仮定法過去が用いられています。
②では過去の事実(幽霊を見た)と異なることなので、仮定法過去完了が用いられています。
ちなみに「as if」の代わりに「as though」を使っても同じ意味を表すことができます。
さらに、「wish」「as if」に続く節で使われるbe動詞は基本的に「were」になります。
最後に
さて、今回は仮定法について学びました。仮定法と直説法の違いは理解できましたか?また仮定法過去と仮定法過去完了の違いも、もう掴めたでしょうか?
混乱してしまう単元ですが、仮定法過去は「過去形だけれども〈今〉の話」で、仮定法過去完了は「過去完了形だけれども〈昔〉の話」と覚えておきましょう。
仮定法には「未来を表す仮定法」や「ifを使用しない仮定法」もあるので、次回それらについて見ていきましょう。
【参考文献】
石黒昭博, 2016, 「総合英語Forest」桐原書店
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参考
上智大学総合人間科学部社会学科の片倉優花です。
私は中高をドイツで過ごし、高校はインターナショナルスクールに通っていました。ドイツ語も英語も身につけないといけなくて語学習得に苦労したのですが、その経験を生かして、主に「英語」をみなさんに楽しく分かりやすく習得してもらえるような記事を書いていきます。現在は弓道サークルに所属していて、中高はバスケ部でした。他にも水泳やクラシックバレエなども過去に習っていて、体を動かすことが好きです。趣味は、読書、旅行、写真撮ること、食べることです。ドイツに住んでいた時に、ヨーロッパ中を旅行しました。お気に入りの場所は、イタリアのベネチア、フランスのモンサンミッシェル、トルコのイスタンブール、ドバイです。60ヶ国制覇を目指しています!英語だけでなく、モチベーションや勉強法なども書いていけたらなと思っています。
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