中学受験を目指す小学校6年生は、ゴールデンウィーク(以下、GWと略します)、夏休み前、夏休み後、秋からの志望校対策、直前期の見直しなど、1年間にいくつも計画を立て、修正し、目標に向かって進んでいく総仕上げの学年です。
もうすぐGWに入りますが、皆さんは、GWまでに何をしよう、GWの期間は何をしよう、など、目的をもって学習を進めているでしょうか。
今回は、GWを機会に、これまでやってきたことの振り返りと、GW中に何をしてその後の学習につなげるか、について書いていきたいと思います。
Contents
どの段階まで進んでいるべきか
塾にお通いの皆さんは、一部を残して一通り受験までのカリキュラムを終え、入試を意識した学習に入っているでしょう。日々の学習に追われて、今、どの段階までできているのか、目標から逆算してチェックしていますか?
この時期でしたら、
- 計算を速く正確にできるようになっているか
- 各科目(志望校によって違いはあっても)定番の問題が解けるようになっているか
- 漢字は小学校履修レベルはもちろん、受験レベルの基礎まで完璧に覚えているか
- 国語の長文読解問題にも慣れてきて、構成の整ったわかりやすい文章をある程度書けるようになっているか
- ニュースや新聞で話題になっていることを理解し、時事問題にも興味をもって勉強できているか
といったことをチェックすべきです。材料としては、受験基礎問題と、やはり模試ということになるでしょう。
受験基礎問題の解き直しと模試の復習を
まずやるべきはこれまでの復習
GWが終わるまでに、短期間で終わらせることの可能な受験基礎問題を一通り終わらせておくことが望ましいです。あるいは、塾のテキストの既習部分を総ざらいして、自分が苦手としている分野や理解があいまいなところを洗い出し、これから重点的にやらなければならない部分がどこなのか、目に見える形で把握しましょう。
また、直近で受けた総合模試(合不合判定テストや首都圏模試など)の復習を完璧にしましょう。結果が戻ってきて、「解き直し」はしているかもしれませんが、そこで終わることなく、本当に「できる」ようになっているか確認するため、復習をしっかりやることが大事です。
自分だけの問題集を作る
そして、すでにやっていらっしゃる方も多いかもしれませんが、「苦手問題集ノート」を作ることをおすすめします。模試で間違えた問題を中心にして、苦手な単元の問題を集めていくノートです。一例ですが、間違えた問題をノートの左側に貼り(問題を自分で書いて写すのは時間の無駄ですから、コピーやプリントアウトで十分です。ぜひ保護者の方、協力してあげてください)、右側に解法を書いていくのです。
これは、自分がどういう問題が苦手で、どういう間違え方をよくするのか自覚するのにとても役立ちます。そして、次の模試を受けるまでにこれまでのノートを使って間違えた問題を再度解き、理解してから模試を受けるのです。そしてそこで間違えた問題についても同じようにノートにためていきます。
やがてこのノートは自分専用の参考書になっていきます。模試のたびに見返せば、自分の苦手なところは一目瞭然になりますから、重宝します。ぜひ、活用してください。
過去問にトライ
塾によってはすでに過去問を扱っている場合もあると思いますが、これまでにまったく過去問を解いたことのない人は、ぜひこの時期に一年分でもいいですから、やってみてください。志望校のレベルと出題家校を実感すると、今の自分との距離を客観的に認識することができますから、危機感を持ったりモチベーションが上がったり、刺激を受けることができます。
本格的に過去問を解き始める時期は個人差がありますし、未習単元がある場合は無理に何年も解いても点数がとれないのは当たり前ですから、あくまで距離感をつかむためです。親子でショックを受けることもあるかもしれませんが、これからの受験生活の大事な目標を自覚する機会になります。
GW明けに備える
GWが明けるといよいよ本格的な受験モードに入ります。GW中の特訓で何年分も過去問を解かせるところもありますし、この時期から入試レベルの応用問題を中心に問題演習中心の授業になってきます。演習量、テストの回数も増えてきます。
ですから、GWはこれまでの苦手分野の克服や復習にじっくり取り組める、取り組むべき期間です。夏休みになれば、毎日朝から晩まで講習を受け、テストテストの日々が続きます。振り返って勉強するにもしっかり計画を立てないと、一番大切な「自分の勉強」ができません。
GWは、自分の穴になっている部分を克服する大切な時間です。自分が何をやるべきか、まだ冷静に考えることのできる時期でもありますので、時間を大切にして弱点克服につとめてください。
終わりに
GW中は、旅行など家族で過ごすことを重視されるご家庭もあるでしょう。また、この時期を休みにする塾もあります。一方で、GW特訓を実施する塾もあります。ご家庭によって、塾によって、お子さんの個性によって、GWの過ごし方には様々な考え方があるでしょう。
ですが、GWは「自分の勉強・弱点克服」に取り組める貴重な時間です。主導権を握るのはご家庭であるべきです。ぜひ、目標を定めて、計画的にこの期間を過ごしましょう。
一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。