中学入学後の海外留学の現状は?その2

今ではすっかり珍しくなくなった、中学入学後の海外留学やホームステイ。修学旅行や研修旅行も行き先が海外、という学校も増えています。

実際に、学校説明会でも、中学・高校時代に行われる海外留学カリキュラムについての話がよく出ていますよね。説明をお聞きになった方も多くいらっしゃると思います。希望者が海外留学するために必要な英語の勉強についての話や、募集人数が少ない場合には、「いま、海外に行ってどのような体験をしたいのか、何をつかんで帰ってきたいのか」というようなプレゼンを行って選抜する学校もあるようです。

また、海外のプログラムも様々です。ホームステイの形で現地の「生活」を経験させるものもありますし、現地校でその国の同年代の生徒さんたちと一緒に授業を受けたりディベートをする経験を組み込んでいるものもあります。学校によって、海外カリキュラムを経験させる目的はさまざまです。

中学生がひとりで海外に行くのはいまや決して珍しくないかもしれませんが、せっかく行くなら、有意義な経験をしてきてもらいたいものです。それは、準備段階からも積極的に取り組む必要があるでしょうし、現地でホームステイする場合には、どのようにコミュニケーションをとるのが良いのか、しっかり考えていかないと、ただの海外旅行で終わってしまいます。それなりに高い費用もかかりますから、なにかしら今後に活かせるように取り組んでほしいと思って親御さんは送り出すことでしょう。

今回は、実際に現地で行われる留学プログラムについて、経験に基づいてご紹介したいと思います。ぜひ、お子さんが海外プログラムに行ってみたいとおっしゃったときの参考にしてみてください。

現地の学校では、現地生向けの授業を一緒に受けた

今回、子どもが行ったニュージーランドでの短期留学のプログラムをご紹介したいと思います。中学生の海外留学というと、現地の英語学校のサマープログラムに参加するといった、語学重視のものを思い浮かべるかもしれませんが、実際に子どもが経験してきた海外留学は、英語の勉強だけでなく、英語を使って数学や理科、社会など、現地の生徒さんが受ける通常の授業を受けてきました

OECD加盟国の中でも、ニュージーランドは、15歳の段階で高い学習到達度を誇ります。数値統計でもはっきり出ています。そう聞くと、どんなに難しいことを学習しているのだろうと思うかもしれませんが、子どもの話によると、数学も理科も日本で学習している内容よりも簡単なレベルだったそうです。

また、現地校で授業を受けたわけですが、高い学習到達度をほこる国のこと、どれだけたくさんの宿題が出されるのかと思ったら、宿題は皆無だったそうです。普段の授業だけでなく、長期期間中でも宿題という概念そのものがないようでした。日本では考えられませんよね。このように宿題のない生活の中でのびのびと過ごしているニュージーランドの生徒たちを非常にうらやましく思ったそうです。子どもは留学から帰ってから、大量にたまった夏休みの宿題をこなさなければならないわけですから、その気持ちもよくわかりますが・・・。

ちなみに、宿題がないというのは、うちの子どもが留学した先の学校だけの話に限らず、ニュージーランドの学校は全体的に同様に宿題を出さないようでした。国によって宿題があるかどうかはさまざまだと思いますが、学習到達度が高いにもかかわらず宿題がで出ないいうあたりは、宿題や課外課題がとても多いアメリカなどの国とは大きく違うところですね。

ホームステイ先での生活は?

子どもがお世話になったホームステイ先の家から学校までの距離は22kmだったそうです。22kmの移動距離というと、日本で私立中学に通う子どもたちにとっては特別遠いわけではないように感じられますよね。日本は電車をはじめ交通網が発達していますから、22kmという距離もそれほど国はならないかもしれません。ですが、ニュージーランドは人間よりも羊が多いといわれるほどののどかな国です。

ニュージーランドは日本のように公共交通機関は発達していません。スクールバスに乗って学校に通うか、親が車で送り迎えするか、どちらかの選択肢しかないのです。さらに、学校の周りに寄り道するような繁華街もありません。ですから、必然的に学校が終われば自宅へ直帰する、そんな学校生活を送るのがニュージーランドの生徒たちのスタイルなわけです。

以前の記事で、子どもがお世話になったホームステイ先のファミリーが正真正銘のドイツ人だったことを書きましたが、ホームステイ先のご両親は自らのお子さんたちに、ゆったりとした生活をおくらせたい、教育を受けさせたい、という理由でドイツからニュージーランドに移住してきたそうです。たしかに、お父さんは歯医者さん、お母さんは作家さんというホームステイ先のご家庭は、自宅の牧場のような広い庭で、羊や犬、鶏を放し飼いにし、自宅農園なども備えていたという、日本ではなかなか考えられないようなうらやましいのびのびとした環境で生活をされているようでした。

また、ホームステイ先のご家庭は完全ベジタリアンだったそうです。自宅農園もあるようなお宅なのでそれも想像がつきます。そのご家庭には13歳・8歳・4歳の3人のお子さんがいたのですが、そのお子さんたちも全員肉類を一切口にしなかったそうです。そして、飲み物といえば水のみ。わが家のスポーツ少年にとってはなかなかつらかったようです。

のどかで広い公園などが広がる緑豊かな環境である反面、家や学校の周りにコンビニなどもないような環境だったので何か買って帰るわけにもいかず、帰国後、ホームステイ中、お腹がすいてしかたがなかったと言っていました。食生活の違いはやはりいかんともしがたいので、もしかすると日本からシリアルバーのような保存のきくおやつやカップ麺など、日本で口にしているものを少し持たせても良かったのかもしれないと今では思ったりします。

学校から帰宅した後はスカッシュをやったり、Skip-BoというUNOのようなカードゲームを毎日していたそうです。息子のホームステイ先には、前回も書いたようにWi-Fi環境もなく、また国際ローミングのスマホも持たせませんでしたので、ニュージーランドに行っている間はすっかり文明の利器からは遠ざかり、「デジタル・デトックス」していたようです。

そのような環境でしたので、ニュージーランドにいる子どもとは連絡がとりにくい状況でしたが、ホームステイ先のお母さんとはメールでやりとりをしていたので、特別なにも問題ありませんでした。

英語の上達は、やはり個人差が大きい

あっという間に留学期間の3週間が過ぎ、子どもが帰国する日には、家族全員で成田まで出迎えに行きました。帰りの車の中では、3週間という短期間での英語の上達っぷりにびっくりしました。わが家では父親が外国人で、ほとんど日本語を話さないため、自宅でも英語が飛び交っているような環境で育ったということはありましたが、学校では日本語で会話しますし、24時間英語漬け、というわけではありませんでした。

また、家で英語が飛び交っているという事情があっただけに、「国語力」を重視した教育をするというわが家(特に母親である私)の教育方針を貫いてきた結果として、子どもは、英語でのヒアリングは問題ありませんでしたが、スピーキングはあまり得意ではありませんでした。ですが、ニュージーランドに行って帰ってきたら、3週間という短い期間でも、かなりスピーキングの力が上達していました。

子どもの友人のお母さんからは、後日「ニュージーランドのホームステイはとても楽しかったみたいだけど、英語は全然上達しなかったわ。やはり短期間ではそう簡単に上手になるわけではないわね」という話も聞きました。

たしかに、大人でも短期間で英語力を、特にスピーキングの能力を向上させるのは難しいですよね。ましてや英語を本格的に学習し始めてあまり時間のたっていない中学生にとっては、短期間で英語力を向上させるためには、どれだけ積極的に留学先の現地校での学校生活にとりくんでいたか、また、ホストファミリーとのコミュニケーションを積極的に自分でとるようにしていたか、そんな留学に対する目的意識や姿勢によって大きな差がつくのではないかな、と思います。

終わりに

海外留学といっても、3週間では短いかなと初めは思っていました。ですが、我慢しなければいけないことや戸惑うことも多かった海外生活になりました。中学生とはいってもまだまだ未熟な子どもです。いきなり長期間の留学生活に送り出すよりも、このくらいの短めの期間の方が、「はじめての一人での海外生活」を送るという点では、ちょうどよい長さだったのではないかな、と思いました。

普段の環境の影響もあって、海外での生活に抵抗はなかったかもしれませんが、 はじめて海外に一人で行き、ニュージーランドで3週間過ごしてきて、子どもの英語力の面にも大きな成果が見られましたし、できなかったことができるようになったという経験をしてきました。また、日本での生活と全く違う生活習慣や、なんとか知らない家族とコミュニケーションをとるように努力してきたのは得難い体験だったのではないかと思います。

将来、長期の留学などを検討されているご家庭も多いと思います。すでにネイティブレベルの英語力を持ち、海外生活も長いというお子さんであれば最初から長期(1年近く)の留学も選択肢としてあり、だとはおもいますが、日本の中学校に通っているということは、そのようなはあまりいらっしゃらないのではないでしょうか。

また、海外での生活をするためには、自分の意思で「何かを学んでくる」「積極的にいろいろな経験をしてくる」という姿勢が求められます。中学生になってはじめて海外留学をお考えであれば、まずは夏休みなどの長期休暇中、約1ヶ月程度の短期留学から始めるくらいが、ちょうどよいのではないでしょうか。

はじめての海外経験ではアクシデントもつきものです。ただ楽しみに行く、というのではなく、目的意識をしっかりもって充実した経験をつんできてほしいですよね。学校によって海外留学の行き先やプログラムはさまざまです。ぜひ、進学した学校の海外プログラムをよく研究されてからチャレンジされることをおすすめします。目的をもって海外に飛び出すと、お子さんも、目を見張る成長を見せてくれると思います。

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